いそべ圭太  自由民主党 横浜市会議員(保土ケ谷区選出) 公式ホームページ

2025.10.09

令和7年第3回定例会 決算特別委員会連合審査会 令和7年10月2日

第3回定例会に上程された令和5年度決算に関連し、会派を代表して10月2日の決算第一・決算第二特別委員会連合審査会(以下、総合審査)の質疑に登壇し、19テーマ(令和6年度決算及び今後の財政運営・新たな中期計画の策定・データ経営・AIの積極的活用・循環型都市(サーキュラーエコノミー)・GREEN×EXPO2027・更なる観光振興・都市計画マスタープランとそれに基づく具体的なまちづくり・土地利用誘導戦略を踏まえた土地利用規制の見直し・成熟したみなとみらいの今後のまちづくり・持続可能な下水道事業の在り方・建設業の働き方改革・大規模停電時の対応・カムチャツカ半島付近の地震による津波・教職員の不祥事防止対策・公園の夏の暑さ対策・保育料の無償化・国際貢献・日産スタジアムのネーミングライツと市長の政治姿勢)、48項目の質問や指摘、提言(意見・要望)をしました。

☆ポイント
第3回定例会で山中竹春市長に質問するのは今回で5年連続です。
決算審査の流れは、9月25日に決算の上程があり、予算審査とは逆で、まずは市長以下幹部職員が出席する総合審査が行われ、その後に各局への審査が11日間に渡り行われます。
予算審査は約1か月半、決算審査は約1か月間行われます。
今回の決算審査は、昨年に続き、全議員の中で最初の登壇者(質問をする議員)であり、私の質疑を皮切りに、各党各会派、各議員から様々な質問や要望、意見が出ており、活発な議論が始まります。
8月から山中市政の2期目がはじまり、これまでの1期4年間の取り組みや、これからの4年間の取り組み方針などを確認しつつ、これまでの議論をあらためて総点検し、会派の政策委員会に質問内容を諮りつつ、様々な観点から選んだ19項目48問の質疑を41分(答弁まで含めると75分強)行いました。
本来でしたら、55分程度必要な質問数だったため、早口でお聞きづらい点があったところ、また、原稿を大幅にカットしたため、質問の趣旨が伝わりづらかったところがあることをお詫びいたします。
私が取り上げることが出来なかった質問は、各議員が同じ総合審査や局別審査で取り上げます。

速報版(字句の最終確認前)ですが、質疑の全体像を掲載いたします。正式な議事録ではなく、インターネット録画中継から文字お越ししたやりとりとなっております。実際の発言は、今後作成される議事録とは異なる部分がございますので参考程度にご覧ください。
こちらをご覧いただければ、市民の皆様に選ばれた議員が二元代表制の下、当局と真摯に議論させていただいていることがご理解いただけると思います。
引き続き、粛々と職務に臨んでまいります。

質問は一問一答です。一問ずつ太字で当局の答弁を入れてあります。
この間、質問の調整や調査にご協力いただきましたすべての市職員の方に感謝申し上げます。

横浜市会インターネット中継

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1 令和6年度決算及び今後の財政運営

まず、令和6年度決算及び今後の財政運営について伺います。
令和6年度の社会経済情勢としては、デフレからの脱却が進む一方で、引き続き、電力・食料品をはじめ、労務単価や資材価格の上昇など、物価高の影響が継続しており、市民生活や事業活動に対し、厳しい状況が続いていると認識しています。

スライド(実質収支の推移)をご覧ください。

これは「実質収支の推移」です。
令和6年度決算における実質収支は棒グラフの右側にあるとおり、125億円の黒字を確保しました。また、中期計画で掲げた財政目標についても、目標達成に向け、着実に進めていると認識しています。そこで、
令和6年度決算の所感を市長に伺います。

【答弁】令和6年度は子育て支援や脱炭素の取組等による都市の持続可能性の追求など、各種施策を推進するとともに、物価高騰の影響を踏まえて、市民・事業者の皆様への経済的な支援など、喫緊の課題にも対応しました。あわせて、全庁挙げて効率的な執行管理の徹底などに努めたことによって、実質収支を確保することができたと考えています。

市税収入に目を向けると、6年度決算では、景気動向を踏まえた個人所得や企業収益等の増により増収となった一方で、いわゆる「定額減税」による減収の影響もあったと認識しています。そこで、
市税収入の決算状況を財政局長に伺います。

【答弁】令和6年度の市税収入決算ですが、主な税目として、個人市民税は賃金上昇などに伴う給与所得の増があったものの、定額減税による減収影響などから93億円の減収となる4,225億円、固定資産税は地価の上昇などから76億円の増収となる3,008億円、法人市民税は企業収益の増などにより71億円の増収となる593億円となり、全体では、5年度と比べ74億円増の8,937億円となりました。

市税収入が増収となったことを踏まえると、一見すると財政状況が改善しているかのようにも捉えられますが、物価などの上昇については本市の歳出需要にも影響しているため、歳入歳出の両面から財政状況を捉える必要があります。そこで、
財政状況に対する認識を市長に伺います。

【答弁】市税収入は増加傾向にある一方で、少子高齢化の進展等による社会保障経費の増加や、物価高が継続するなど、歳入歳出ともに社会経済情勢の影響を受けています。こうした中でも、一般会計が対応する借入金残高や減債基金の臨時的活用額について、着実に縮小させており、財政指標である実質公債費比率や将来負担比率についても改善させることができています。今後も持続可能な財政運営に向けて着実に取組を進めていく必要があると考えています。

本市の財政状況を踏まえ、「財政ビジョン」で示された「2030年度までに減債基金の臨時的活用から脱却した上で収支差の解消」に向け、6年度決算では、減債基金の臨時的活用額を前年度より20億円縮減させたものの、150億円を活用しています。
次のスライド(減債基金残高の推移)をご覧ください。

これは、「減債基金残高の推移」です。
臨時的な活用からの脱却に向けては、計画的に取組を進めていく必要がありますが、令和4年度末で約2,200億円だったのに対し、令和6年度末には約1,800億円になるなど、残高が減少している傾向にあることがわかります。このままでは、将来の市債の償還に支障をきたしてしまうのではないかと感じています。そこで、
減債基金の残高の状況と今後の見込みを伊地知副市長に伺います。

【答弁】減債基金については市債の償還に支障が生じないよう償還時期を踏まえた推計により、必要な残高を確保するよう管理しています。今後、平成4年度から発行した満期一括償還債の償還のタイミングにより令和4年度から基金残高が減少する傾向にあり、6年度末残高は1,834億円となりましたが、9年度以降は増加していく見込みとなっています。

先日の所信表明演説では、「市民の皆様の信頼を得ながら、持続可能な都市経営を実現する基盤をつくり上げていく」と述べられていました。その実現に向けては、財政運営の基盤を整えることが大変重要であると考えます。そこで、
今後の財政運営に対する考え方を市長に伺います。

【答弁】時代の変化の中で市民の皆様の新たなニーズにしっかりと応えていくためにも、事業の新陳代謝や財源確保を進めるなど、全庁的な歳出改革に取り組む必要があると考えています。これからも「市民目線」を重視して、市民の皆様の安心・安全なくらしの実現や横浜経済の活性化を進めていくとともに、減債基金の臨時的な活用からの確実な脱却など、持続可能な財政運営を目指していきます。

市民や事業者の皆様にとって、より良い施策・事業が実施されるよう、「市民目線」に沿った取組を進めつつ、現在の横浜市民、将来の横浜市民のためにも、「財政責任条例」に基づき、将来にわたって責任ある財政運営を推進していただくことをお願いし、次の質問に移ります。

2 新たな中期計画の策定

次に、新たな中期計画の策定について伺います。
先日の本会議にて、我が党の伊波議員から、新たな中期計画で市長の目指す方向性について確認したところです。
現在、令和8年度から始まる新たな中期計画の策定作業が始まったわけですが、そこで、
現中期計画を推進してきた所感を市長に伺います。

【答弁】子育て世代への直接的な支援として、経済的ゆとりの創出に向けたこどもの医療費や出産費用等の助成、そして時間的なゆとりの創出に向けた夏期休業期間中の学童保育での昼食提供、中学校給食の全校導入の準備などを進めてまいりました。併せて、市民の皆様の声を市政や区政に生かしていくデジタルプラットフォームを新たに導入し、また、行政手続件数約9割のオンライン化を進めるなどして、あらゆる世代の生活環境づくりにも努めてまいりました。さらに、大規模集客イベントや公共空間を活用した回遊性の向上による戦略的なにぎわいの創出など、都市としての価値を高めるための取組を進めてまいりました。その結果、令和6年には子育て世代の転入超過が過去20年で最大のプラス、また、観光消費額・観光入込客数ともに過去最高となるなど、好循環が生まれ始めているところであります。

スライド(横浜市の人口動態の推移)をご覧ください。

現行の中期計画の策定時点から減少傾向にあった本市の人口は増加に転じています。
一方、6月に発表された令和6年の我が国の出生数は、初めて70万人を下回り、統計開始以降最低とのことです。
横浜に目を向けると、全国的な傾向と同じく、出生数は減少しているもののその減少幅は、全国に比べ縮小しています。
前向きな傾向も見受けられますが、我が国を取り巻く社会情勢に目を向けると、少子高齢化、気候変動、グローバル化の進展等の様々な課題が市民生活や事業活動に影響を与えています。
今回新たに策定する中期計画は、今後4年間の本市の方向性を示すものです。そこで、
新たな中期計画で目指す横浜の未来の姿を市長に伺います。

【答弁】新たな中期計画ではあらゆる世代が誰もが安心して暮らし、そして自分らしくいきいきと過ごせるまちとなることを目指してまいります。災害への備え、日常の安全の確保、医療・福祉・教育などの基盤の充実等を通じて、暮らしの質を高め、希望が持てる都市づくりを進めてまいります。また、27年に開催されるGREEN×EXPOを契機に、環境との共生や都市の魅力を世界に発信して、横浜らしい持続可能な発展のモデルを築いてまいります。そして、よりグローバルな視点を重視して、国際都市横浜への取組を加速させてまいります。市民の皆様・企業・地域団体など、多様な主体の皆様とともに、横浜の可能性を広げ、「人にやさしいまち 世界を魅了するまち」を目指してまいります。

新たな中期計画では、政策群とは別に「明日をひらく都市プロジェクト」が計画体系の中に示されています。本市の中期計画にこのような形でプロジェクトが示されるのは初めてかと思います。そこで、
14の政策群とプロジェクトを両軸で進める考えを市長に伺います。

【答弁】まず、基礎自治体として最も重要な、市民の皆様の「安心・安全」を守る取組を着実に進めるために、「防災・減災」、「こども」、「教育」、「環境」、「みどり」など、14個のテーマで政策を進めていきたいと考えております。そして、その取組を土台に、未来世代への投資や、より良い社会を追求する循環型都市への移行などを通じて、横浜を「発展・成長」の軌道に乗せていくため、「明日をひらく都市プロジェクト」を推進していく予定です。これらを通じて、先程申し上げた中期計画の理念を実現してまいりたいと考えています。

変化が速い時代において、複雑化・高度化する課題に対応するためには、市役所のポテンシャルを最大限発揮することが求められます。そのためには、新たな中期計画のようにプロジェクトを立ち上げて機動的に対応する手法や、局や部といった大きな枠組みを動かす手法など、組織運営の手法がありますが、いずれにせよ、目標達成に向けた最適な組織としていくことが求められます。そこで、
「新たな中期計画に掲げた目標達成に向け、最適な組織としていく必要がある」と考えますが、市長の見解を伺います。

【答弁】人口構造や気候変動、グローバル化など、急速に社会が変化していく中で、市民の皆様に横浜が良くなった、と実感していただける政策を進めるためには、本市の組織も柔軟かつ戦略的に変わっていくことが不可欠です。新たな中期計画に掲げる政策目的の実現に向け、組織の縦割りを打破し、スピード感を持って事業を推進できる組織に変えていきたいと考えています。

検討にあたっては、議会との丁寧な意見交換を重ね、合意形成に努めていただくよう強く要望し、次の質問に移ります。

3 データ経営

データ経営について伺います。
本市では、令和6年4月に「データ経営部」を新設し、「データで動かす横浜市政」を掲げて、取組を進めています。

スライド(データドリブンプロジェクトの概要)をご覧ください。

これまでの横浜市政の中で蓄積してきた市職員の経験や知見を生かしつつ、そこに、データの力を加えることで、市民ニーズに、より的確に応えるため、データ経営を推進してきたと受け止めています。そこで、
データ経営の推進によって、どのような成果が得られたのか、市長に伺います。

【答弁】データ経営の土台となる人材育成や庁内データを蓄積・活用する「プラットフォーム」を構築しました。併せて、中期計画の全ての施策・事業を対象とした「データドリブンプロジェクト」を推進しています。DDPでは、これまでに施策の半数を対象に、市民生活の「安心・安全」、都市の「成長・発展」を実現するための成果目標を議論した上で、施策に紐づく事業の課題や効果の検証、客観的な振り返りを行っています。その成果は、施策の質の向上や、年間70億円程度を目標とする財源創出として、毎年度の予算に反映しています。

先の所信表明では「More Data-Driven」、また、新たな中期計画の「基本的方向」においては「データ経営の徹底」と示されています。
このような背景から、今後さらにデータ活用を加速させていくのではないかと感じています。そこで、
データ経営の今後の方向性を市長に伺います。

【答弁】これまでの市役所における経験や洞察にデータの力を新たに加えることにより、市民の皆様が成果を実感できる施策を推進しているか、定期的に検証し、ニーズからかい離があれば柔軟に軌道修正することで、より政策効果を高める「データ駆動型経営」を確立していきます。確立に向けて、全ての施策においてDDPを実践し、各部署が目指すべきKPIを共通認識として持った上で、組織横断的かつスピード感をもって、データ分析や可視化を進め、「財源の創出」「保有資産」「組織体制」といった経営資源の最適化を図ります。市民目線での「検証」と「改善」を重視する経営プロセスを市役所へ定着させていきます。

市民生活の安全・安心の向上、市内経済の持続的な成長・発展を力強く推進することを期待し、次の質問に移ります。

4 AIの積極的活用

次に、AIの積極的な活用について伺います。

スライド(想定される生成AIの市場規模)をご覧ください。

こちらは総務省の「情報通信白書」からの引用ですが、世界の生成AIの市場規模の拡大の様子を表しています。様々な分野での利用が拡大し、2027年には、1,200億ドルまで拡大が予想されています。

次のスライド(個人・企業による生成AI利用の現状)をご覧ください。

こちらのスライドでは、個人・企業による生成AI利用の現状について表しています。我が国の個人の生成AI利用は、諸外国に比べるとまだまだ低い水準にとどまっています。企業の利用についても高い水準とはいえません。しかしながら、急速に伸びて来ているという状況も見て取れます。
こうした状況を踏まえ、本市としても、AIを都市経営の質を高める戦略的なツールとして位置づけ、積極的に活用していく必要があると考えます。
今後、労働力不足が一層深刻化する中で、社会はAIを前提とした時代に移行しつつあり、先日の所信表明演説でも、AIの活用を図っていくと述べられていました。そこで、
市政運営においてAI活用をどのような方向性で進めていくのか、市長に伺います。

【答弁】従来からの職員の経験や洞察といったものを大切にしながらAIの可能性を正しく方向づけ、また、活用することで、市民サービスの更なる向上や業務の効率化はもとより、データに基づく政策経営をAIで支えることができると考えています。それにより市政運営の高度化が実現します。市民満足度の最大化と行政コストの最小化を追い求めて、市民目線に立った全庁的なAIの活用を進めていきます。

AIの可能性は非常に大きく、その効果は多岐にわたります。だからこそ、AI活用は一時的な業務効率化にとどめるのではなく、戦略的なアプローチが重要と考えます。そこで、
本市として、AI活用に関する明確なビジョンを持ち、着実に進めていくことが重要と考えますが、市長の見解を伺います。

【答弁】行政の在り方や発想そのものを変革させて、持続可能な都市経営モデルを構築していくためにAIは強力な手段となり得ます。そのため戦略的なAIの活用を経営ビジョンに組み込んでいくことが重要です。次期中期計画におきまして、市民の皆様が成果を実感できる目標や取組を設定して、AIの活用と実装を進めてまいります。

AIの進化は目覚ましく、スピード感を持って対応することが求められています。これまでの常識にとらわれず、あらゆる可能性を柔軟に検討し、必要に応じて外部の専門家の知見も取り入れながら、本市がAI先進都市となることを期待し、次の質問に移ります。

5 循環型都市(サーキュラーエコノミー)

次に、循環型都市について伺います。
先日公表された、新たな中期計画の基本的方向において、「循環型都市への移行」が横浜の成長と発展に向けた重要な政策の柱に位置づけられました。

スライド(循環型都市への移行)をご覧ください。

これは基本的方向に示された、サーキュラー施策を体系的に表現したものになりますが、リサイクルや食・農業など6つの施策分野が掲げられ、それらを連動しながら循環型都市への移行に取り組むことが示されています。
これまで、各局で進める個別の取組に対し幾度となく市会の場でも取り上げてきました。また、先の本会議において、我が党の伊波議員から「環境の共生」と「経済の発展」の両立を目指すサーキュラーエコノミーの推進について質問し、市長から答弁がありました。さらに先日、市長は大阪・関西万博におけるEU主催のプログラムに登壇され、横浜の取組みや循環型都市への移行について世界に発信されました。
このような中、新たな中期計画において、子育てや教育など総合的な14の政策群に加え、明日をひらく都市プロジェクトとして横断的に取り組む政策として、この「循環型都市への移行」が位置づけられたことに、注目しています。そこで、
「循環型都市への移行」を、新たな中期計画における横断的な取組に位置付けたねらいを市長に伺います。

【答弁】「地球の持続可能性」に関する課題が広く認識されるようになった今、これからの都市は「経済的な観点での成長・発展」に加えて、「自然環境と調和した豊かなくらし」を実現していく必要があります。循環型都市への移行はこれらの両立を目指す政策であります。新たな中期計画の基本的な方向性では「14の政策群」とは独立して、横断的に取り組むプロジェクトとして位置付けました。局を超えた取組を戦略的に進め、地球規模の持続可能性という課題の解決と都市の「成長・発展」の両立に挑戦をしていく所存です。

私の地元である保土ケ谷区では、JA横浜や農家の直売所などで野菜を購入できるほか、区内産のブドウを使ったワインやジャガイモを活用した焼酎などが作られています。野菜や果樹など様々な農畜産物が日々の暮らしの近くで生産され、市民の皆さまに提供される「都市農業」が本市の特徴であり、これらの事例は、食品ロスや環境問題、地域経済の循環などを考えるきっかけにもつながると考えます。
この様に、都市によっては強みや特徴があり、それを生かして循環型都市への移行を進めることが不可欠と考えます。そこで、
循環型都市への移行に取り組む際に何を重視するのか、市長に伺います。

【答弁】横浜市は、370万人を超える市民の皆様が暮らす「規模の大きさ」、港、海、商業地域、住宅、農業、みどりなどの「多様な都市環境」、そして、「高い市民力」といった強みや特徴があります。循環型都市への移行もこれらの強みや特徴を生かして、市場へのインパクトの大きさ、都市環境に応じた多彩なアプローチ、そして、市民の皆様と一体となった行動変容などの視点を通じて、生産・消費・再資源化のあらゆるステージにおいて、循環の「見える化」や「食・農業」、「住宅・まちづくり」といった、様々な取組を連鎖させていく、我々「サーキュラーリンク」と名付けましたが、そういった取組を連鎖させていく「サーキュラーリンク」のコンセプトのもとで、横浜らしい循環型都市を実現していきます。

循環型都市の実現は、単なる環境政策ではなく、横浜の都市構造そのものを再設計する挑戦です。全庁一丸となった取り組みが進むことを期待し、次の質問に移ります。

6 GREEN×EXPO2027

次に、GREEN×EXPO2027について伺います。
循環型都市への移行を着実に進めていくために、新たな中期計画の計画期間中に開催されるGREEN×EXPO 2027において様々な取組を展開し、多くの方々に発信していくことも重要です。報道などによると、大阪・関西万博のパナソニックグループパビリオン「ノモの国」のファサードや照明設備、ミスト設備などを、GREEN×EXPO 2027の出展者である東邦レオ株式会社がリユースするなど、「循環」を意識した動きが出ています。

スライド(大阪・関西万博 大屋根リング)をご覧ください。

9月18日の常任委員会において、我が党の鴨志田議員が、「大阪・関西万博の目玉施設である大屋根リングを万博同士のレガシーの継承、本市が進めるサーキュラーエコノミーの観点からも親和性が高く、暑さ対策の面からも効果が期待でき、GREEN ×EXPO 2027で活用すべき」と提言したところです。
先ほども触れましたが、山中市長も9月22日に訪れた大阪・関西万博で、「大屋根リングなど解体された木材をGREEN×EXPOで積極的にリユースしたい」との考えを示されたと聞いています。そこで、
GREEN×EXPOにおいて、大阪・関西万博で使われたものの再利用、特に大屋根リングの活用も含め、サーキュラー施策を積極的に展開していくべきと考えますが、市長の見解を伺います。

【答弁】GREEN×EXPOを循環型社会の姿を体感できる博覧会としていく必要があります。そのためにも、ホストシティとして持続可能な都市のモデルを国内外に強く発信していきたいと感じています。EXPO協会や出展企業と連携をして、大屋根リングをはじめとする、大阪・関西万博での部材の再利用やサーキュラー建築の導入、そして廃棄物の再生利用など今後の社会につながる取組を積極的に展開していきたいと思います。

序盤、中盤、終盤と大阪・関西万博を視察しましたが、特に、夏の暑さ対策。37℃の日の大屋根リングの下は、日陰となりいっとき休むことが出来ました。この木材を再生利用して、東屋や氷室、ベンチを作るなど、暑さ対策にも活用できるのではないかと考えます。
循環型都市実現に向けた挑戦の場として、GREEN×EXPO 2027においてサーキュラー施策を積極的に展開していただくことを期待し、次の質問に移ります。

7 更なる観光振興

次に、更なる観光振興について伺います。
本市の2024年の観光客数は3,773万人、観光消費額4,564億円と、ともに過去最高となり、コロナ禍から完全に回復し、再び横浜に多くの人々が訪れるようになりました。「新たな中期計画の基本的方向」においても、横浜の成長・発展に向けたプロジェクトに、「観光政策の更なる強化」を位置付けていますが、横浜市観光MICE戦略に掲げている2030年に観光消費額5,000億円という目標も間近となる中、本市の観光都市としてのポテンシャルは高いと考えており、もっと高い目標を目指すべきではないかと考えます。そこで、
今回の結果(観光客数、観光消費額が過去最高)を受け、本市の観光の現状をどう認識しているか、市長に伺います。

【答弁】「にぎわいスポーツ文化局」を2年前に創設して、民間事業者と連携した回遊施策などに、データを活用しながら戦略的に取り組んできたことも今回の結果につながっていると考えています。地域経済の活性化に寄与するといった好循環の兆しが見えてきていると認識しています。一方で、三溪園など既存施設の磨き上げや活用などは十分ではなく、より幅広い観光振興施策の深度化が必要だと考えています。

観光産業は、地域経済への波及効果が大きく、観光施策を強化し、本市経済の持続的な発展にしっかりと繋げていくべきと考えます。また、訪れた方々に横浜のファンになっていただければ、「また訪れたい」はもちろん、「住みたい」「働きたい」にもつながる可能性が大いにあり、そのことが都市のブランド力を向上させ、さらに投資を呼び込むという、まさに好循環を生みだすと考えます。
「新たな中期計画の基本的方向」では、世界を魅了するまち、と表現されています。そこで、
「世界を魅了するまち」に向けた、更なる観光振興の取組の方向性を市長に伺います。

【答弁】世界中の方々に訪れていただく観光都市を目指す取組を重層的に進めていきたいと考えています。世界に誇れる水際線、横浜ならではのにぎわいの創出、先ほど申し上げた三溪園など和の資源、そういったものをさらに活用して、横浜観光の魅力を大きく、さらに磨き上げるとともに、OTAなどデータに基づくプロモーションも効果的に行っていく必要があります。横浜経済の活性化に資する、より大きな好循環の構築を目指して、オール横浜で取り組んできたいと考えています。

我が党の政策集「責任と約束」においても、「横浜の観光の魅力を世界に発信」を位置付け、観光客の回遊性向上や横浜に「泊まる」観光施策の推進に言及しています。
一方で、そのための財源をどう確保するのか、ということも考えなければなりません。
私たちが目指すべきなのは、単なる観光地ではなく、「来てよかった」「また来たい」と心から思っていただける、“質の高い観光体験”を提供できる街です。
唯一無二の魅力的な観光資源の創出や歴史的な資源の保全、観光バスなどの交通拠点の整備、観光案内の充実、観光地のトイレ・ゴミ処理・清掃の強化、さらには災害・感染症への備えなど、こうした取り組みの一つひとつが、「このまちの魅力を磨く投資」です。そこで
観光によって得た恩恵を、次の観光施策へとつなげていけるような、持続的な観光振興が可能となる仕組みの検討も必要だと考えますが、市長の見解を伺います。

【答弁】これまで国費や民間資金などの活用に取り組んできました。また、現在、企業版ふるさと納税の拡充や新たな基金の整備などの検討を進めているところです。さらに、横浜商工会議所からは新たな財源確保に関する議論の場づくりについても要望をいただいております。持続可能な観光施策の推進に向けて、多様な財源の可能性について幅広く検討を進めていきます。

本市が「もっと選ばれる観光地」へ、「持続可能な観光都市」へと進化していくために、そのための仕組みづくりに着実に取り組んでいただけるようお願いし、次の質問に移ります。

8 都市マスタープランとそれに基づく具体的なまちづくり

次に、都市マスタープランとそれに基づく具体的なまちづくりについて伺います。
先日公表された「新たな中期計画の基本的方向」では、「経済の活性化」が、横浜の成長・発展に向けた「明日をひらく都市 プロジェクト」の一つとして位置づけられています。
令和7年5月に都市計画マスタープランが改定されたところですが、私はその改定にあたり、都市計画審議会の検討小委員会のメンバーとして、前回のプランの振り返りから、改定の基本的な考え方など、素案の作成に向けて深く検討に関わってきました。
改定プランでは、都市づくりのテーマが5つ掲げられており、その中でも、「経済」を支える都市づくりは特に重要だと感じています。そこで、
都市計画マスタープランに掲げる、経済を支える都市づくりの方向性を市長に伺います。

【答弁】国際競争力の強化に向けた都心部の業務機能の集積、臨海部や内陸工業地域での産業機能の高度化、大学との連携による社会課題の解決や先端技術の研究開発機能の強化などを進めていきます。こうした取組を全市で支えるために、着実な基盤の整備による交通ネットワークの強化や、その整備効果を生かした戦略的な土地利用を誘導していきます。

「経済」を支える都市づくりにおいては、人やモノの流れを円滑にする道路や鉄道等の交通ネットワークを強化していくことが、特に大切だと考えています。

スライド(羽沢地区位置図)をご覧ください。

羽沢地区は、環状2号線や第三京浜道路が通っており、令和元年には羽沢横浜国大駅が開業しました。また、JR貨物の横浜羽沢駅があることにより、物流面でも企業立地にとって優位性が高く、非常にポテンシャルの高いエリアです。
さらに現在、第三京浜道路の羽沢インターチェンジにおいて、横浜都心部の渋滞対策としてNEXCO東日本が事業者となり、フルランプ化の検討が進められています。
このフルランプ化は、広域的な交通ネットワークの強化に資する重要な施策だと感じています。そこで、
羽沢インターチェンジのフルランプ化に向けた市の取組状況と、今後の見通しについて、平原副市長に伺います。

【答弁】現在、詳細なランプ形状について関係機関や周辺地権者などと協議を重ねながら、事業者であるNEXCO東日本とともに検討を進めているところです。当初の目的である、市内の渋滞緩和、交通利便性の向上に加えて、今ご指摘いただきましたように、羽沢地区の鉄道・道路の結節点としてのポテンシャルがありますので、これを生かした、新横浜都心の強化につなげられるよう、横浜市としても引き続き、事業者と連携しながら事業を円滑に進めたいと考えています。

一日でも早く、フルランプ化を実現していただき、羽沢地区のポテンシャルを活かして都市的な土地利用への誘導を積極的に進めていただきたいと要望します。
また、整備した交通ネットワークを生かして戦略的にまちづくりを進めることも必要です。

次のスライド(西谷地区位置図)をご覧ください。

相鉄線の西谷駅周辺地区は、相鉄・東急直通線の開業により、すべての電車が停車するようになり、交通利便性は大きく向上しました。近年、再開発を促進すべき地区のエリアを拡大するなど、本市も駅周辺のポテンシャルの高さは十分認識されていることと思います。

次のスライド(西谷駅周辺地区写真)をご覧ください。

西谷駅は新幹線や国道が近接し、帷子川に囲まれた傾斜地にあり、主要な道路からのアクセスも限られているなど、開発にはクリアすべき多くの課題があります。時間がかかっても抜本的なまちづくりを進めていただきたいと願う一方で、現状に照らして、まずはできるところから速やかに取り組むといった柔軟性もこの地区には必要だと考えます。そこで、
西谷駅周辺のまちづくりは、できるところから取り組んでいくべきと考えますが、都市整備局長の見解を伺います。

【答弁】駅のポテンシャルは急激に高まっている一方で、駅周辺は小規模な建物が密集し、まちづくりを一体的に進めるには時間がかかります。まずは、喫緊の課題であるバス・タクシー乗り場や安全な歩行者空間の整備、駅のバリアフリー化などについて、鉄道事業者と連携し、できるところから粘り強く取り組んでいきます。

今回とりあげた羽沢のようにインターチェンジの新たな整備や、西谷駅のように相鉄・東急直通線の整備による停車本数の増加といった、交通ネットワークの形成・強化が、戦略的な土地利用につながるものと考えます。
最も根幹的な都市基盤である交通ネットワークの形成・強化には、大変時間がかかりますが、鉄道や都市計画道路など、いずれも、長期的な整備方針のもとに、地道に、着実に進めるべきものです。
「新たな中期計画の基本的方向」に掲げられた「横浜の持続的な成長・発展」を実現していただくためにも、しっかり整備を推進していくことを強く要望し、次の質問に移ります。
しかしながら、西谷におかれましては、西谷の妖精が天使になる前に、なんとかしていただきたいと強く要望して次の質問に移ります。

9 土地利用誘導戦略を踏まえた土地利用規制の見直し

次に、土地利用誘導戦略を踏まえた土地利用規制の見直しについて伺います。
本市が、今後も魅力ある都市としてあり続け、都市の活力を高めていくために、我が党は、これまで、土地利用規制を大胆に見直すよう、繰り返し提案してきました。
このたび、都市計画マスタープランの実現策となる「土地利用誘導戦略の方向性」が公表され、見直しに向けた第一歩が踏み出されたことを、大変喜ばしく感じています。
9月12日の市会本会議では、我が党の伊波議員と伏見議員がこれに関連した質問をし、市長からは、「新しい土地利用制度への挑戦や都市計画の見直しに前向きに取り組む」との答弁がありました。
この戦略では、地域ごとに目指すまちの姿や、土地の使い方の方向性が示されており、地域に必要な用途や公共への貢献の内容に応じて、土地利用の規制を緩和・見直す方針が記されています。
さらに、都市計画で定められている容積率や建物の高さについても見直しを検討することが盛り込まれており、この見直しにより、地域の魅力がさらに高まり、都市づくりへの民間投資の促進につながる制度になることを大いに期待しているところです。そこで、
都市計画で定める容積率及び高さ規制の見直しの考え方について、平原副市長に伺います。

【答弁】容積率と高さの規制はこれまでも地区計画などで柔軟に緩和してきたところですが、ベースとなる規制値は平成8年に定めたものでありまして、その後のインフラ整備の進展あるいは建物へのニーズの変化に対応した見直しが必要だと考えてございます。そのため、用途地域や高度地区の指定の考え方を整理し地域のポテンシャルに応じた容積率や高さの見直しに向けた検討を進めたいと思っております。あわせまして、再開発等における誘導用途あるいは公共貢献の評価の方法も見直していきたいと考えております。

私の地元である保土ケ谷区の保土ケ谷駅東口、和田町駅、上星川駅の周辺は、昔ながらの街並みが残る地域であり、耐震性に課題のある古い建物が多く、建て替えが進んでいない状況にあります。
今回の見直しにより、市民の皆様がまちの将来像を思い描くことができるようになることから、こうした駅にまで目を向けていただき、土地利用規制という大切なツールを上手に使いながら、次の世代にも誇れる都市づくりを進めていただくことを期待し、次の質問に移ります。

10 成熟したみなとみらいの今後のまちづくり

次に、成熟したみなとみらいの今後のまちづくりについて伺います。
スライド(みなとみらい21事業 着工時と現在の比較)をご覧ください。

みなとみらい地区は、約40年の月日を経て、街区がほぼ完成し、開発を進める時代から街を生かす新たな時代を迎えており、年間約230億円規模の税収と約2兆円規模の経済波及効果をもたらす街へと成長しました。
「みなとみらい」の「みらい」が象徴するように、常に新しい街であり続けるためには、「みなとむかし」になってしまわないようにみなとみらいが「いったいどこに向かっていくべきなのか」、将来を見据えたまちづくりをしっかりと検討していくことが必要なのではないかと考えます。そこで、
みなとみらいの今後のまちづくりの方向性を示し、地域の皆様と共有しながら、新たな取組を進めるべきと考えますが、市長の見解を伺います。

【答弁】概成した「まち」の魅力を磨きあげていくためには、次の時代を見据えた新たな目標が必要です。地域の皆様の意見をお聞きしながら、将来のあるべき姿とその実現策の検討を早急に進め、スピード感をもって取り組んでいきたいと思います。ビジネス環境の整備や賑わいの創出に資する魅力的な景観づくりなどを進め、ブランド力を高めていきます。これまでのスピード感ではなくて、もっとスピード感を持つ、役人的な進め方ではなくて、早いスピードで進めていくことをお約束します。

以前にも議会でお話ししたかと思いますが、お亡くなりになられた伊波洋之助先生が、引退される直前の27年3月、私に教えてくださったことがあります。
「みなとみらいは、将来の横浜にとって多大な影響を及ぼす場所になる。大きな利益を生み出す場所になる。そうしたものを我々は次の世代に残していく。そのためにここが出来た。」
洋之助先生が初当選時、そのように先輩から伝えられたそうです。その変わらぬ想いと精神を次の世代の私に伝えてくださいました。
「政治家は次の世代に何を残すか、何を残したか。」
先人たちが苦労を重ね脈々と築いてきた都市ブランドを、今後もしっかりと受け継いでいくような街づくりを、このみなとみらいでは特に進めていただくことを期待し、次の質問に移ります。

11 持続可能な下水道事業のあり方

次に、持続可能な下水道事業のあり方について伺います。
本年1月に埼玉県八潮市で発生した下水道管の腐食が原因とされた道路陥没事故は、社会に大きな衝撃を与えました。先の第1回定例会では我が党の大桑議員から、第2回定例会では我が党のおさかべ議員から、本市の下水道管の調査の進め方、調査結果への対応について質問をしたところです。
国土交通省では「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」が設置され、5月に第2次提言が示されたと聞いています。そこで、
第2次提言ではどのような内容が示されたのか、下水道河川局長に伺います。

【答弁】維持管理には安全性が何よりも優先されるという基本的スタンスのもと、主に下水道管路について、全国特別重点調査に基づく対策の実施、点検・調査の重点化と技術化、維持管理の容易性や冗長性の確保、さらに、アセットマネジメントを基盤とする投資最適化などが提言されました。

スライド(横浜市における下水道管路の整備延長)をご覧ください。

本市は、昭和50年台後半から平成はじめにかけて集中的に下水道管の整備を実施しており、現在、維持管理を行っている下水道管は約12,000㎞と膨大なストックを抱えています。このため、同様の事故が発生し多くの市民へ影響を与えないよう、国の提言を踏まえ下水道管の維持管理や老朽化対策の取組を進めていく必要があると考えます。そこで、
この提言について下水道管理者である市長はどのように受け止めているのか、市長の見解を伺います。

【答弁】市民生活の安心・安全を確保していくため、状態監視型の維持管理を着実に実施していくとともに、現在進めている全国特別重点調査に基づいた対策を確実に実施していきます。また、点検・調査の高頻度化、維持管理性の向上や、バックアップ機能の確保、包括管理やPPPによるインフラマネジメントなど、提言内容を踏まえた下水道事業を実施していく必要があると考えています。

下水道の維持管理や更新にしっかりと取り組み、次世代へと確実に引き継いでいくためには、経営の視点を取り入れた戦略的な事業運営が不可欠です。
本市では、有識者から広く意見を聞く附属機関として下水道事業経営研究会があり、本年3月に経営研究会・第10期を設置したと聞いています。そこで、
下水道事業経営研究会・第10期の議論の内容を下水道河川局長に伺います。

【答弁】人口減少社会の到来や昨今の物価高騰、施設の老朽化への対応など、下水道事業を取り巻く環境が厳しさを増しています。下水道事業経営研究会・第10期では、こうした状況のなかで、将来を見据えた持続可能な事業運営のあり方や下水道システムの方向性などについて、様々な分野の委員から専門的な視点でご審議いただいております。

昨今の厳しい社会経済状況の中でも、下水道サービスを安定的かつ持続的に提供し市民の安全・安心を将来に渡り確保していくためには、経営研究会で出される意見などを踏まえ、事業の経営を推進することが重要と考えます。そこで、
持続可能な下水道事業経営に向けた考え方を市長に伺います。

【答弁】下水道は市民生活に欠かせない重要なインフラであり、今後も、市民の皆様が安心して下水道を使えるようにしていくことが下水道管理者としての使命だと認識しています。老朽化対策を着実に進めるとともに、下水道が果たしている役割や経営状況などについて、市民の皆様のご理解をいただきながら、下水道事業をしっかりと推進していきます。

市民の生活を支える重要なインフラとして、安全・安心な下水道サービスの継続に向けた取組を一層推進していただくようお願いし、次の質問に移ります。

12 建設業の働き方改革

次に、建設業の働き方改革について伺います。
昨年、建設業への時間外労働の上限規制の適用や、第三次担い手3法が成立するなど、建設業の働き方改革に関連した大きな動きがありました。
技監は今年度から着任され、市の公共工事を統括する立場として、これまでに建設業界の方々と対話を行っており、建設業界からは、公共工事における一層の支援など、様々な意見が出ていると聞いています。そこで、
建設業界からの声をどのように受け止めているのか、技監に伺います。

【答弁】建設業界の方々からは、人手不足や物価高騰などに直面しており、建設業を継続していく上で極めて厳しい環境にあるというご意見を数多くいただいています。しかし、そのような中でも、まちづくりなど市民生活を支えているという高い意識をもち、様々な工夫をこらして取り組まれており、建設業に対する熱い思いを持たれていることを改めて感じているところです。

働き方改革は、法令はもちろんのこと、実態に合わせて取り組んでいく必要があると考えます。
建設業は社会資本の整備・管理の主体であるとともに、災害時における地域の守り手として重要な役割を担っています。市民の日々の生活を支え、安全・安心を確保するためにも、働き方改革を一層推進し、持続可能な建設業を実現していかなければなりません。そこで、
建設業の働き方改革のさらなる推進に向け、どのように考えているのか、技監に伺います。

【答弁】閑散期に加え繁忙期の平準化や、土日休日の確実な確保、暑さ対策の経費計上など、働き方改革を推進する取組を引き続き確実に進めていきます。また、対話でいただいたご意見を参考に、従来の考え方に捉われない柔軟な発注方法の検討や、将来の横浜の建設業を支える人材確保に向けた、公民連携によるSNSを活用した建設業の魅力発信など、新たな取組も進めてまいります。引き続き、建設業をしっかりと支援していきます。

公共工事の持続には、建設業の方々が活き活きと仕事を行い、受注すれば報われると建設業界に感じてもらう必要があると考えます。
そのためには、適切な価格で受注ができる環境を整えることも重要です。事業者の経営が安定化することにより、継続した賃金上昇が実現し、さらには横浜経済の活性化にも大きく寄与します。
引き続き、公共工事を通じて建設業の働き方改革をしっかりと支援していくことを要望し、次の質問に移ります。

13 大規模停電時の対応

次に、大規模停電時の対応について伺います。
スライド(保土ヶ谷区停電発生エリア)をご覧ください。

8月6日、私の地元である保土ケ谷区星川一丁目付近で発生した、電線の被覆が燃える火災の影響により、区内の広範囲で停電が発生しました。
今回は、約4,900軒、約3時間30分の停電であったことから、定義上の大規模停電ではなかったものの、気温34度を超える日中の停電であったこともあり、突然のエアコン停止など、酷暑時の停電が長く続けば市民生活が混乱し、重大な事態になると危機感を覚えました。
行政としても、停電時における確実な対応が必要ですが、発生当日にどのような対応が行われたのか気になるところです。そこで、
停電時の保土ケ谷区役所の対応を危機管理監に伺います。

【答弁】停電発生直後から、区役所職員が火災現場や区役所周辺の停電状況、混乱の有無を確認いたしました。また、停電情報や一時的に暑さを凌げる施設について、区公式SNSを通じて、速やかに発信し、市民の皆様の不安解消に努めました。さらに、熱中症対策として、冷房の効いた区役所の会議室や公会堂を一時的に開放し、近隣の保育園児や住民の受け入れを行いました。

答弁にもあったように、保育園の園児を暑さから守るため、区役所職員の機転により冷房の効いた区役所に受け入れたことについては、当日は、非常に暑かったこともあり、状況に応じた素晴らしい判断だったと思います。しかしながら、避難すべきは幼児だけでよかったのかは疑問が残ります。
停電時には、現代の生活においては必需品ともいえる携帯電話の通信も停止する可能性もあり、停電時の混乱の中、必要な情報も入手困難な状態になることも考えられます。
特に高齢者や乳幼児、障がいのある方など、日常から電源を要する機器等を使用している配慮が必要な方々にとっては、命にも関わる事態となり得ることから、大規模な停電が発生した場合への備えが重要だと考えます。そこで、
大規模停電時の本市の対応を危機管理監に伺います。

【答弁】速やかに警戒体制を確立するとともに、電力事業者と緊密に連携の上、停電の発生状況や影響範囲、復旧の見通しなどの情報を収集し、迅速かつ正確に市民の皆様へ発信することで、混乱の防止に取り組んでまいります。また、病院等の重要施設における電力供給の確保、断水に備えた給水車の準備、避難所の開設や市民利用施設等の開放など、市民生活への影響を最小限に抑えるよう、必要な対策を講じてまいります。

停電が発生すると、市民が不安を感じることもあります。また、混乱に乗じて不安を煽るようなデマやフェイクニュースが拡散される可能性も考えられます。そこで、
「停電発生時の適時適切な情報発信が重要」と考えますが、市長の見解を伺います。

【答弁】停電が起きますと、不正確な情報による混乱が生じることもありますので、停電の状況や復旧の見込みなど、できるだけ早く、かつ正確に市民の皆様にお伝えすることが大切です。市民の皆様の不安を解消するため、防災情報EメールやSNSなどの情報発信に加えて、現在、ウェブサイトで防災関連情報をワンストップで入手することができる防災プラットフォームの構築を、来年度の運用開始に向けて進めています。今後も更なる情報発信の充実を図ってまいります。

災害時の情報発信では、ウェブサイトやSNSなどのデジタルツールの活用だけではなく、広報車の巡回など、アナログな手段も含めてあらゆる手段を講じ、確実に市民に伝わることが大切です。
また、情報発信だけでなく、周辺地域で自家発電がある施設を開放して臨時避難所を設けたり、避難のお手伝いをするなどの対応も必要です。
今後も引き続き、停電時を含め、災害時に適時適切な対応をしていくための取組を要望し、次の質問に移ります。

14 カムチャッカ半島付近の地震による津波

次に、カムチャツカ半島付近の地震による津波について伺います。
スライド(カムチャツカ半島付近の地震による東京湾内湾 津波観測状況)をご覧ください。

7月、カムチャツカ半島付近で発生した地震により津波が発生しました。東京湾内湾で津波が観測されたのは、平成27年9月のチリ中部沿岸地震以来で、約10年ぶりのことです。横浜市沿岸も津波注意報の対象となっており、緊張が走る事態となりました。そこで、
本市としてどのような対応を行ったのか、危機管理監に伺います。

【答弁】津波注意報の発表を受け、速やかに警戒本部を設置し、屋外スピーカーやSNSなどで注意喚起を発信するとともに、15か所の避難場所を開設し、約600人の避難者を受け入れました。また、横浜港では最大30センチの津波を観測いたしましたが、海づり施設等の市民利用施設やコンテナターミナル、道路、河川などについて、職員等が現地に赴き、人的被害や建物の破損がないことを確認いたしました。

今回は、避難を求める市民の不安を受け止め、臨機応変に避難場所を開設し避難者を受け入れたことは、日頃の成果かと思います。
津波注意報の避難行動としては、「海の中にいる人はただちに海から上がって、海岸から離れること」となっていますが、津波警報や大津波警報が発表された場合には、沿岸部や川沿いにいる人は、避難指示の発令を待つことなく、「ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難すること」となっています。津波警報は頻繫に発表されることがないため、市民の皆様が、躊躇なく速やかに避難行動を起こすことの大切さを認識してもらう必要があると考えます。そこで、
避難行動をどのように普及啓発していくのか、市長の見解を伺います。

【答弁】津波警報が発表された際は市民の皆様には迅速かつ的確な避難行動をとっていただく必要がございます。これまで、ハザードマップの周知や海抜標示の設置、津波避難施設の指定、屋外スピーカーの拡充などに取り組み、より早く、より高い場所への避難を周知してきたところです。いざという時に、迷わず行動ができるよう、訓練や防災イベントなど様々な機会を通じて、より一層の啓発に努めてまいります。

自らの命を守る行動を取っていただくためには、平常時からの意識啓発と、避難行動の定着が不可欠であると考えます。
本市としても少しでも津波による被害を軽減するために、実効性のある取り組みを一つひとつ着実に進めていただくことを強く要望し、次の質問に移ります。

15 教職員の不祥事防止対策

次に、教職員の不祥事防止対策について伺います。
8月26日の臨時常任委員会や9月16日の常任委員会でも議論がなされ、9月12日の本会議でも、我が党の伊波議員から質疑をしたところです。
今回の小学校教諭の事案は、決して許されない犯罪行為であり、多くの児童生徒や保護者の皆さんに不安を与えています。ちょうど昨日、当該教諭の初公判が行われ、報道等もされているところです。この事案は、SNSでつながっている10名程度のグループのうち、当該教諭のほか、名古屋市、葉山町、北海道千歳市、東京都豊島区の計6名の教員が逮捕されたとのことです。
教育関係者による児童生徒への性暴力は、まさに社会問題であり、国レベルでの対策も求められるところかもしれません。
また、本市においては、取り急ぎ総合的対策を取りまとめて、順次着手していると聞いています。そこで、
本市の対策で大切にしている点を教育長に伺います。

【答弁】スピード感を重視し、児童生徒の夏休み期間中にできる対策から順次、速やかに実施することに注力しました。幅広い分野の有識者の知見をいただき、他都市の事例や手法を検証しながら、あらゆるリスクを想定して、教職員、児童生徒、物理的の3つのアプローチによって総合的な対策を講じることとしました。

教職員に対する研修や意識づけも必要でしょうが、それだけではなく、様々なアプローチから総合的な対策を講じなければ簡単には抑止できないと考えます。お互いの気づきにつながるように、今回の対策を真に効果的なものにすることを期待します。
当該校にはスクールカウンセラーを重点的に配置するほか、夏休み前、性被害に特化した相談窓口を開設し、こどもたちからのSOSのキャッチに努めていると聞いています。被害を直接受けていない場合であったとしても、将来にわたって子どもたちの傷を残さないことが、極めて重要です。そこで、
子どもたちが安心して学校生活を送れるよう、心のケアに関する対策に取り組むべきと考えますが、教育長の見解を伺います。

【答弁】夏休みに合わせた専門相談窓口の開設や一人一台端末から相談申込ができる仕組の導入など、相談体制の拡充に取り組んできました。さらに、全児童生徒を対象とした「いのちの安全教育」をこれを11月までに、児童生徒向けのアンケート調査を12月までに行います。様々なチャンネルを通じて捉えた児童生徒の不安な気持ちを、SC、SSWや弁護士等とも連携して継続的にケアしていくことで、安全・安心な学校づくりに万全を尽くしてまいりたいと思います。

教育委員会においては、引き続き、児童生徒の心のケアを最優先にするとともに、各種対策の不断の改善を強くお願いいたします。
教育委員会がまとめた13項目からなる対策は、先ほどの児童生徒へのケアだけでなく、犯罪学や行動経済学の知見を活用するなどの新しい教職員へのアプローチが含まれています。また、専門業者による点検や隠しカメラ探索機器の導入などの物理的な対策もあり、他都市ではこのような総合的な取組はあまり見受けられません。
これらの対策をより実効性のあるものにするためには、事務局だけではなく学校現場が当事者意識をもって主体的に対策を考え実施すること、そして、一度対策を講じて終わるのではなく、常に進化させ続けていくことが重要です。そこで、
教育委員会が実施する対策への受止めを市長に伺います。

【答弁】児童生徒に向けては相談窓口の新設、一人一台端末からSOSを発信するシステムの構築、いのちの安全教育の授業などを開始しています。教職員に向けては犯罪学等の切り口からの研修の実施、写真撮影ガイドラインの策定などを行い、すぐーるやホームページで保護者等に発信していると報告を受けています。夏休みをまたいだこれらの取組の結果、不祥事防止のための「行動宣言」の策定など、教職員による自発的な動きも出てきていると聞いています。引き続き、教育委員会の主導的な取組を、しっかりと後押ししてまいります。

多くの教員の方々は、日々、子どもたちと真剣に向き合い、教育活動に尽力されています。一部の教員の犯罪行為によって、決して、その他の教員にあらぬ疑いの目が向けられたり、士気が下がるようなことがあってはならないと考えます。
決して妥協せずに、子どもたちの安全・安心のために万全を尽くすことを、そして、これらの対策を躊躇なく進めていくことが必要であり、市長には、そのために必要な予算などを措置することを要望し、次の質問に移ります。

16 公園の夏の暑さ対策

次に、公園の夏の暑さ対策について伺います。
横浜で観測された6月から8月の平均気温は、明治29年の統計開始以降で最高を更新し、8月初めには中区で最高気温が38.1度を記録した日もあり、まさに記録的な酷暑となりました。
このような厳しい夏の暑さの中、昨年の第3回市会定例会でも、「公園における夏の暑さ対策」について質問し、市長からは、「プールなどの公園施設を安心して利用できるよう、必要なインフラの改修を早急に進めるほか、緑豊かな公園の木陰や市民の森などの緑がつくる涼しさを生かして、夏の暑さの中でも安心して遊べる環境づくりを進めたい」との答弁がありました。

スライド(こどもログハウスの様子)をご覧ください。

こちらは、保土ケ谷区川島町公園のこどもログハウスです。こどもログハウスの整備当初は、エアコンなどは全く設置されず、その後、暑さ対策としてエアコンの導入が進められていると聞きますが、特にこの近年の、厳しい夏の暑さに対し、このログハウスでの対策にどのように取り組まれているのかも、大変気になるところです。そこで、夏の暑さ対策に向け、
公園プールやこどもログハウスでどのような対策が進められてきたのか、みどり環境局長に伺います。

【答弁】公園プールについては安全・安心にご利用いただけるよう、老朽化した施設の更新・修繕等を進めるとともに、プールサイドに遮熱用シートを設置するなど、暑さ対策に取り組みました。こどもログハウスでは屋根の断熱化工事や空調設備の設置を進めており、令和6年度までに5館で対策を完了し、7年度は保土ケ谷区を含めた4館で対策工事を実施しております。

公園プールやこどもログハウスなどは、こども達にとって夏の暑さの中でも、安心して利用できる公園施設の代表です。全般的に老朽化も進展している状況と見受けますので、改めて、対策工事や設備改修を着実に進めていただきたいと要望します。公園プールには、できれば、濡れた水着を乾かすことのできる脱水機も備えていただきたいところです。

次のスライド(水遊びイベント)をご覧ください。

こちらの写真は、緑区にある玄海田公園で、指定管理者が自主事業として開催している「じゃぶじゃぶ水遊び!&子供服ゆずりあい会」というイベントの様子です。
簡易プールやスプリンクラーによる噴水、水鉄砲などでこどもたちが楽しんでいる風景であり、大変な人気だったと聞いています。
こどもたちにとって、夏休みは、家族や友達と思い切り遊んだり、普段の学校生活とは異なった体験をすることで、心身ともに成長できる貴重な時間です。
先ほどの事例のように、夏の暑さ対策として工夫して取り組んだイベントも大変素晴らしいと思いますが、市内で求められているニーズに対してはまだ十分ではないと思います。そこで、
公園等での夏の暑さ対策として、ハードソフトの両面から、様々な取組をさらに総合的に力強く進めていくべきと考えますが、市長の見解を伺います。

【答弁】公園が夏の暑さの中でも、市民の皆様にとって憩いの場となることが必要だと思います。公園のまちヨコハマを目指していくためにも、今後も緑豊かな公園や市民の森の木陰・水辺を生かした、涼しく過ごせる環境づくりに取り組んでまいります。さらに、水遊びなど、夏のイベントの拡大や内容の充実を図って、横浜のこどもたちが身近な公園で遊べるよう、取組を進めてまいります。

この夏のような厳しい暑さは、来年以降も続くことが予想されます。
昨年度に引き続き、公園等における夏の暑さ対策をしっかりと進めていただくよう、改めて要望し、次の質問に移ります。

17 保育料の無償化

次に、保育料の無償化について伺います。
9月から、東京都が保育料の無償化を開始しました。無償化自体は、子育て世帯の負担感軽減に寄り添う政策ではありますが、横浜に住み、都内で働いている方々も多くおり、保育料の支援の差に戸惑っている方々は多いかと思います
本市の保育料は、多子世帯に対する軽減について、保育所等を利用している就学前のお子さんをカウントして、第二子を概ね半額、第三子を無償としており、国の基準と同等になっていますが、独自に多子軽減の拡充を行う自治体も増えています。そこで、
本市に寄せられている保育料に関する市民の声をこども青少年局長に伺います。

【答弁】東京都が保育料無償化の方針を打ち出した昨年以降、市民の皆様からの保育料に関する広聴の件数が増加しております。内容としては、多子世帯への支援や、第一子からの無償化など、保育料の負担感を軽減してほしいというものが多く、中には「横浜のことは大好きだが、東京の人がうらやましい」といったような声もいただいています。

スライド(東京都における主要な子育て支援)をご覧ください。

こちらは、東京都の主な子育て支援をまとめた表です。
ご覧のとおり、東京都では、今回の保育料無償化より前から、高校授業料無償化や018サポート、給食費無償化など、独自の子育て支援を行っています。このように、財政力がある都市だけが先行していくことに対しては、疑問を感じます。先の第2回定例会でも、我が党の鴨志田議員から、自治体間の税源の偏在是正について質問しましたが、本来は、国が制度化することで、全国どこに住んでいても同じ支援が受けられることが重要だと考えます。そこで、
東京都の保育料無償化をどのように受け止めているのか、市長に伺います。

【答弁】東京都の保育料無償化が開始されて、地域間の格差がますます拡大したと感じています。過度な都市間競争を防いで、子育て世帯の不公平感をなくすためにも、居住する地域に関わらず、同一水準のお値段でサービスを受けられることが望ましいと考えます。これまでも国に対して、自治体の財政力に関わらず全国一律の負担軽減策を講じるよう要望してきました。引き続き、国に対して働きかけを続けてまいります。

地域間格差を埋めるべく、国が主導して支援を検討していくことは重要だと考えますが、市としてもその姿勢を見せていく必要性があると考えます。そこで、
「本市の子育て世帯の負担軽減に引き続き力を入れて取り組むべき」と考えますが、市長に見解を伺います。

【答弁】地域の実情に応じた負担軽減策は重要であり、本市では、これまでも様々な独自的な経済支援に力を注いでまいりました。これからも、経済的な支援も引き続き、そして時間や心のゆとりを生み出せる多面的な支援を充実させていく必要があろうかと思います。様々な施策を重層的に展開することで、子育て世帯の負担軽減を図ってまいります。

子育て世帯の負担軽減につながるよう制度の充実を要望し、次の質問に移ります。

18 国際貢献

次に、国際貢献について伺います。

スライド(ベトナム国ハノイ市)をご覧ください。

これは、横浜水ビジネス協議会会員企業が受注したベトナム国ハノイ市最大となるエンサ下水処理場の建設中を視察した際に撮影したものです。先日完成し、開業式典が開催されたと聞きました。
この事業は、行政間での経験やノウハウの共有といった技術協力に留まらず、市内企業の海外インフラビジネスへと進展させ、行政と民間の両セクターの強みがベトナム国ハノイ市で花が開いた成果だと思います。
さらにその他の新興国へ目を向けると、水環境改善を目指した、下水道の普及は今後ますます重要であり、水ビジネスにつなげていけるチャンスが大いにあるのではないかと考えます。そこで、
下水道分野における国際協力の取組状況を下水道河川局長に伺います。

【答弁】ただいまお話がありました、ベトナム国ハノイ市において、下水処理に伴い発生する汚泥処理、及び再資源化事業の獲得に向け、市内会員企業と連携して取り組むとともに、南部のドンタップ省では、新たな下水道整備に向けて現地政府機関と協議を進めています。また、フィリピン国メトロセブ都市圏では、会員企業の技術が導入された下水処理場となるよう、整備計画策定などに参画しています。

次のスライド(フィリピン国セブ市)をご覧ください。

昨年、フィリピン・メトロセブを訪問し、廃棄物処理の状況や、市内企業によるリサイクル工場を視察しました。生活環境の改善や海洋プラごみ対策などの観点から、新興国においても分別・リサイクルの推進は重要な課題であり、本市の国際協力の必要性を強く感じたところです。
セブ島では一昨日、大きな地震があったと報じられました。お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。
廃棄物分野におけるメトロセブの支援については、先の第1回市会定例会で、我が党の大桑議員の質問に対し、「人口規模が最大で住民啓発等に課題を抱えるセブ市を支援していく」との答弁がありました。そこで、
フィリピン国セブ市での廃棄物分野における国際協力の取組状況を資源循環局長に伺います。

【答弁】現地でセブ市長と今後の進め方などにつきまして協議をし、そして廃棄物管理の改善に向けて、新たにチームが編成されたところでございます。また、地域で分別・リサイクルに取り組む方々の活動を視察させていただき、意見交換を行いました。その中で、行政によるリサイクル体制の整備や、住民の意識向上に向けた取組へのニーズを把握することができました。セブ市の分別・リサイクル推進に向けまして、セブ市の行政官の廃棄物管理のスキルアップを今後とも支援してまいります。

こうした国際社会の分野で長年積み重ねてきた実績は、国際社会において大きな強みになると考えます。そこで、
「国際協力の実績は横浜の資産であり、国際プレゼンスの向上に一層活用すべき」と考えますが、市長の見解を伺います。

【答弁】横浜市が積み重ねてきた国際協力の実績は、OECDからも高い評価をいただくなど、本市の強みの一つであります。これまでも、世界のリーダーが集まる国際会議等で発信してきましたが、最近では、ホストシティを務めたTICAD9がございました。日本で開催される最大規模の国際会議でありましたので、「市民が世界に誇れる都市」を実現していくための大きなチャンスと考え、アフリカ22か国との首脳会談を行い、横浜市のこれまでの技術協力の取組などを紹介してきたところであります。今後も、11月に14回目となるアジア・スマートシティ会議を開催し、循環型社会の実現に向けて、海外都市との協力や世界への発信を一層強化するなど、横浜の国際社会におけるプレゼンスの向上につなげていきます。

こうした強みをしっかり活用し、横浜の国際的な存在感を高めていただきたいと要望するとともに、国の役割、基礎自治体の役割をしっかり認識し、歴史的経緯をきちんと捉え、それぞれの役割に応じた行動、発言を展開するようお願いし、次の質問に移ります。

19 日産スタジアムのネーミングライツと市長の政治姿勢

最後に、日産スタジアムのネーミングライツと市長の政治姿勢ついて伺います。
日産スタジアムのネーミングライツは、令和8年2月に現在の契約期間が終了し、次の契約については、1年間5千万円の内容で協議がまとまったとのことで、日産自動車と契約更新の手続きを進めることが、9月19日の常任委員会で報告された次第です。
その一週間後の、先日9月26日の市長記者会見では、この内容について再検討するよう、担当するみどり環境局に指示をしたとの説明が市長からあり、各種メディアでも大きく報道されており、市民の関心にとどまらず、日本中の関心事項になっています。
常任委員会からわずか一週間後に、報告した内容を覆し再検討すると、市長記者会見で発表するというのは、かなり異例な対応であり、議会軽視とも受け取られるものです。そこで、
なぜ9月19日の常任委員会以降に再検討を指示したのか、市長に伺います。

【答弁】担当局からは市民の皆様の混乱を招かないことやネーミングライツの空白期間が生じないことを前提に進める旨の報告を受け、私も了といたしました。しかしながら、一年間5千万円という話が注目される中で、市民の皆様に疑念をもたれかねないという懸念から、常任委員会で、契約金額の妥当性など、厳しいご意見をいただいたと認識しております。市民の財産であるスタジアムのネーミングライツの価格の妥当性について、改めて市民の皆様と担当局の考えの乖離を埋める必要があると考えて、再検討の指示をいたしました。重ねて申し上げますが、私としては、市民の皆様の混乱を招くことがないよう、常任委員会でのご意見を重く受けとめて対応したものでありますが、議員のご指摘は真摯に受けとめたいと思っておりますので、どうぞご理解ください。

この間、様々なことを考えて再検討という結論になったかと思います。それについては、必ずしも否定しません。
そもそも政策の実現は、二元代表制のもと、議会の存在があってこそできるものです。
市長が今後の政策形成や市政運営を進めるにあたっては、同じく市民から負託を受けた我々議会と血の通った、魂のこもった議論を交わすことが当然に求められます。その点で、今回の件にとどまらず、この4年間を振り返ると、議会との対話が十分でなかった、あるいはすれ違いを感じる場面もあったと考えています。
2期目の市長にはもっと血の通った、魂のこもった議論をしていただきたい。そうした想いを強く持っています。そこで、
議会との対話を重視した市政運営に努めるべきと考えますが、市長の見解を伺います。

【答弁】市民の皆様に望まれている喫緊の課題の解決のために、市会の皆様と丁寧な市政運営を進めてまいりましたが、御指摘については、真摯に受け止めたいと思います。すべての市民の皆様の「安全・安心」な暮らしをお守りし、より良い横浜をつくっていくという共通のゴールに向けて、市会の皆様とともに、市政運営に全力で取り組んでまいります。

今回の日産スタジアムの問題は、常任委員会でこの方針でいくと局長が言い切ったのち、方針を見直すのであれば、記者会見の前に少なくとも所管常任の委員には、なんらかの形で一報を入れていただきたかった。入れておくべきだった。私だけでなく、多くの議員がそのように感じていると思います。そのような姿勢が、山中市政の政治姿勢の問題の根幹だと感じています。
政策の議論だけではなく、人と人が信頼できる、そういった環境があってこそ、真に政策の議論が展開できるわけです。
記者会見の一部始終と、文字起こししたものを確認しましたが、本件にとどまらず、市政全般について、最終的には市長に責任があります。
選挙で選ばれた政治家が、政治判断したことは、役人ではなく、政治家が直接伝えるべきなのです。
でも、あのやり取りだけを見ていると、所管局が悪い。所管局の見通しが甘い。何か勘違いというか、そのようなおつもりはないかと思いますが、責任転嫁している様にも見えてしまいます。
市民の皆様も、山中さんって、市長なのに、責任を持たない。部下に責任を押し付けるって思われても仕方がないですよ。
私は、2期目、素晴らしい得票数で再選された山中さんと、議会との関係がより良い方向に進み、より市民生活の向上にお互い努力出来る関係を構築するような議論に今日は終始するつもりでした。
しかしながら、山中市政2期目の門出の本定例会は、このままで大丈夫かと。ちょっと疑心暗鬼というか、不安というか、何かいたたまれない気持ちになってしまった。本当に残念でなりません。

加えて、すべての物事において、相手が何を、どのように考えているか。きちんと相手の気持ちになって見定めないといけないと思います。
相手のことを理解し、尊重してこそ、自分自身だって理解され、尊重されるものです。
それを忘れてはだめです。
自分自身にも、今、あらためて言い聞かせました。
質問を終わります。ありがとうございました。

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