2014.10.29
建築・都市整備・道路委員会 行政視察 平成26年10月29日 長崎市
常任委員会の行政視察2日目の午後は、長崎市に伺いました。
視察内容は「長崎市周辺再整備事業について」「車みち整備事業について」「斜面移送システム整備事業について」です。
まず、長崎駅周辺再整備事業についてです。
長崎駅周辺においては、九州新幹線西北ルート、JR長崎本線連続立体交差事業及び長崎駅周辺土地区画整理事業が相互に関連しながら、それぞれの事業が進められています。
九州新幹線は国が、連続立体交差事業は長崎県が、そして長崎駅周辺再整備事業は長崎市が事業主体となっています。
長崎駅の西側には、広大なJRの車両基地と貨物基地があります。
現在の駅前空間は、広場内で交通の輻輳が生じている。観光都市の玄関口にもかかわらず、電停のバリアフリーが図られていない。
これらを解消するために、4つの踏切を解消し、2つの駅を高架化し、車両基地を移転させます。
移転させ空いた車両基地の土地に高架化した長崎駅を新たに作り、新幹線を含む鉄道施設の受け皿やその周辺を整備する事業となっています。駅が西側に約150m移動します。
次に、車まち整備事業についてです。
長崎市の中心市街地は、長崎港に面して山腹を這い上がるように形成された斜面市街地と相まって、独特な都市景観を創り出しています。その斜面地では、多くの市民生活が営まれており、斜面地の住宅地を縫うように坂道や階段道が存在しています。これらの多くは車が通ることができない細い道路や階段道となっています。
そこで、道路構造基準の見直しを行いました。
縦断勾配は、17%を超える縦断勾配を認め、歩道幅員は、幅員の確保が困難な場合や歩行者が少ない場合、2m未満の幅員を認めることとしました。
基準の見直しを行った上で車みち整備事業の実施を行いました。
市と地域が一体となって整備を行う。用地は基本寄付によるものとするなどを整備事業の基本方針、整備条件や優先度などとして定めました。
メーター35万円程度の予算で行っているとのことで、通常の半分程度とのことでした。
いくつかの地域で事業を実施し、現在は建物の移転補償、赤道の整備、建築基準法などの課題を整理していく必要があるとのことでした。
最後に、斜面移送システム整備事業についてです。
先の視察内容からも長崎市は市街地の約7割が斜面市街地となっています。
家屋の密集などにより、生活道路としての車道整備はなかなか進んでいない状況です。
そこで、低廉、簡便な交通手段として、主として高齢者を中心とし、交通弱者が斜面道路を安全かつ快適に移動できる機器の研究、開発を目的とし、長崎市と民間企業体で構想を進め、斜面移送システムを設置しました。
システムは、懸垂型のモノレール(湘南モノレールをイメージ)のような形をしており、定員は2名であり折りたたんだ状態であれば車イスも搭載可能です。
走行速度は15m/分となっており、徒歩のほうが早い速度設計です。
機器の設置費(設置費・機器費)は、約1,200万円から約3,100万円。維持管理費(電気料金・修繕料・保険料・保守点検委託料)は、階段部分に設置してある3か所合計で約380万円です。
管理運営は、自治会町内会の協力も得て運営されています。
現地視察の途中で「斜面エレベーター」を視察しました。
坂道を斜めに登るように作られており、ケーブルカーの間隔に近いです。