2014.05.28
平成23年10月5日 平成22年決算第二特別委員会 消防局関連審査
◆(磯部委員)みんなの党の磯部圭太でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず冒頭に、後ほど取り上げさせていただきますが、先般の東日本大震災では緊急消防援助隊としても御活躍されました。本市も少なからず被災をした中での緊急消防援助隊の派遣は相当な御苦労があったことと思います。心から感謝を申し上げたいと思います。
最初に、家庭での災害対策、減災について幾つかお伺いしてまいります。最大の防災対策というのは、各御家庭できちんと防災の備えをしていただくことではないかと思います。最近、「減災行動のススメ」を配付されたことは記憶に新しいところであります。消防法の改正に伴い、平成23年6月1日に既存住宅への住宅用火災警報器の設置が義務づけられました。そこで、設置義務化後の市内の住宅用火災警報器の設置状況は何%ぐらいなのか、お伺いいたします。
◎(岡田予防部長) 横浜市民意識調査による本年7月段階での普及率は74.2%となっており、これが現時点での最新の数値となっております。
◆(磯部委員) 住宅用火災警報器の設置率が74.2%ということですが、設置が義務化されたという市民の方々の認知度はどのくらいあるのか、局長にお伺いいたします。
◎(鈴木消防局長) 認知度の調査は実施しておりませんけれども、昨年の6月から12月にかけまして、約52万戸の戸建て専用住宅に対しまして、消防職員、それから消防団員が戸別の訪問を実施しております。また、各種広報活動を行っておりますので、多くの市民の皆様には認知していただいているものと考えております。
◆(磯部委員) 認知度は把握されていないとのことですが、せっかく設置率の調査をされているのであれば、認知度もきちんと把握していただくことを望みたいと思います。私も認知度が低いとは思いませんが、仮に認知度が低ければ、設置率を上げる何らかの対応が考えられるのではないかと思います。
次に、住宅用火災警報器が実際に設置されていた住宅から火災が発生した件数は市内でどれくらいあるのか、お伺いいたします。
◎(高松警防部長) 22年中の住宅火災の件数は399件でございまして、そのうち住宅用火災警報器が設置されていたものは51件ございました。
◆(磯部委員) 設置住宅からの火災が51件あるとのお答えをいただきましたが、住宅用火災警報器の延焼を防ぐ効果、そして生命と財産を守る効果についてはどのようにお考えか、局長にお伺いいたします。
◎(鈴木消防局長) 20年から本年7月までの火災について、住宅用火災警報器等が設置された場合と設置されていない場合を比較いたしますと、火災1件当たりの死者発生数では約1.4倍、焼損面積では約2.1倍の差が出ております。また、奏功事例としましては、本年7月にエアコンの故障により出火し、就寝中の住人が警報器の音で気がつき、住民の初期消火によりまして被害を最小限に食いとめた事例が報告されております。このことからも、火災を早期に発見し、避難や初期消火につながる警報器設置の効果は大きなものがあると考えられます。
◆(磯部委員) 設置されていない住宅への今後の対策についてはどのようにお考えか、局長にお伺いいたします。
◎(鈴木消防局長) 今後も、あらゆる機会をとらえまして設置による効果、あるいは奏功事例を活用いたしまして、その必要性を訴えるなど、粘り強く広報を実施し、すべての住宅への設置を目指してまいりたいと考えております。さらには、出火原因の上位でありますたばこ、コンロ、これらの出火防止対策も含めて、総合的な啓発活動をしていきたいと思っております。
◆(磯部委員) 今のお話の中で、住宅用火災警報器は効果が発揮できているとのことでしたので、未設置世帯に対する取り組み、そしてすべての住宅への取りつけ早期達成を目標にして取り組んでいただきたいと思いますが、既に設置の猶予期限は終わっております。そこで、具体的にすべての住宅への達成はいつまでを目標にするか、局長にお伺いいたします。
◎(鈴木消防局長) 現在の74.2%という数字を見ますと、かなり厳しいと思います。いずれにしても、やはり90%を超えることによって圧倒的に焼死者が減るという数字もございますので、できる限り早く100%に近づけていきたいと思っております。
◆(磯部委員) 早期達成に向け、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
次に、阪神・淡路大震災では6000人を超える死者、行方不明者が発生し、その大半が建物の倒壊や家具の転倒による圧死や窒息死が原因であったとされていると思います。建築局の所管になりますが、家屋の耐震化はもとより、家具の転倒防止をより一層推進し、特に高齢者の方の被害の軽減を図ることが必要なのではないかと思います。そこで、家具の転倒防止が施されている市内の状況はどのくらいあるのか、お伺いいたします。
◎(阿部危機管理部長) 平成23年度横浜市民意識調査では、家具転倒防止のために家具類や冷蔵庫などをすべて固定しているとお答えになった方が1.4%、ほとんど固定しているという方は11.0%、一部固定している方は44.7%で、これらを合わせると御家庭で何らかの転倒防止を行っている割合は57.1%となっております。
◆(磯部委員) 22年度は、消防局として家具の転倒防止についてどのような取り組みをされたのか、局長にお伺いいたします。
◎(鈴木消防局長) 広報よこはまの市版1月号で特集記事を掲載しました。8区におきましても、防災特集記事を組んでおります。また、パンフレット「減災行動のススメ」でも、家具の転倒防止対策を大きく取り上げておりまして、取り組みを喚起しているところでございます。さらに、消防署が地域や事業所などで行います防災指導等でも説明を行いまして、区民まつりですとか、あるいは出初め式など、イベントの際にも広く啓発を行っております。今後も、より積極的に啓発に努めてまいりたいと思っております。
◆(磯部委員) 今回の東日本大震災では、津波が大きく取りざたされており、津波からの避難にどうしても着眼点が行きがちになってしまいます。しかしながら、津波だけではなく、火災防止、家具の転倒による圧死を防ぐことも同時に進めていかなくてはならないと考えています。本市の津波対策の見直しが急務なこともわかりますが、津波被害が想定されない地域が市内では大半を占めています。ですので、津波だけではなく、火災予防、圧死防止の施策もバランスよく進めていただきたいと思います。
次に、地域防災拠点についてお聞きします。地域防災拠点は、小中学校の学区ではなく、自治会町内会の区域等を考慮して区割りされていることと認識しています。こうした区割りだと、近くの地域防災拠点に避難したら、自分たちの行くべき拠点は遠く離れた場所だったというケースも想定されるのではないでしょうか。緑区のある拠点では、歩いて1分のところに拠点があるにもかかわらず、区割りの関係で徒歩20分かかる拠点まで行かなくてはならない場所があるそうです。本来、避難場所というのは、自宅から一番近い場所が適切であると考えますが、自治会町内会の区域等を考慮しての区割りだと、どうしても離れた場所になってしまうというケースが発生してしまいます。そこで、地域防災拠点の区割りの考え方についてお伺いいたします。
◎(伊藤危機管理室長) 地域防災拠点ごとの避難地区を割り当てる際には、拠点の位置やそこに通じる道路の状況、人口の分布、さらには拠点の円滑な運営のために、お話にもありましたが、自治会町内会の区域等を考慮して区長が定めることになっております。また、地域の方々から地区割りを変更する要望があった場合には、地区割り変更を行おうとする拠点、それぞれの人口ですとか運営委員会相互の意向を考慮しまして、区と地域が十分協議して決定することとなっております。
◆(磯部委員) こうした災害時は、自治会町内会の役割やコミュニティーが非常に重要となり、ここをベースにせざるを得ないことは十分に認識できます。古くから、その地区に住まわれていた方々は、その場所ということの意味などをきちんと理解していると思いますが、新たに開発された地区の方々には理解できないこともあるかもしれません。しかしながら、お答えいただいたように、自治会町内会を二分してそれぞれ近い拠点に割り振ることができるのでありましたら、新たに開発され、新しい住民の方々がふえた地区などは見直しも含めて柔軟に対応していただきたいと思います。
今年度の市民意識調査の結果によると、地域防災拠点の認知度の低さがあらわれました。これは今までの市民向けの防災対策への取り組みが足りなかったことがあらわれた結果ではないかと思います。また、3・11の際に金沢区の駅では、区や市と何の調整もなく、広域避難場所に滞留者を誘導したという報告を受けています。市民だけではなく、震災発生時に的確に避難誘導、対応などをしなくてはならない鉄道事業者なども、地域防災拠点、広域避難場所の役割を十分に理解していないことがわかりました。そこで、市民の方々の地域防災拠点の認知度についてはどのようにお考えか、局長にお伺いいたします。
◎(鈴木消防局長) 地域防災拠点につきましては、これまでも広報よこはまですとか防災マップの配付、あるいはホームページへの掲載のほか、拠点での訓練、各種イベントの機会を通じまして、区役所、消防署が周知を図ってまいっております。しかしながら、最新の市民意識調査では、地域防災拠点を知らない方々が半数を超えている、知っている方は約4割という数字が出ております。地域防災拠点は、大地震や風水害などの発生時に大変重要な役割を持っております。そのため、より一層認知度を高めるように取り組んでまいります。
◆(磯部委員) きょうの質問の流れの中で、住宅用火災警報器と家具の転倒防止、地域防災拠点に関してお聞きしたわけですが、住宅用火災警報器の設置率、家具の転倒防止の対策率、地域防災拠点の認知度は、いずれも十分な水準に達しているとは言えません。人数、予算の制約があることは承知しておりますが、市民向けの防災施策のさらなる充実を図る必要があると思います。3・11により防災に対する意識が上がっているとはいえ、まだまだ防災意識、とりわけ各家庭での防災対策は低いのではないかと思います。本市としては、この課題に最適に取り組まなくてはいけないのではないかと思います。この機会にきちんとした防災に対する取り組みを行政が行い、市民が防災の意識を持ち続けることができる、きちんとした防災対策、準備を各御家庭でしていただける施策を打つことが重要であると考えています。阪神・淡路大震災の火災と圧死、東日本大震災の津波による犠牲、これらの教訓を本市としてどう生かしていくのか、今市民の方々の防災意識が一番高まっているときだと考えています。震災から二、三年くらいは防災の意識が高まっているのですが、そこから先はどうしても意識が下火になっていくように感じ取れます。そこで、この機会に、本市のそれに対する取り組みをどのようにされるのか、今後の防災に関する広報や周知の仕方、なるべく多くの市民に防災意識の向上、防災意識の継続を図る取り組みはどのようにされていくのか、局長にお伺いいたします。
◎(鈴木消防局長) 地震など災害そのものを防ぐことは困難でございますけれども、災害の被害を軽減することは、委員が今おっしゃったとおり、家具の転倒防止などは家庭での取り組みが十分可能でございます。減災に向けた防災活動の普及啓発が今まさに重要だと考えております。そこで、今後は防災訓練、あるいは地震教室などの機会やさまざまな広報媒体を通じまして、御家庭での備蓄ですとか隣近所の助け合い、一人一人が日ごろから自助の必要性や共助の大切さ等を理解して、実践につながっていくように周知を図っていきたいと思っております。
◆(磯部委員) ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
次に、横浜型救急システムについて幾つかお聞きいたします。
9月27日の読売新聞で、背中がかゆい、病院に行くタクシーがつかまらないなど、そしてきのうの神奈川新聞でも、深づめをした、かゆいなどの救急車の不適正利用が報道されました。まず、確認のために、救急車の不適正利用防止に向けた取り組みについてお伺いいたします。
◎(高松警防部長) 緊急に救急車を必要としている方が御利用いただけるように、救急車の適正利用についてさまざまな広報を行っております。具体的には、暮らしのガイド、また中学生向けに配付する救急のテキスト、消防局のホームページへ救急車の適正な利用についての内容を掲載いたしまして、広く周知を図っております。また、このほか地域での防災指導会、各種イベント、公共施設や駅などへのポスターの掲出、電車内や駅構内でのアナウンス、資源循環局のごみ収集車によりますアナウンス、日産スタジアムや横浜スタジアムでの電光掲示板への表示及び場内アナウンスなどでの継続的な呼びかけを実施しているところでございます。
◆(磯部委員) 横浜市は、平成20年度に特区申請に伴う新しい救急体制を構築し、当時、議会でもさまざま議論されたと聞いています。コールトリアージの導入は、重症者のもとにとにかく早く駆けつけることをねらってのことだったわけですが、一方で副次的な効果として、不適正利用も減る、あるいはコールトリアージの段階で見抜けるということだったと思います。しかし、実際には、そういう効果は思っていたほどなかったのではないかと思います。そこで、平成22年中の救急の状況についてお伺いいたします。
◎(高松警防部長) 22年中の救急出場件数ですが、15万8631件でございまして、前年と比較して1万件以上の大幅な増加となり、過去最も多かった17年に次ぐ件数となっております。また、搬送された傷病者は14万822人で、前年と比較いたしまして約7600人の増加となりまして、このうち65歳以上の高齢者の割合は48.5%と約半数を占め、増加の大部分が高齢者となっております。傷病程度別で見ますと、入院が必要な中等症以上の割合が高くなる一方で、軽症者の割合は過去5年間で最も少ない55%となっております。
◆(磯部委員) 今のお話をお伺いしますと、状況が変わったのかとも思いますが、横浜市の高齢化の進展は、コールトリアージの導入時からわかっていたことであり、だからこそ、そういう社会情勢の変化に対応したのだと思います。先ほど他の委員からも質問がありましたが、横浜型救急システムの運用が震災以降とまっているとのことでした。そして、今後は横浜型救急システムを見直すとのことですが、現在までの見直しの検討経過について改めて局長にお伺いいたします。
◎(鈴木消防局長) これまでの運用状況を検証した結果に基づきまして、見直しに向けた局内での検討を始めております。そこで検討した考え方につきましては、1月に横浜市メディカルコントロール協議会、3月には横浜市救急業務委員会でお示ししまして、御意見をいただいたところでございます。本年度に入りまして、4月には前年度の検討内容に対する各消防署からの意見を聴取いたしまして、6月に消防署の責任職や現場で救急活動を行う救急隊長で構成する運用に関する検討部会を設けまして、7月に運用方法の素案を作成したところでございます。また、8月には横浜市メディカルコントロール協議会で素案をお示しして意見交換をしたところでございます。
◆(磯部委員) 先ほどの救急状況を受けての見直しとは思いますし、繰り返しになりますが、今の体制に移行してまだ3年しかたっておりません。仕組みを変えるのは非常に大変な作業だからこそ、当時もさまざま議論されたのではないかと思います。今日の状況は予見できなかったのか疑問に思うところでありますが、市民にとってよりよい救急体制であってほしいと思いますので、見直しそのものについては否定するものではありません。そこで、市民によりよい救急サービスを提供するため、運用見直しの今後の進め方、考え方についてはどのようにお考えか、局長にお伺いいたします。
◎(鈴木消防局長) 運用方法の見直し案につきましては、横浜市メディカルコントロール協議会や横浜市救急業務委員会におきまして、説明と議論を行った上で年内に試行案を策定しまして試行し、その検証を実施していきたいと考えております。来年1月以降、この検証結果を踏まえながら、運用の細部の調整を図りまして、できれば年度内には新たな運用方法が実施できればと考えております。
◆(磯部委員) 新しい救急体制の導入に当たっては、当時、議会でさまざま議論しましたし、市民への周知も相当な時間をかけて行ったと記憶しています。だからこそ、見直しに当たっては改めて市民の皆様への説明が必要と思いますが、どのように対応していかれるのか、局長のお考えをお聞かせください。
◎(鈴木消防局長) 横浜型救急システムにつきましては、これをつくったときも市民の方々からのパブリックコメント、それから市会においての議論を経て運用を開始したところでございます。新たな運用、これを見直すわけでございますけれども、この見直しに当たっても、市会の先生方に詳しく御説明をし、ご議論をいただくとともに、市連会議あるいは区連会議においても丁寧に説明してまいりたいと考えております。また、これは一番市民の皆様によく御理解をいただかなければいけませんので、各消防署で防災指導会ですとかさまざまなイベントを企画しておりますので、そのような機会を通じまして市民の皆様にも丁寧にお知らせをしてまいりたいと考えております。
◆(磯部委員) この横浜型救急システムを導入したときのように、丁寧に進めていただければと思います。
次に、緊急消防援助隊についてお伺いいたします。
冒頭でも申し上げましたが、本市も少なからず被災をした中での緊急消防援助隊の派遣は相当な御苦労があったことと思います。緊急消防援助隊として活動された内容は、人命捜索、傷病者搬送など多種多様な活動をされてきたと思います。そのような中で、とりわけ大きな活動としては、コスモ石油千葉製油所での消火活動及び東京電力福島第一原子力発電所での活動であったのではないでしょうか。製油所の災害は本市でも想定されており、コンビナート災害用の特殊車両も配備し、出場計画などもしっかりと計画されているとお聞きしました。そこで、今回の事故対応で改めてコンビナート災害について感じたこと、得た教訓がありましたら局長からお聞かせください。
◎(鈴木消防局長) 同じ東京湾に立地するコンビナート施設の災害であるということで、これは本市でも起こり得る災害であろうと考えております。今回の活動では、他機関との連携強化の必要性、後方支援体制の重要性などの教訓を得ることができました。今後は、これらをしっかりと検証しまして、コンビナート災害時の消火活動などの戦術面に反映してまいりたいと考えております。
◆(磯部委員) さらに研究を重ね、しっかりと本市における今後のコンビナート災害対策に生かしていただきたいと思います。
次に、東京電力福島第一原子力発電所関連の対応について幾つかお聞きいたします。原子力発電所を抱えていない本市では、今回の事故対応は一生に一度あるかないか、本来でありましたらあってはならない事故でありますが、絶対ということがない以上、あらゆる災害を想定して消防局は備えておかなくてはなりません。そこで、今回緊急消防援助隊として出場されたわけでありますが、通常の想定とは違う出場であったと認識しています。今回の出場の経緯を局長にお伺いいたします。
◎(鈴木消防局長) 3月18日午前0時50分に、まず、東京消防庁に福島第一原子力発電所3号機の冷却放水活動を任務とした派遣要請がございました。同様の特殊車両を保有している当局としましては、要請があるということを前提としまして、直ちに戦術面あるいは訓練を行っております。3月19日の午後3時30分に、消防庁長官から同様の活動を任務としました緊急消防援助隊の派遣要請がございました。その後、出発までの3日間で部隊の選定、支援体制の構築などを行いまして、3月22日午前8時に大黒町高所放水隊など9隊67名を現地に派遣しました。
◆(磯部委員) 消防庁長官からの要請に応じたとのことですが、3月19日に求めがあって、同22日出発、この間たった3日間しかなかったわけですが、派遣隊員の人選はどのようにされたのか、また、派遣辞退者は出なかったのでしょうか、局長にお伺いいたします。
◎(鈴木消防局長) 派遣した部隊は、特殊災害対応隊、特別高度救助部隊、特別救助隊、高所放水隊、ホース延長隊等の9隊となっております。これらの部隊の中から、放射線の測定や専門的な知識を持ち、あるいは特殊な車両の操作に習熟している隊員を人選しました。また、派遣に当たっては、私みずから、これはそのときに言った言葉なのですけれども、国難とも言える事態である、この任務の重要性を各隊員にしっかり伝えてほしいと署長に連絡をいたしまして、署長から話をしてもらいました。結果的にはだれ一人として辞退を申し出る者はおりませんでした。
◆(磯部委員) 局長の強い決意がひしひしと伝わってまいりました。先ほど辞退者が出なかったとお聞きしましたが、このような本市では想定されていない特殊な災害については、職員の方々の不安も当然あるものと思います。そこで、派遣前に放射線やそれらに対する何らかのレクチャーは実施をしたのか、お伺いいたします。
◎(鈴木消防局長) 今回の災害につきましては、今までに例のない非常に緊張度の高い特殊な任務であると認識しておりました。したがいまして、派遣前には、現場で指揮をとる責任職、それから隊員全員が放射線に対する知識を正しく理解し、安全かつ冷静に活動ができるよう、横浜市立大学の放射線の専門医によりまして全員にレクチャーを行いました。
◆(磯部委員) 今回の派遣では、結果的に最後までミッションを行うことはできなかったわけですが、当時の隊員の方々の士気はどうだったのでしょうか、局長にお伺いいたします。
◎(鈴木消防局長) 隊員は、自分たちが何としても原発事故という特殊な災害から国民を守るのだという崇高な使命感を持って任務を完遂しようという高い意識を持って任務に当たってくれました。残念ながら、想定しておりました放水活動は、黒煙の噴出によりまして断念しましたけれども、特殊な状況下、それから派遣隊員のだれ一人事故、けがもなく帰局できたということで、隊員同士の信頼と強固なチームワークのたまものであると感じております。
◆(磯部委員) 隊員の方々のとても立派な姿勢に敬意を表します。先ほど他の委員からの質問でもありましたが、ここのところ消防局の不祥事が続いていましたので、このようなお話をお聞きすると、ほとんどの職員の方は立派な志を持って職務に当たっていただいているのだなと改めて思いました。
次に、今回の東京電力福島第一原子力発電所関連の事故及びその対応から得た教訓などがあれば局長からお聞かせください。
◎(鈴木消防局長) 今回の福島の原子力発電所での災害対応は、あらゆる面において初めての経験でございました。特異な状況下における情報収集の難しさ、目に見えない放射線に対する戦術立案の難しさ、放射線対応資機材の強化の必要性、また、隊員の心と体の健康管理の重要性などをつくづくと感じたところでございます。いずれもが組織として貴重な財産でございますので、これらの教訓を今後本市におけるさまざまな災害対策に生かしてまいりたいと考えております。
◆(磯部委員) さらに研究を重ね、本市の防災対策に生かしていただきたいと思います。
東京電力福島第一原子力発電所に赴いた職員の方々に対する特殊勤務手当に関することについてお伺いいたします。3・11から既に半年が経過しました。第2回定例会の際に我が党の藤崎議員が市長に質問し、市長も原子力発電所に赴いた職員の方々に対して特別手当を支給したいと答弁されました。もちろん、職員の方々も手当のために現地へ赴いたわけではなく、それぞれの使命感や横浜消防の誇りをかけて現地に行かれたのではないかと思っています。そこで、東京電力福島第一原子力発電所の事故対応に赴いた職員の方々に対する特殊勤務手当は、どういった手続で、いつごろ支給する予定なのか、局長にお伺いいたします。
◎(鈴木消防局長) 臨時特殊業務手当は、横浜市一般職職員の特殊勤務手当に関する条例第9条の規定に基づきまして、人事委員会の承認を得て支給することができるとされております。これについては、既に人事委員会の承認を得ておりますので、今後は総務局長の通知に基づき、活動実績を直ちに報告いたします。支給時期につきましては、総務局で実績報告を精査、確認の上、年内には支給されると聞いております。
◆(磯部委員) 原子力発電所に派遣された方々だけではありませんが、わかっているとはいえ、それぞれの現場は、過酷な現場もあれば、想像を絶する現場もあると思います。先ほど他の委員からの質問でもありましたが、最近は心の病気が取りざたされています。今後も職員の心のケアや健康に関する取り組みを継続していただきたいと思います。繰り返しになりますが、緊急消防援助隊だけではなく、本市が被災地に派遣した職員の皆さんが現地の活動を通じて感じた教訓をぜひ本市の防災施策に生かし、安全、安心を実感できる防災都市横浜の実現に取り組んでいただきたいと思いますが、具体的にどのように安全、安心を実感できる防災都市横浜の実現に取り組まれるか、大場副市長にお尋ねいたします。
◎(大場副市長) 今、消防局長からいろいろお話をしました。まず、職員の体制を整えること、機材等を整えていくこと、また一方では、市民の皆さんにも自助、共助ということで、ここについても市民の皆さんにも一層の取り組みをしていただくこと、これらをうまく連携するような仕組みをさらに構築していきたいと思います。
◆(磯部委員) ぜひ本市の防災施策に生かし、安全安心を実感できる防災都市横浜の実現に取り組んでいただきますようお願い申し上げ、私の質問を終わります。
ありがとうございました。