いそべ圭太  自由民主党 横浜市会議員(保土ケ谷区選出) 公式ホームページ

2018.10.31

水道局 局別審査 平成29年決算第二特別委員会 平成30年10月17日

決算特別委員会の局別審査において、「資源循環局」の決算審査に関連し、質疑に登壇しました。

(質問の要旨だけでなく、答弁の要旨も記載しています。)

1 老朽管更新・耐震化
(1)老朽管更新・耐震化の考え方と実施状況
【答弁】水道管は材質毎に会計上の耐用年数というものが決まっておりますが、水道局ではそれより長い局独自の想定耐用年数を設定した上で、過去の漏水事故などの事故履歴や、健全度評価を基に前倒しや先送りにより平準化を図りながら管路の更新・耐震化を進めています。現在は年間110kmのペースで更新・耐震化を行っておりまして、現時点で市内の水道管約9,200kmのうち、約2,300kmが耐震化済で、耐震化率は25%となっております。

(2)効率的な更新計画に向けた取組
【答弁】今ご説明いただきましたように、高度経済成長期の昭和40年代には2,400kmの管路を布設しておりまして、今後はこれらの管路が短期間に集中して更新時期を迎えるということになります。この対策といたしまして、老朽管更新工事で撤去された管路を実際に調査をし、土壌条件に応じた老朽の度合いを見極めるということをしたうえで、更新時期のさらなる前倒しや先送りを行うそういう取組を今年度から始めました。こうした取組を、次期中期経営計画の管路更新計画に反映をしまして、効率的な管路更新を行っていきたいと考えております。

(3)今年の大規模地震を踏まえた検討課題
【答弁】北海道胆振東部地震では、地盤の液状化による管の抜け出し被害があり、大阪北部地震では、管の継手の抜け出しではなく、管本体の破損による被害が発生しました。
特に、大阪北部地震では、昭和30年代後半から40年代にかけて布設した、現在も本市で主に使用しているダクタイル鋳鉄管が被害を受けました。当時の規格を調べたところ、管を曲げようとした際の粘り強さ等の性能が、現在使用しているものよりも劣ることがわかりました。今後、こういった事も参考にしながら、更新の優先順位の見直しなどを行い、管路更新の計画に反映させていきたいと思っております。

(4)耐震化をより効果的に進める取組
【答弁】現在、年間約110kmのペースで更新・耐震化を進めておりますが、このペースでは、1年で約1.2%しか耐震化率が向上せず、全ての管路を耐震化するのにあと60年以上かかるということになります。そこで、減災という観点から、地域防災拠点や、病院などにつながる管路の耐震化を優先的に進めております。また、水道局で管理する水道管は、局が布設した管路と、民間の開発事業者が布設をし、局に譲渡された管路があります。民間の事業者が布設した管路は、非耐震管の割合が高く、耐震化率が上がらない要因となっているため、今後は譲渡を受ける条件を耐震管のみに変更して、耐震化率の向上を図っていきます。

2 道路内私有管の受贈条件の見直し
(1)道路内私有管の受贈条件の見直しの狙い
【答弁】宅地開発などにおきまして、民間の開発事業者が布設し、その後水道局に譲渡される水道管は、これが年間19kmほどでございまして、このうち約16kmが非耐震管となっております。この非耐震管の耐用年数は40年でございまして、40年後には、これらの管の更新のために年間約21億円が必要ということです。そこで、後年度の負担を軽減させるために、受贈条件を耐用年数が80年の耐震管に限定するこということにしました。この見直しによって、災害時に、より安定して飲料水確保ができるという効果も期待しています。

(2)道路内私有管の受贈条件の見直しの具体的な内容 
【答弁】現在、本市が開発事業者から譲渡を受ける水道管の材質は、非耐震管であるビニルライニング鋼管及びビニル管、耐震管であるダクタイル鋳鉄管の3種類を指定しております。32年度からは、譲渡を受ける水道管を耐震管であるダクタイル鋳鉄管に限定することとしました。

(3)受贈条件見直しによる開発事業者等への影響
【答弁】開発事業者が行う工事費への影響といたしましては、過去の1件あたりの受贈管の平均延長27mで試算いたしますと、非耐震管では約156万円のところ、耐震管では約227万円となり、約45%、71万円の負担増となります。また、実際に水道管の工事をされる工事店への影響といたしましては、現在の指定材料の在庫を多くお持ちの工事店があることや、今回唯一の指定となるダクタイル鋳鉄管の施工に不慣れな工事店があることなどが挙げられます。

(4)水道工事店の負担軽減に向けた取組
【答弁】水道工事店の負担軽減策といたしましては、在庫の入替などのために一定期間を確保するとともに、本市が指定をしている指定給水装置工事事業者約2,200者すべてを対象に、無料でダクタイル鋳鉄管の接合などに関する講習会を開催し、施工技術を習得していただきたいと考えております。これらのために、2年間の準備期間を設け、32年度から制度を運用開始することとしました。

3 水利用実態調査の結果
(1)水利用実態調査の内容
【答弁】一般家庭101世帯において、アンケート調査と水使用機器毎に蛇口での水量調査を行いました。アンケート調査では、基本情報として、世帯人数や、戸建て、マンションといった住居形態などを把握し、また、詳細情報として、風呂、トイレ、台所などの用途毎に節水機器の普及状況などを把握しました。蛇口での水量調査では、各家庭の水道メーター及び水使用機器毎に調査機器を3週間設置させていただき、用途毎の使用水量を把握いたしました。なお、調査の過程で、機器の不具合などにより、有効データが88世帯となりましたが、統計上必要なデータ数は本市の全世帯に対し70以上であるため、信頼性と精度は確保されております。

(2)水利用実態調査を実施する上で工夫した点
【答弁】家庭における水の使用量は、1人世帯と4人世帯で異なるように、世帯人数に大きな影響を受けます。そこで、世帯人数による影響を正確に把握するため、今回の調査世帯、101世帯における1人世帯、2人世帯などの世帯人数の割合を、平成27年国勢調査における本市の実態に合わせました。これは、本市独自の工夫であると考えております。その他の工夫といたしましては、調査にご協力いただきやすいように、蛇口での水量調査では、家の中の配管を切断しないタイプの調査機器を採用いたしました。

(3)水利用実態調査結果の活用方法
【答弁】現在、審議会において水道料金等のあり方について、議論をしていただいておりますが、その中で将来の料金収入を予測するための根拠となる水需要予測は、大変重要なものでございます。そこで、より信頼性の高い水需要予測とするため、今回の調査から得られた節水機器の普及状況や、スライドでご覧いただきました、風呂、トイレ、台所などの用途毎の水使用割合などを活用しまして、本市の実態を反映させた水需要予測としたいと考えております。また、用途毎の水使用割合は、お客さまからお問合せをいただくこともあることから、水道に関心を持っていただくために、広報にも広く活用して行きたいと考えております。

4 道志水源林の保全
(1)道志水源林の管理・保全において目指している姿
【答弁】かつては地域産業の活性化のための「生産林」と、それから森林が水を蓄え浄化する水源かん養機能が高い「環境林」のこの両立を目的として管理を行っておりました。しかし、現在の管理計画では、水源かん養機能や生物多様性保全など、水源地の環境保全を重視した「環境林」を育むことを目的としておりまして、針葉樹と広葉樹が混生する針広混交林のこうした樹林の育成を進めています。

(2)新たな間伐方法の内容
【答弁】従来から行っていた樹木の密度を減らし光を取り入れる間伐に加えて、28年度から、新たな取組として、帯状間伐などを実施しています。この間伐方法は、一定の範囲をまとめて伐採するため、たくさんの光が当たる明るい場所を形成でき、そこに水源かん養機能などに優れる広葉樹の苗木を植栽し、生育していくものです。

(3)帯状間伐などの実績及び課題
【答弁】28年度は838本 0.8ha、29年度は319本 0.6haの間伐を試行しており、30年度は、現在、山梨県などと調整中ですが、160本 0.3haを予定しています。課題としては、
・ 間伐材の搬出を容易に行える場所が少ないこと
・ 鹿などから苗木を守る獣害対策が必要なこと
・ 植栽した苗木の生育に年月がかかり、効果検証に長い期間を要すること
などがあります。

5 ベトナム国フエ省水道公社との協力
(1)二者覚書の狙い
【答弁】JICA草の根技術協力事業終了時に、フエ省水道公社の方から協力関係の継続・発展についての強い要望をいただきました。当局としても、同公社との 15 年以上の協力関係を通じて確立した信頼関係をベースに、横浜水ビジネス協議会会員企業のベトナムでのビジネスチャンス拡大を図りたいという思いから、二者覚書を締結したものです。そのため、この覚書には、協議会会員企業の技術がベトナムにおいて活用されるよう、フエ省水道公社が支援をする旨の条項も盛り込んでいます。

(2)これまでの活動内容
【答弁】平成 29 年7月に、フエにおいて、ビジネスセミナーを開催し、フエ省水道公社の呼びかけによりベトナムの水道 関係機関から 160 人が参加する中で、横浜水ビジネス協議会会員企業6社が自社の技術や製品などをPRしました。その後、この6社を、ベトナムでのビジネスに繋がるよう支援しています。また、今年3月には同公社の副社長を横浜にお招きして、改めて、覚書に基づく両者の活動内容を確認し、6月には技術指導のため職員10人をフエに派遣しました。9月には研修員4名を受け入れ、国際水協会世界会議・展示会の場で、会員企業の技術紹介を行いました。

(3)覚書の終期における目標とする到達地点
【答弁】フエ省水道公社は、来年創設 110 周年を迎えますが、それに合わせて、当局の助言により、新しい浄水場を建設することを目標としています。当局としては、この浄水場建設に向けて支援をする中で、同公社の新しい浄水場や他の施設に、横浜水ビジネス協議会会員企業の技術が導入されている、あるいは導入が予定されていることを目標としております。さらに、フエ省水道公社を通して、会員企業と他のベトナム水道事業体の間でビジネスが進展していることも目指しております。

6 小雀浄水場活性炭注入設備の更新
(1)小雀浄水場の浄水処理における課題
【答弁】小雀浄水場は、相模川の下流からの取水であるため、降雨の影響を受けやすく、台風などの大雨の際には原水水質が悪化する恐れがあります。さらに、上流域での油の流入などの水質汚染事故や、藻類発生に起因するかび臭のリスクも高くなります。これらの原水水質悪化などに対しては、通常の浄水処理では対応できないことが多く、粉末活性炭を注入して対応をしています。

(2)これまでの活性炭注入設備の課題
【答弁】これまでは、袋詰めされている粉末活性炭を使用していたため、数人の職員が手作業で活性炭の溶解作業を行った上で注入作業をしていました。近年では、活性炭の注入日数が年間100日を超えており、職員の負担及び活性炭のコストが課題となっていました。

(3)新たな活性炭注入設備導入に至るまでの検討内容
【答弁】粉末活性炭を更に細かくして、吸着能力を高めた微粉炭注入設備は、これまでも実用化されていましたが、人力での活性炭の投入作業が必要という課題がありました。そこで、国内初の新たな技術として、人力作業の不要な微粉炭注入設備について、民間企業と共同で研究開発を行いました。共同研究では、粉末活性炭の粉砕方法や実際の浄水場への適用などについて検証を行い、実用化が確認されたため、新たな注入設備の導入を決定しました。

(4)新たな活性炭注入設備の特徴及び効果
【答弁】新たに開発をした注入設備は、粉末活性炭を現地プラントで微粉化をして注入する設備です。これにより、活性炭の貯蔵槽への投入から微粉炭の原水への注入管理まで全自動で行える設備となり、職員が溶解作業を行うことなく、夜間の緊急時でも安定的で迅速な対応が可能となりました。また、微粉炭は通常の粉末活性炭と比較をいたしまして、同じ量でも表面積が大きくなり、吸着効果が2倍から3倍程度となるため、年間2,000万円程度の経費削減になると見込んでいます。

7 水道局情報システムの最適化
(1)横浜市水道局情報システム全体最適化計画の内容
【答弁】水道局では、180万戸に及ぶお客さまデータを管理する「料金事務オンラインシステム」、9,200kmに及ぶ管路や水道施設の情報を集約した「水道施設管理マッピングシステム」、その他「財務会計システム」や「人事給与システム」など、多くのシステムを活用しています。これらは導入時期が異なっていたため、それぞれが独立して存在しています。今回の計画では、サーバや端末などハードウェアの共有化等による「コスト負担の軽減」、災害時などでも利用を可能にする「可用性の確保」などの実現を目的とした「指針」を策定し、その基準を示した「調達標準」、「技術標準」を定めました。

(2)計画を策定した理由
【答弁】先ほど答弁で申し上げました「料金事務オンラインシステム」と「水道施設管理マッピングシステム」は、水道局にとって重要な2大基幹システムです。これらがともに32年度の更新に向け、30年度から開発に着手する事としていたため、サーバを局内共通基盤に集約することで、コスト負担の軽減やデータの有効活用などが可能となるこの機会を捉えて、局内システム全体についての計画を策定しました。

(3)情報システム全体最適化による効率化の考え方
【答弁】情報システムの全体最適化を進めることで、
・サーバやアプリケーションなどの集約や一元管理による運用・維持管理経費の削減
・システム間のデータ連携による重複入力の解消と情報資産の有効活用
こういった効率化を図りたいと考えています。また、システムを導入・更新する際の行程を標準化し、その中に業務プロセスの見直しを必ず組込むことにより、業務見直しによる効率化も進めたいと考えています。

(4)30年度に実施しているAI調査の進捗状況と活用の方向性
【答弁】今回の調査では、活用を想定する業務を3つ程度選定し、実用化までの「ロードマップ」の作成を目指しています。現在は、浄水場の運転管理や水運用などについて、コンサルタントが幅広く局内業務をヒアリングし、実現性や効果の高い業務の絞り込みを行っている段階です。活用の方向性ですが、浄水場の運転管理での薬品注入量や配水量の予測など、ベテラン職員の知識・ノウハウ等が必要な専門性の高い業務を、AI活用によって経験の少ない職員でも行えるようにしたいと考えています。また、大量データを用いて行う分析・シミュレーション業務に活用して、より効率的な事業運営を実現していきたいと考えています。

正式な議事録ではなく、インターネット中継から文字お越ししたやりとりとなっております。実際の発言は、今後作成される議事録とは異なる部分がございますので参考程度にご覧ください。

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20181017平成29年度決算特別委員会 水道局 局別審査 読み原稿
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当日の質疑の様子につきましては、市会のホームページをご参照ください。

この間、質問の調整や調査にご協力いただきましたすべての市職員の方に感謝申し上げます。
20181017