いそべ圭太  自由民主党 横浜市会議員(保土ケ谷区選出) 公式ホームページ

2014.09.18

現行の新市庁舎建設計画に反対しました 平成26年9月18日 市会本会議

本日の本会議にて、現行の新市庁舎建設計画の関連議案に反対しました。

今回は、市の事務所の位置を現在の港町から北仲通り北地区へ移すための条例案の審議でした。
この条例案の可決は、出席議員の2/3以上の賛成が必要な特別多数議決になります。
これは、より慎重に審議せよという地方自治法の意思です。

今日は、出席議員86名の内、66名の賛成、20名の反対によって条例案が可決しました。
事務所の位置を移転する条例が可決しましたので、今後建設のための予算付け等が進み、建設が始まります。

反対の意見表明(討論)は、会派を代表して青葉区選出の藤崎浩太郎議員が登壇しました。

以下、討論の原稿です。

市第46号議案「横浜市市庁舎移転新築工事技術提案等評価委員会条例の制定」および市第58号議案「市の事務所の位置に関する条例の一部改正」に対し、「反対」の立場から討論いたします。
冒頭にまず申し上げますが、本議案は市庁舎の位置を変更しようとするものでありますので、現市庁舎の抱える課題解決の手段として「北仲通南地区への新築・移転が最適なのか」ということが論点であります。そのため、おもてなしであるとか、プレゼンテーションルームが必要だとか、市民広場が寒いからというようなことから、新築・移転が必要だとするのは、あまりにも論理が飛躍しており、何の説明にもなっておりません。
ここで市民に説明し、理解を得るべきは、「なぜ、課題解決の手段として、現時点の見込みでも、30年間での総事業費1250億円と、他の地区に整備するよりも遥かにコストがかかる場所に、全国で建設費が大幅に高騰することが避けられない、このオリンピック直前の時期に、建てようとするのか」ということです。本事業の事業費は、ほぼ全てが市民の納める税金を財源としており、横浜市民である限り、数十年にわたりその負担を余儀なくされるものです。私たちは、費用を圧縮するためにも、これまで、あらゆる手法、選択肢を検討するべきであると、繰り返し、繰り返し、お願いしてきましたが、結局、それらが表に出てくることはありませんでした。
また現在、全国において復興事業や、東京オリンピックに向けた施設整備など、大型の公共工事ラッシュが続いている事による、深刻な人手不足と、大幅なコスト高騰が問題になっており、各自治体においても入札の不調が相次ぐなど、事業費の大幅増のみならず、事業そのものを延期・断念せざるをえない例が多く出ています。
直近では、千葉県木更津市において、かねてより計画をされていた新市庁舎の整備事業費が110億円から150億円に膨れ上がる見込みとなったことから、事業開始をオリンピック後に延期するという判断がなされました。また、近い地域でも例えば、県の総合リハビリテーションセンターの工事入札において、2度にわたる入札不調から、当初より想定事業費を4割近く上げて、再入札が行われるといった状況が報じられております。
本市の新市庁舎建設の規模はそれらの5倍以上です。当然、そのリスクも5倍以上になります。市長や市当局の言われる早期整備によるメリットは、そうした数百億円に及ぶとも知れない、巨額の負担に見合った物と言えるでしょうか。そして、そうしたリスクを負い、ツケを払わされるのは、常に市民です。
過去にも、本市では、事業推進にあたっての現実的な検討がなされず、多くの心配の声をよそに、いきおい楽観論に流れた結果、多額の赤字を出してしまったことがあります。しかし、その際にも結局、「責任の所在はさまざま」という理屈のもとに、市民の税金によってのみ赤字が補填されることとなったのは記憶に新しいところです。
それから数年で、市長はまた「いつか来た道」を進もうとされています。口先でいくらリスクを取ると言われても、市長お一人で責任を取れるような事業ではありません。
また、現時点で市民の理解がほとんど進んでいない上、スケジュールの前倒しによる非常にタイトな行程であるが故に、今後も市民の意見を取り入れる猶予がない計画になっているということも、きわめて重要な問題です。
市庁舎は市の中心施設であり、市民のものです。法によらずとも、最大限、市民の理解を得るようにすることは、市の根本的な責務であり、本計画における市長および市の対応には、そうした姿勢が欠けていると言わざるをえません。
また、市民が、市庁舎の構想、計画に関与することは、合意形成を促進するのみならず、市民が市政、庁舎に愛着を持つためにも、きわめて有効であると考えます。
いずれにせよ、こうした状況化でいま、強行に市庁舎を移転・新築することに合理性はみられません。市長および議員の皆さまにおかれましては、市の最重要事業の一つを、このような状況で進めてしまう事が、いかに多大なリスクを市民に負わせる事になるか、いま一度お考えいただき、思いとどまっていただけることをお願いしまして、討論を終わります。

平成24年度本会議風景 市会