いそべ圭太  自由民主党 横浜市会議員(保土ケ谷区選出) 公式ホームページ

2012.10.30

無利子!無担保!無期限!貸付発覚!~増税の前にやるべきことがあるだろう!~

国でも消費税の税率アップに伴う増税が国会で議決されたことは、周知の通りでありますが、ここ横浜でも、平成26年度より増税することが決まりました。
平成26年度からの10年間の期限付きで、1.個人市民税の均等割の税率の500円引上げ(上乗せ)、2.個人市民税の退職所得に係る10%税額控除の廃止等が横浜市会本会議で賛成多数により、議決されました。
この個人市民税の増税で捻出できる財源は、年間約10億円となります。
(今回の横浜市市税条例等の一部改正につきましては、別途詳しくご説明いたします。)

■外郭団体への無利子貸付
横浜市から外郭団体・関係団体へ「無利子」「無担保」で貸し付けをしている事例があることが会派の調査で発覚しました。当初は貸付金や貯め込みがどれほどあるのかという観点から進めていた調査であり、その詳細を調査している中で見えてきた事実です 。
貸付総額は平成24年3月末時点で約1,013億円にものぼる事が判明しました。
仮にこの1,000億円を市債で調達した場合は、平成23年度の10年債平均利率1.047%で試算すると年間約10億円になります。
平成23年度の外郭団体への補助金は約127億円、委託料は約388億円となっており、合計は約515億円にのぼります。
外郭団体への補助金や委託料とは別枠の「無利子金利分の横浜市負担」という形で、外郭団体に対して実質的に毎年約10億円の財政支援を行っている現状がわかりました。

個別の経緯等は、様々あるとは思いますが、仮に「法律上認められている正当な行為」であったとしても、最終的にその負担の「ツケ」を支払うことになっている市民感情からは、決して許されるものではないと我々は考えています。
さらに調査を進めると「無期限」「無保証」付きの4拍子揃い踏みも存在し、もはや返済と いう概念が存在しないのではないかという例も散見出来ました。
「無利子」+「無担保」+「無期限」+「無保証」=「贈与」は、民間では常識的な評価ではないでしょうか。
何かしらのローンを抱える市民の方々もそうですが、中小零細企業の経営者の方々は、特に憤りを感じる話しではないでしょうか。
9月27日から10月16日までに開催された横浜市会平成23年度決算特別委員会において、会派の質問者が林文子市長・財政局長・総務局長等にこの問題を追及しましたが、当局側のガードが堅く、明確な答弁は得られませんでした。いずれにしても帳簿には事実として数字が記載されるため、今後も問題提起と 解決策、責任追及を徹底してまいります。

■外郭団体への財政支援の見直し
9月5日に総務局長及び財政局長の連名で出された「平成25年度の予算編成・執行体制づくり等について」という庁内通知の中には、「外郭団体等に対する財政支援の見直し」という項目が設けられています。
財政支援の見直しについての具体的な取り組みは、3点挙げられています。1.外郭団体等の保有財産の活用、2.補助金の見直し、3.委託料の見直しです。
すでにご報告済ですが、私が質問した資源循環局の決算審査においても、この点について触れています。
例えば、1の外郭団体等の保有資産の活用は、その資産、基金等を取り崩し、補助金への充当や横浜市への寄附(=返してもらう)などを検討することになっています。
外郭団体が定期預金や有価証券等で運用している資産は約832億円、そのうち仕組債が約77億円あることを会派の調査で確認しています。
(仕組債につきましては、別途詳しくご説明いたします。)
先ほども取り上げましたが、平成23年度の外郭団体への補助金と委託料の合計は約515億円にのぼります。
横浜市からの貸付や、補助金、委託料等の余剰となった部分を貯めこみ、相応の資産形成をしているのが外郭団体の実態だと思います。
また、平成23年度末の財政支援は、貸付金約763億円、損失補償1,761億円、債務保証684億円、合計で約3,208億円という多額の財政支援がなされています。横浜市土地開発公社の問題のように1,300億円もの損失補償が顕在化するケースもあるため、経営状況を監視し、きっちりとコントロールする必要があるのは当然のことです。しかしながら、外郭団体を担当している横浜市職員に、数字の面等を確認すると、「わかりませんので、(外郭)団体に確認します。」という回答が多くみられ、これでは経営状況の監視どころか、コントロールすることも出来ません。外郭団体に対する横浜市の管理体制には強い疑問を感じています。今後も問題提起と解決策、責任追及を徹底してまいります。

■外郭団体への無償土地貸付も発覚
横浜市が出資している外郭団体(公益財団法人)に対して、無償で土地を貸付ている事実が発覚しました。
無償で貸付されている土地は、駐車場として経営されており、外郭団体の資金源となっています。今までの財政支援とは違う、見えにくい財政支援を行っている実態です。
また、他の外郭団体や関係団体に対しても無償や減免等により、貸付られている土地があることも会派の調査で判明しました。
無償で土地の貸付を受けて経営している駐車場のうち、磯子区にある駐車場は、収入約1,916万円に対して支出が約7万円、利益は約1,909万円、利益率は約99.7%となっています。
無償、有償含めたある外郭団体の駐車場経営の収入は、約6,964万円に対して支出が約2,733万円、利益は約4,231万円、利益率は約60.8%となっています。
但し、いずれもこの数字には人件費は含まれておりませんので、今後の調査の中で精査してまいります。

いずれにしても、職員人件費カット以外にも、増税の前にまだまだ財源を捻出する方法があることがわかりました。
今後も会派一丸となって、調査をし、問題提起と 解決策、責任追及を徹底してまいります。

増税の前にやるべきことがあるだろう!

【用語解説】横浜市土地開発公社の問題
公社が保有する土地の含み損(簿価と時価の差額)が平成24年3月末時点で約708億円にのぼる問題。公社の清算のために横浜市が発行する第三セクター債等は、約1,300億円になり、土地の売却代金を償還に充てる予定だが、含み損が横浜市の財政に大きくのしかかり、結果として、市民負担になる問題。