いそべ圭太  自由民主党 横浜市会議員(保土ケ谷区選出) 公式ホームページ

2012.10.31

横浜市市税条例等の一部改正と議員提案条例

すでにご報告の通り、ここ横浜でも、平成26年度より増税することが決まりました。
平成26年度からの10年間の期限付きで、1.個人市民税の均等割の税率の500円引上げ(上乗せ)、2.個人市民税の退職所得に係る10%税額控除の廃止等をするものであり、この個人市民税の増税で捻出できる財源は、年間約10億円となります。
すでに個人市民税には、均等割りに加え、「横浜みどり税」が平成21年度からの5年間の期限付きで、年間900円が上乗せされています。
この「横浜みどり税」は、来年度で終了するため、関連する議論が行われる予定です。

みんなの党横浜市会議員団14名と無所属議員2名の共同提案により、「横浜市常勤特別職職員の給料及び手当に関する条例及び横浜市市会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の臨時特例に関する条例」を9月6日に市会本会議に提出いたしました。
本議案は、平成24年10月から年度内に限定し、市長・副市長等および横浜市会議員の給与等を100分の13削減するための特例を定める条例案です。
横浜市はこれまで市債発行を前年度比5%削減するという方針を中期計画に掲げ、市債の増加を伴わない財源確保に取り組んでまいりました。しかし、平成24年度予算は防災・減災の取り組み等を市債の増発で行ったことは、周知の事と思います。
さて、周辺自治体を見てみますと、神奈川県も川崎市も苦しいなかで、実際に減額予算を組んで、必要な資金を捻出している事実があります。そして、政令市だけを見ても、常勤特別職員や議員までを含めれば、半数以上の自治体で、すでに何らかの手立てを打っている現状もあります。
計画になかった多額の借金を、現在の財政状況下で将来穴埋めするのは、大変難しいと言わざるを得ません。
我が会派の財源確保の考え方としては、市債に安易に依存せず、資産仕分けや、義務的経費の見直しなどの構造改革等によってなされるべきと考えています。
これらの視点から、我が会派は議会の場などを通じ再三、「国家公務員の給与改定及び臨時特例に関する法律(平成24年法律第2号)の附則第12条には、地方自治体においての適用が明示されているにもかかわらず、なぜ市長は見て見ぬふりをされるのか」と、一貫して主張してまいりました。
我々のこの声に対し、市長答弁は「国の削減については、震災対策に当てる財源を捻出するために期限を切って行っている。」また、「特例法は復興財源に充てることを目的としていて、地方公共団体の場合は国とは状況が異なる。」といったものでした。
ところが、議会では、「国の復興と横浜市の防災は違う」と言ってきたはずの市長から、突然、東日本大震災復興基本法第2条を根拠に、防災・減災対策の117億円を含む「緊急防災・減災事業債」の償還財源にあてるため、個人市民税の増税を行う旨の議案が9月6日に提出されました。
この観点からも、我々としては、市債発行の考え方については、やはり中期計画を堅持し、個別事業施策は優先順位の高いものから、予定した財源枠の中で実施すべきと考えています。
それが出来ないのであるならば、横浜市もその財源の一部を市長および副市長、議員等の人件費から捻出することも、やむを得ないと考えています。
尚、条例提出時点で中期計画を超えた市債の発行が明らかになっているのは本年度のみであったため、今回の対象期間については、今年度のみを対象とした時限条例といたしました。
具体的な、報酬及び給与の削減幅の考え方については、国での議論を参考にし、市長および副市長等については給料月額、期末手当等を、我々市会議員については報酬月額と期末手当のそれぞれ100分の13といたしました。
しかしながら、横浜市市税条例等の一部改正は賛成多数により可決、議員提案条例は反対多数により否決となりました。採決前の9月19日の本会議において、我々は討論を行い、主張を申し述べました。

【討論全文】
みんなの党横浜市会議員団を代表して、市第35号議案(横浜市市税条例等の一部改正)反対と議第7号議案(横浜市常勤特別職職員の給料及び手当に関する条例及び横浜市市会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の臨時特例に関する条例の制定)否決に反対の立場から討論させていただきます。
反対する趣旨は、一言でいうと「いいとこ取り」だからです。
市第35号議案は「臨時特例法」を根拠にしています。これにより個人市民税を増税するものです。
この「臨時特例法」は、「東日本大震災復興基本法」に基づいて定められました。このふたつは決して切り離すことができないものなのです。
国は「東日本大震災復興」の財源を捻出するために「臨時特例法」を制定し増税を認めました。「合わせて」国家公務員の給与カットを設けたのです。
東日本大震災復興のために、国民に増税を負担してもらう。しかし、国民だけに負担をさせるわけではない。国家公務員も給与カットを行うのでご理解くださいという抱き合わせの法律なのです。
そうであるなら、地方においても、同様です。「東日本大震災復興」のための増税を、この「臨時特例法」で行うであれば、国家公務員と同様に地方公務員の給与もカットすべきなのは当然です。
ところが市長は、国は国、市は市であるとして、国家公務員の給与をカットしても横浜では地方公務員の給与はカットしないと答弁されています。これはどう考えてもいいとこ取り過ぎるのではないでしょうか。国は国、市は市であるなら、増税の部分についてもやはり、別として応じる必要はないはずです。増税だけ国に合わせ、給与カットは関係ないという姿勢は納得できません。
国会議員も、増税をするので自らの歳費を今年5月から2年間で合計540万円をカットしています。なぜ、横浜では自らの身を切る決断ができないのでしょうか。
さらに増税の使い道についても疑義があります。
先日もNHKで報道されていた復興予算費が予想外のところに利用されているというドキュメンタリー番組です。市長もご覧になられたでしょうか。
国の3次補正9兆2,000億円のうち、実に2兆4,500億円ものお金が被災地以外に回っていることが明らかになりました。中には終了した事業が「復興」という名の免罪符をもらって復活していると思われるものもありました。
本市においても震災対策・防災対策が必要なことは充分に理解します。しかしながら、増税分120億円の使途は明確でしょうか。常任委員会でも使い方のわかりにくさが指摘をされていました。
今回の臨時特例法では平成23年から27年までの5年間で実施する防災対策のための財源の確保としています。横浜市ではこの5年間で31事業、926億円の事業費が見込まれています。この中には震災前から事業計画のあったものもあります。
私たちが危惧するのは、先程の国と同じように震災対策が免罪符になっていないかということです。中身を精査しないで「あれも、これも」というのは増税ありきの議論ではないでしょうか。
総事業費926億円のうち、82.5%にあたる764億円は市債発行に頼ることになります。仮に10年間の増税分120億円を全て償還に当てたとしても13%程にしか充当しません。結局は市債発行と、増税という市民にさらなる負担を負わせることになります。
これで増税を認めるというのであれば、なんのための議会であるのか情けなくなります。
そもそも、今回の市民税増税をするかどうかは各自治体の判断に任されております。
言い方を変えれば、横浜市が行財政改革によって財源を捻出できるのであれば、増税は必要ないことなのです。
横浜市が行政改革に努力をしてきたことは承知していますが、市有地の売却や貸し付けなどによる財源捻出や、外郭団体への補助金や交付金の見直しなど、行政改革をやり尽くしての増税でしょうか。仕組債を始め、これらの課題についても私どもの会派から指摘をさせていただいてきました。
少なくとも今回は「臨時特例法」に基づいて増税するのであれば、公務員の給与カットとはひとつのパッケージです。給与カットを前提とした法律、いわゆる「抱き合わせ法案」です。仮に横浜市で約6%の水道・交通・病院事業会計分を除く公務員の給与カットをした場合には年90億円の財源が捻出できるのです。
市民の皆さんに負担増をお願いするのであれば、少なくとも市長をはじめとする幹部職員と議員は率先して痛みを分かち合う必要があります。以上の問題意識から、今回、市長と管理職、私たち議員の給与および報酬を削減する条例も合わせて提案させていただきました。
先般、財務省は総務省を通じて、平成25年度以降は地方公務員の給与カットを求める方針を決めたとの新聞報道もありました。国から言われてようやく重い腰を上げるのか、それとも地方分権の時代にあって国の動向を参考に自主的に動くのか、そこが今、問われていると思います。
以上、反対討論とさせていただきます。
(正式な議事録からの抜粋ではないため、実際の発言と若干言い回し等が異なる場合がございます。)

条例を提出するにあたっては、プロジェクトチームを中心に会派全体で何回も時間をかけて議論してきました。
この手の内容や手法は、どうしてもパフォーマンスに見られてしまいがちですが、我々は、決してパフォーマンスで条例の提案や発言をしているわけではありません。
本レポートに書いてあることをお読みいただければ、それがお分かりになられるかと思います。