いそべ圭太  自由民主党 横浜市会議員(保土ケ谷区選出) 公式ホームページ

2015.11.17

平成28年度横浜市予算編成における政策要望を提出しました

本日、林文子横浜市長に対しまして「平成28年度横浜市予算編成における政策要望」を提出しました。政策要望の中身につきましては、下記の通りです。

 

横浜市長  林 文子様

今、日本は社会構造の大きな転換期に立っています。平成23年2月11日に国土交通省が発表した「国土の長期展望」は、考えられる限りの社会的傾向を分析し、かつ希望的観測を排除、現実に基づいて踏み込んだ資料として知られています。この国土の長期展望によれば、「2050年までに国土の7割近くの地域で人口が半数以上になる」とされており、人口は東京圏の一部、名古屋圏の一部、大阪圏の一部などの集中するとされています。

横浜市も2019年を境に人口減少社会に突入することは議会、行政の共通認識となっておりますが、国土の長期展望にもあるように都市部に人口が集中するため、横浜市における人口減少の問題は国内の他都市のそれに比べて比較的緩やかになるものと思われます。

ここに私たちは一つの危機感を覚えています。変化が緩やかであるがゆえに、対応が遅れる恐れがあります。少なくとも向こう30年〜50年は未だかつて経験したことのない社会に突入します。この横浜市でも金沢区や栄区など、既に一部のエリアでは人口減少が始まり、合わせて高齢化社会へと突入しています。これからの横浜市の行政運営も従来とはまったく異なるものが求められていくでしょう。社会構造が大きく変わる以上、行政も政治も従来のやり方、考え方を一から見直していく必要があります。年度毎に会派がまとめる予算要望も各種団体の要望をそのまま反映させたものであってはならないと考えます。

詳細は予算要望書に譲りますが、掛け声に終わらない徹底した財政規律と、聖域なき事業の見直し、規制緩和や公民連携のさらなる推進などにより民間にできることは民間に任せることで、行政をスリムにしていくことが重要です。横浜市は度々、「都市間競争」と表現しますが、その具体的なライバルは見えているでしょうか。国土の長期展望にもあるように東京圏の中でも人口が増加するエリア、減少するエリアに色分けが進みます。国内における横浜市の都市間競争のライバルは、世田谷区や品川区、港区など東京23区の一部エリア、川崎市やさいたま市など東京中心部から20km圏内に位置する各都市です。世代別の人口動態を見れば、残念なことに横浜市は30代、40代は転出超過にあり、住宅の一次購入層から選ばれなくなりつつあります。しかも今後は今まで以上に、財政運営の巧拙が行政サービスの質に大きな影響を与え、住民による都市の選別がより顕著に進むことでしょう。

過去から連綿と引き継いできた横浜市を未来へしっかりとバトンタッチしていくためにも、今一度、足下を見直し、行政運営のあり方を再検討して頂きたく、各項目にわたり、予算要望書としてまとめました。よろしくご検討のほど、お願い致します。

 

 

【基本的な考え方】

一.将来の少子高齢化および人口変動を見据えた、行財政運営の抜本的な改革がなされることを求めます。

二.地域主権の理念に則り、分権化の推進、住民参加型の多様な仕組み作りが行なわれることを求めます。

三.民間の力を最大限に活用し、行政の役割をスリム化していくことを求めます。

四.市政全般において、情報公開を徹底し、透明性をより一層向上させることを求めます。

五.創造都市をはじめとした市の数ある戦略を体系的に再整理し、都市の目指す基幹的なビジョンを明確化、共有化することを求めます。

六.全会計・全事業において、共有された長期の財政見通しと計画に基づいた、現実的かつ持続可能な予算の編成がなされることを求めます。

七.事業の執行にあたっては、具体的かつ十分に高い成果目標を設定し、決算で十分な評価・検証を行なった上で、継続的に改善がなされることを求めます。

八.公営企業、外郭・関連団体等のあり方について、ゼロベースからの見直し検討がなされることを求めます。

九.若年層・中間層・シニア・女性など、世代毎の能力を最大限に引き出すための就業・雇用政策の実施を求めます。

十.児童、生徒を第一に考え、保護者、地域の考えを尊重し、市立学校教育の更なる充実と向上をもとめます。

十一.ユニバーサルデザインの理念を庁内で共有し、あらゆる施策、事業において取り入れることを求めます。

十二.市民生活の安全を守るための、危機管理ネットワークの強化を求めます。

十三.市民の理解が得られる、職員の人事制度・給与体系を構築することを求めます。

 

【個別課題】

①行政改革

オープンデータ、フューチャーセンター、共創推進事業等の推進について、全庁的体制づくりにつながる全体設計と、さらなる普及促進にむけた体制整備を行なわれたい。また、地域課題、社会課題の解決のためにオープンイノベーションの取組も推進されたい。

中期計画については期中にPDCAを回し、改善・見直しを実行されたい。

市民意識調査の規模・内容を充実し、必要な予算措置を行なわれたい。

民間人材を積極登用するとともに、市職員と民間企業との人事交流を充実されたい。

人事委員会および各種機関による民間給与調査等の結果が乖離しているため、複合的に参照する等、職員給与との比較手法を根本的に改められたい。

外郭団体・関係団体等への利益供与となる取引契約や、社会通念上明らかに有利と思われる資金・資産貸付等については、全て適正化をはかり、不適切なものは廃止されたい。

外郭団体・関係団体等に関する監査・監察体制の一層の充実強化を図られたい。

二元代表制の役割強化のため、議会局法制課の体制、人員、能力を大幅に強化されたい。

時代の役割を終えた本市が関わる外郭団体は、今の時代に照らし合わせ、公益的役割が無い場合、完全民営化または解散されたい。

 

②財政運営

財政責任条例の趣旨を鑑み、総合的かつ具体的に市長の財政運営目標を明示されたい。

企業会計並の新公会計制度への移行および実運用を可及的速やかに実行されたい。

新公会計制度への移行とともに、市の予算および業務を発生主義ベースへと組み換えられたい。

成長による税収増、資産売却、無駄削減、予算の自動的削減メカニズムの導入等により、そもそも行政がやるべき施策の整理が必要で、増税を前提としない財政健全化計画を策定されたい。

長期にわたる公共施設等の維持管理・補修・建替費用の見込みについて、固定資産台帳を早期に整備するとともに、それらの財源確保を含め、具体的な計画を示されたい。

市の経常収支比率、実質公債比率、将来負担比率について具体的な改善計画を策定されたい。

市債発行については、横浜方式プライマリーバランスを堅持されたい。

借入金については、積極的な借り換えおよび繰上償還等により、返済額の圧縮及び、借入金利負担の軽減を行なわれたい。

公共施設等の整備にあたっては、さまざまな民間資金、ノウハウを活用する手法等を複数案検討し、市民負担を抑える最適な手法を選定することを原則とされたい。その際は、財政負担を圧縮し、市の財政に資する「稼ぐインフラ」のような国内外の先行事例を調査研究し、ノウハウを取り込むよう検討されたい。

公共施設等の整備を図るにあたっては、その想定されるライフサイクルコストおよび根拠・リスクを予め明示されたい。

公共施設等について、設立から長い時間が経過し、設立当初の目的が時代と共に役割を終えたものは、用途変更を含めた再検討をし、今の時代に合わせて有効活用されたい。

 

③適切な事業推進

市政におけるコスト意識向上のため、総事業費50億円を超える事業については、事業シュミレーションを提示されたい。

新市庁舎整備計画については、より一層民意を反映したものとなるよう、計画を見直されたい。

新市庁舎整備計画については、事業費を圧縮できるよう、工事期間を含め計画を見直されたい。

現市庁舎の跡地利活用については、市民参加型のプロジェクトとして進められたい。

東京オリンピック開催を契機にした事業については、早急にその事業内容、総事業費、目標とする効果、および開催後の利用計画等を明示されたい。

みどり税および関連事業の成果について中間評価を行い、効果の低いものについては、期中であっても随時見直されたい。

市立動物園については、運営費の大幅の赤字の状況を踏まえ、さらなる質の向上を行うと共に、指定管理料低減、運営の適正化を徹底して検討されたい。

本市の行なう文化芸術事業においては、戦略に一貫性を持たせられたい。

水道事業については、良質な水を安定供給する為に、設備更新計画を踏まえた長期計画(20〜30年)を作成されたい。

水道企業団からの受水量は、調達コスト低減の為に自己保有水源等を最大限活用されたい。

市営バスについては、民間ノウハウを活用し、更なる効率的な運営に努められたい。

山下ふ頭再開発は、投資に対する効果を十分に検討し、市民への説明責任を果たし、理解を頂いた上で事業を進められたい。

山下ふ頭再開発は、東京オリンピックまでに一部供用開始に拘らず、一体的な開発をするよう検討されたい。

 

④経済・雇用

経済政策に関しては、エリアの就業人数やGDP成長率等のKPI(重要業績評価指数)を定め、明示し、評価されたい。

スマートグリッド体制の構築が、産業育成・経済活性化の柱となるよう図られたい。

行政が持つデータを積極的に活用・分析し、やる気ある商店街へのサポートを中心に継続的かつ自主自立経営が可能となる本質的な支援を行われたい。

歴史的建造物の保全に当たっては、所有者への理解を促進しつつ、経済的収支を成立させた手法を検討されるとともに、戦後復興住宅は、歴史的建造物に指定されたい。

都心臨海部の開発にあたっては、それぞれの投資効果および持続性、まちづくりに与える総合的な影響等を十分に検証されたい。

特定都市緊急整備地域の指定を受けグローバル企業、外国人居住の促進を狙う横浜駅西口エリアにおいて、公共空間の利活用、水辺空間の利活用など積極的な規制緩和によって、魅力ある都市空間を早期に整備されたい。

 

⑤子育て・教育

各区に配置された保育コンシェルジュの更なる質を向上と、各種子育て拠点との連携強化・情報共有を進められたい。

子育て施策については数量的目標の達成ばかりでなく、子ども達の育つ環境の質の向上にも、より一層取組まれたい。

多様な暮らし方に対応した子育て支援サービスを提供するとともに、公平な受益者負担となるよう改善されたい。

ワークライフバランスの推進のため、民間企業の見本となるよう、庁内で率先して男性育児休暇取得をより一層取組まれたい。

留学支援事業の審査基準は、面接を重視するなど、より多くの子供達に機会を与えられたい。

学童保育に対する補助金制度を拡充し、保護者の負担を低減されたい。

横浜型配達弁当から一歩踏み込み、中学校給食を早期に実現されたい。

学校長に責任と権限を与え、自主的自立的な学校運営を実施されたい。

教育行政に関する責任を明確化した体制にするとともに、保護者や地域住民への説明責任を果たされたい。

小学校・中学校間、中学校・高校間の教師の人事異動を促進されたい。

公立学校における「使える英語」教育の、さらなる強化を図られたい。

 

⑥健康・福祉

原発事故に起因する放射能に対する諸対策は、継続的に重要施策として取り組まれたい。

看護師、助産師、保健師、介護士、保育士等、医療・福祉等で働く方々の雇用環境の改善に努められたい。

青少年の自立支援について、市立高校在校生に対する支援を、教育委員会とこども青少年局とが協力して取組まれたい。

介護と連携した地域医療のさらなる充実と、高度・先端医療との機能分化を図り、それぞれに応じた政策的支援のあり方を検討されたい。

看護師、助産師、保健師、介護士、保育士等、医療・福祉人材を育成するための総合的施策を推進されたい。

小児医療費の助成について、近隣自治体との格差を解消すべく一層の取組みを行われたい。

各地区において十分な分娩施設が整備されるよう、政策的支援を充実されたい。

ユニバーサルデザインの具体的なガイドラインを策定されたい。

喫煙禁止モデル地区を拡大・普及されたい。

高齢者が安心して暮らせるよう、健康状態に合わせて、特別養護老人ホームをはじめ、介護老人保健施設、グループホーム等、適切な住まいの情報を提供できるワンストップ相談窓口の構築に積極的に関与されたい。

 

⑦地域・防災

地域防災拠点の区割り、備蓄内容、備蓄環境の整備等、そのあり方を実状にあわせ再考されたい。

各区における危機管理機能を強化されたい。

図書館の充実を求める市民の声に応えられるよう、既存の図書館のあり方のみならず、他自治体での取組みを参考にする等、図書館機能の充実を図られたい。

図書館機能の充実について、より身近に展開する街ライブラリーなど、市民活動への支援を検討されたい。

地域と大学の間で交流・協働が継続的に行われ、連携が深まるように仕組みづくりを行なわれたい。

遊休市有地(企業会計保有地、施設内の未利用床等を含む)については適宜地域住民に開放するなど、柔軟な運用を図られたい。

20151117政策要望提出