2014.06.01
平成24年2月28日 平成24年 予算第一特別委員会 こども青少年局関連審査
◆(磯部委員) みんなの党の磯部圭太です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
林市長は24年度の予算案の冒頭で、厳しい社会経済情勢だからこそ選択と集中を進め、必要な投資は惜しまず行っていきますと述べられています。待機児童対策の予算は前年比22.5%の伸びとなっており、厳しい財政状況の中で、まさに集中的に投資されている重要政策となっています。さまざまな手法で合計4922人の受け入れ枠を新たにつくる予定になっていますが、これだけの事業をきちんとこなすには、行政だけではなく、運営事業者、市民の方々、企業など、さまざまな主体に積極的に待機児童対策に参画していただくことが必要だと考えています。
私の住む保土ケ谷区の横浜国立大学では、この春、認可保育所が開設されます。構内のスペースを活用し、大学、保育事業者、行政が協働で行う事業として大変興味深い取り組みとなっています。
そこで、横浜国立大学構内への保育所設置に至る経緯について伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 横浜国大はかねてより男女共同参画の推進に取り組んでおり、優秀な研究者の確保にもつながる事業所内保育施設の整備について本市に相談がありました。こうした意向を踏まえつつ、横浜国大とさまざまな地域協働事業に取り組んでいた保土ケ谷区役所のほうから、保育所待機児童解消につながるようにということで、認可保育所整備を横浜国大に対して依頼いたしました。これを受けて横浜国大は、地域貢献にもなるということで認可保育所を大学内に整備する方針を決定し、事業者を公募し、今回設置することになりました。
◆(磯部委員) もともと区役所と国大のつながりがあって、それが今回のような事業に結びついたことは非常によい連携の事例だと思います。4月の開所後には、大学にとっても、保育所にとってもよい連携が考えられるのではないかと思います。大学と保育所の連携が進めば、地域の子育て支援にも新しい取り組みが可能になるのではないかと思います。ぜひ今後も連携を進めていただきたいと思います。
さまざまな事業主体と連携した取り組みの例では、不動産事業者と連携した物件情報システムにも取り組んでいると聞いています。保育所に適した土地や建物が枯渇してきている中、整備場所を確保するための有効な手段と伺いましたが、物件情報システムの内容と成果について緊急保育対策室長に伺います。
◎(鈴木緊急保育対策室長) 物件情報システムは、横浜保育室と家庭的保育向けの物件情報を不動産事業者やUR都市機構から御紹介いただき、運営事業者へ紹介するというものです。
不動産事業者やUR都市機構からいただいた物件情報の数は平成23年4月以降122件で、そのうち保育施設の開設に結びついたのは7件ございました。
◆(磯部委員) 待機児童対策としては、3000人を超える受け入れ枠が整備できる背景にはこのような連携の効果があると思います。一方、2月20日の神奈川新聞では、国が保育所の最低面積基準の解釈を新たに示したことにより、神奈川県下の市町村が40年間運用してきた面積基準を適用できなくなるおそれがあると報道されました。地方分権一括法に基づく児童福祉法の改正で、保育所の面積基準は自治体条例に委任されることになっているにもかかわらず、本市の待機児童対策にブレーキをかける国の通知は分権化の流れに逆行するものです。子育てをするなら横浜市と言われるような独自の政策にさらに取り組む必要があると思います。
そこで、平成25年4月以降の子育て支援の取り組みについてどのように考えているのか、伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 待機児童対策も含めた子育て支援策の充実は、女性の就労環境の向上、社会の各界で活躍する女性への支援になり、横浜の成長力を高めるための投資と考えています。そのため、保育所、一時預かり、幼稚園の預かり保育を拡充するなど、親の就労状況にかかわらずすべての子供にとっての総合的な子育て支援策を推進してまいります。
◆(磯部委員) 国の少子化対策については、既に平成6年のエンゼルプランで保育所の量的拡大がうたわれ、現在に至るまで十分な保育サービスの供給が対策の大きなポイントとなっています。しかしながら、平成22年の合計特殊出生率は1.39と少子化の傾向に歯どめがかからず、将来の社会保障にも大きな不安が生じています。市民生活の安定を考えるとき、社会の活力維持は必須です。経済成長の観点からも女性が働きやすい環境を整備し、出産前後の就労の継続率を上げることは大変重要であると申し上げて、次の質問に移ります。
次に、認可外保育施設への指導監督、助成事業について伺います。
本年1月27日に厚生労働省から保育施設における事故報告集計が発表されています。この発表によると昨年1年間に厚生労働省に報告された死亡事故は全国で14件発生しており、そのうち認可外保育施設での事故が12件となっています。死亡事故については、認可外保育施設の割合が非常に高いということになっています。また、市内の認可外保育施設でも、残念なことに昨年の11月に乳児が死亡するという事故が起きています。平成23年4月の時点で市内には本市独自の基準で認定している横浜保育室を除いた認可外保育施設が264カ所あると伺っています。認可外保育施設については、行政による事前の審査や認可を受けずにだれでも事業を始めることができます。
そこで、本市の認可外保育施設の施設数がどのように推移しているのか、伺います。
◎(田中子育て支援部長) 各年4月1日時点での施設数は平成20年が231カ所、平成21年が233カ所、平成22年が253カ所、平成23年が264カ所と、平成20年から23年の3年間で33カ所増加しております。
◆(磯部委員) 認可保育所や横浜保育室と異なり、認可外保育施設に対しては横浜市から保育士の人件費など運営費補助がなく、わずかに調理従事者の保菌検査費用及び施設賠償責任保険の保険料を一部助成しているのみでしたが、24年度の予算案では新たに入所児童の健康診断費用の助成を実施することとされています。
そこで、新たに健康診断費用の助成を実施するねらいについて伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 安全な保育を行うためには、保育者が児童の健康状態を把握していることが必要です。そのため、認可外保育施設指導監督基準においても入所時及び年2回の健康診断の実施が必要であるとされていますが、基準どおりの実施ができていない施設も見受けられます。児童の安全のためにも、すべての認可外保育施設で健康診断を実施し、児童の健康状態を把握した上で保育を行っていただきたいとの考えから、新たに健康診断費用の一部を助成するものです。
◆(磯部委員) 認可保育所や横浜保育室に関しては、日ごろから一定程度の指導を行うことができていると思います。一方、認可外保育施設については、運営費の補助もない中で施設に対してきちんと指導が行われているのか疑問に思います。
そこで、認可外保育施設に対する指導がどのような流れで行われているのか、伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 市内のすべての認可外保育施設に対し、区役所職員及び保育士資格を持つこども青少年局の嘱託員による立入調査を年1回実施しています。立入調査で改善が必要な事項があった場合には、文書または口頭で改善指導を行います。なお、指導に従わない場合や改善の見込みがない場合には、児童福祉法に基づく改善勧告を行います。本市では事例がありませんが、改善勧告を行ってもなお改善がされない場合には、その旨を公表するほか、児童福祉審議会の意見を聞いた上で事業停止命令または施設閉鎖命令を行うことができます。
◆(磯部委員) 近年、認可保育所や横浜保育室の整備を急速に進めていますが、現実には認可外保育施設にお子さんを預けていらっしゃる保護者の方も多数いらっしゃいます。そのような保護者の方が安心して子供を預けることができるようにするためにも、認可外保育施設への指導により保育の質が保たれていることが重要だと考えます。
そこで、認可外保育施設への昨年度の立入調査結果はどうか、また、指導に当たり改善状況をどのように確認しているのか、伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 22年度は268施設に立入調査を実施し、結果として児童の健康診断の未実施や利用者への情報提供不足など、文書指導を91施設、口頭指導を42施設に対して行いました。文書指導を行った場合には、改善状況報告書の提出を求めています。多くは翌年度の立入調査の際に改善点を確認していますが、必要に応じて年度内に再度、立入調査を行っています。また、口頭指導を行った場合は、その後文書や口頭による改善の報告を受けるほか、翌年度の立入調査時に改善の確認を行っています。
◆(磯部委員) 子供たちが過ごす場所が認可保育所であっても、認可外保育施設であっても、同じ保育施設として安心して過ごせるようにきちんと改善させてほしいと思います。また、認可外保育施設における保育の水準と質を確保するためには、立入調査など行政によるチェックだけではなく、事業者や保育従事者の保育に対する意識や知識、技術の向上が不可欠だと考えます。
そこで、今後、認可外保育施設において子供の安全を守るため市としてどのように取り組んでいくのか、伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 立入調査において、職員配置など児童の安全にかかわる重要な事項について問題を把握したときには、改善指導を行った上で迅速に再度の立入調査を実施します。さらに、改善報告があった場合でも、改善点の確認を定期的に行うなど、これまで以上に指導監督を強化していきます。また、立入調査のほかにも、事故予防についての研修や保育に関する日常の相談体制を充実させ、保育の質を高めていけるよう支援していきます。
◆(磯部委員) 認可外保育施設については、事前の審査などを受けずに事業を始められますので行政の目が届きにくい状況にあります。行政としては、立入調査など実態を把握する機会をぜひ生かしていただきたいと思います。立入調査により問題を指摘した改善状況をしっかりとフォローし、これまで以上に子供の安全と保育の質の確保に努めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
次に、児童虐待対策の推進について伺います。
本市においても今年度に入り、1名は両親に段ボール箱に入れられ長時間放置され、もう1名は母親にけられ、ともに幼い命を落としています。
そこでまず、こうした児童虐待による死亡事例を踏まえた副市長の所感を伺います。
◎(山田副市長) 本市では、児童虐待防止のプロジェクトの検討を踏まえて現在対策を推進しているところでございますけれども、こういった中でも、児童虐待によりかけがえのない幼い命が失われたことにつきまして、大変残念で痛ましく思うと同時に、市としても重く受けとめております。児童虐待により子供が命を落とす、こういった痛ましい事件が再び起きることのないよう、職員一同決意を新たにし、対応を徹底し、対策を推進する覚悟で臨んでおります。
◆(磯部委員) 児童虐待については、早期発見、早期対応を徹底し、子供の命が失われないように取り組んでいただきたいことは言うまでもありません。児童虐待は孤立、育児ストレスや精神疾患、子供の育てにくさなど、さまざまな要因が絡み合って発生しています。児童虐待を発生させないために、そうした要因を早期に把握し、支援していく取り組みが重要であると考えます。
そこで次に、これまでの児童虐待対策において未然防止の観点で取り組んできた対策は何か、伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 22年度より母子健康手帳交付を受けるすべての妊婦を対象に、看護職が妊娠や出産に伴う不安や心配事等の相談に応じるなど、妊娠中からの支援に取り組んでおります。23年度には、児童虐待対策フロジェクトでの検討を踏まえ、育児支援家庭訪問員を増員するとともに、心理嘱託員を新たに配置し、必要な支援に早期につながる対策を実施いたしました。さらに、一時的に親子が離れる時間を持つことが有効な家庭には、保育所での見守り強化を行うことなどにより虐待の未然防止を進めます。
◆(磯部委員) そうした対策は引き続き進めていただきたいと思います。
厚生労働省の報告を見ても、全国の虐待死事例ではゼロ歳から5歳児が43人で約90%を占めているとのことです。また、虐待による死亡が生じ得るリスク要因の一つとして、乳幼児に係る健診が未受診であることが挙げられています。乳幼児健康診査の未受診者等については、その家庭ごとに抱える課題を把握することが困難であり、必要な支援につながりにくいために虐待となるリスクが高いと私も考えております。
そこで、本市における乳幼児健康診査の未受診者対策強化に向けた取り組みについて伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 乳幼児健康診査の未受診者に対し、22年度から看護職アルバイトによる電話かけや家庭訪問を拡充しており、受診勧奨を行うだけでなく育児相談にも応じ、必要に応じて地区担当保健師の継続支援につなげております。これらにより、状況が細かく把握できるようになるとともに、全く把握できない未受診者数は減少しております。さらに、母子訪問やこんにちは赤ちゃん訪問、乳幼児健康診査等の実施状況のデータベース化を図るため、24年度に母子保健システムを構築し、迅速な相談支援を行うとともに、未受診者への受診勧奨を強化いたします。
◆(磯部委員) 未受診者の把握に加えて、子育ての課題や悩みを抱える保護者が気軽に相談することや、気になる家庭があったときに近隣の市民が通報を行うことが早期発見、早期対応につながり、日常的にさりげない声かけをしていただくことが未然防止につながると考えています。市民の方の中には、どこに通報や相談をしたらいいのだろうとか、通報をしたら逆恨みされないかといった不安を抱え、通報や相談をちゅうちょしている場合もあるのではないかと考えています。そのような状況に対応する取り組みの一つとして広報啓発が挙げられています。きょう私も持ってきていますが、私の把握している中では保土ケ谷区で今年度年じゅう無休で24時間の虐待相談、通報に対応するよこはま子ども虐待ホットラインなどの電話番号を記したマグネットシートを区内の全世帯に配付し、地域全体、社会全体で児童虐待を防止する機運を高める取り組みを行っています。(資料を提示)また、これ以外にも各区やこども青少年局等で取り組んでいることがあると思います。
そこで、市民への広報啓発の強化に向けた取り組みについてお伺いいたします。
◎(鯉渕こども青少年局長) 保護者の皆様が問題を抱え込まずに相談ができるよう、また、近隣の市民の方から心配な家庭について早期に御連絡をいただけるよう、相談窓口などについて幅広い周知が必要です。23年度は、市営地下鉄などの公共交通機関等を活用した広報を行ったほか、神奈川県や川崎市などと連携した県下一斉キャンペーンを初めて行い、インターネット広告や映画館でのCMを活用した広報を行いました。24年度も、11月の児童虐待防止推進月間を中心に、各区や地域、商店街や民間企業と連携した啓発活動を幅広く積極的に進めてまいります。
◆(磯部委員) 本市においても、さまざまなアイデアを結集して、引き続き工夫を重ねた広報啓発の強化を進めていただきたいと思います。同時に、虐待の兆候を早期に発見し、必要な支援につなげていくという視点においては、子供が日々通い、その様子を確認できる学校との連携をさらに進めていく必要を感じています。
ついては、区、児童相談所と学校の連携強化に向けた取り組みについてお伺いいたします。
◎(板坂児童虐待・DV対策担当部長) 学校は日々の子供の状況やその変化を察知できることから、虐待の早期発見のために連携の欠かせない関係機関です。23年度は、教育委員会から児童虐待発見のポイントなどを示したリーフレットを市立学校の全教職員に配付するとともに、情報共有の漏れを防ぐため、学校と区や児童相談所との問で統一の書式によって子供の情報を定期的に共有する仕組みを新たに設けました。今後も、学校を初めとする関係機関が一堂に会し協議を行う要保護児童対策地域協議会の活性化に努め、連携を強化します。
◆(磯部委員) 引き続き学校との連携強化に努めていただきたいと思います。
一方、虐待対策を進めていく上では、行政、子育てにかかわる関係機関、地域への啓発とあわせて、いずれ横浜を担っていくことになる子供たちが命の大切さを知り、親になったときに子供を大切にはぐくむような働きかけも重要と考えています。
そこで、児童虐待の未然防止の観点から、子供が命の大切さを学ぶ必要性について副市長の考えをお伺いいたします。
◎(山田副市長) 子供自身が命の大切さを学び、周囲から愛され育ってきたという気持ちをはぐくんでいくこと、そして、それが将来、子供を産み育てる喜びや楽しさにつながっていくことは非常に重要だと考えております。本市では、学校での赤ちゃん触れ合い体験や授業などにおきまして、保護者から赤ちゃんへのメッセージをまとめたトツキトウカと題した詩集の活用を始めております。(資料を提示)今後も、学校だけでなく地域とも連携を図りながら、子供たちが命の大切さについて考えるきっかけになるような機会をふやしてまいります。
◆(磯部委員) 子供が産まれたら、愛され、大事にされ、やがて大人になり親になっていく、こうした当たり前であったことが当たり前にできない時代になってきたようにも感じています。地域、関係機関による見守りや支援により、児童虐待が未然に防止され、虐待の再発や連鎖が起きることのないよう、引き続き切れ目のない対応を行っていただくようお願いいたします。
次に、青少年の健全育成に関連して幾つかお伺いいたします。
青少年を育て支えていくのは第一に家庭や家族であると思いますが、学校や地域もまた大変重要な役割を担っていると思います。そして、家庭教育の衰退が叫ばれ、学校教育もまたさまざまな課題を抱えている現在、私としてはもっと地域における青少年育成の取り組みを活発にできないかと考えています。
そこで、本市における青少年育成の取り組みを検証してみると、まず第一に思い浮かぶのが市内に約2700人もいらっしゃるという青少年指導員の方々です。私も青少年指導員の一人として地域で活動していますが、皆さん青少年と同じ目線に立って、ボランティア精神で一生懸命地域での活動に力を注いでいます。
保土ケ谷区でもいろいろな取り組みが行われていますが、まず、全市的に青少年指導員はどのような活動を展開しているのか、伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 毎年7月に学校の夏休みにあわせて、全市一斉の夜間パトロールや、有害図書類の区分陳列状況を初めとする社会環境の実態調査を行っています。また秋には、青少年指導員の活動を広くPRするため、子供たちのデザインを使用したチラシを全市一斉に配布し、キャンペーン活動を展開しております。各地域では、例えば青少年の作文を募集し、それを発表する催し物や、中高生の企画によるダンスや音楽祭などさまざまな活動を行っております。
◆(磯部委員) 休日や会社帰り、仕事の合間などに青少年指導員の皆様は無償で活動しているわけですが、さまざまな活動に参加するに当たって、青少年の現状とか、本市の青少年施策などについて多少なりとも情報があれば、より効果的に取り組むことができると思います。
人材育成の観点から青少年指導員に対する研修はどのように行われているのか、伺います。
◎(川名青少年部長) 毎年、各区の特色ある取り組みを知り、活動のヒントを得るために全市で研修会を行っているほか、日々の青少年指導員の活動に生かしていただくため、青少年を取り巻く現状や課題に関する講演会を開催しております。さらに、各区の代表者で構成いたします横浜市青少年指導員連絡協議会では、国の施策や本市の青少年施策、青少年に関するさまざまな問題などにつきまして学ぶ機会を設けております。
◆(磯部委員) マンパワーとなる青少年指導員とともに、ハード面では現在市内8カ所の青少年の地域活動拠点がありますが、青少年の地域活動拠点ではどのような活動が展開されているのか、伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 青少年の地域活動拠点では、中高生世代を中心とした青少年が安心して気軽に集い、仲間や地域の大人との交流やさまざまな体験活動を行っております。例えば、青少年が自由にくつろげる場の提供のほか、物づくりや物品販売などの体験活動、地域の集いを通じた異世代との交流、青少年みずからの企画によるイベント開催など、地域の皆様の御理解と御協力のもと活動を展開しております。
◆(磯部委員) 先日我が党の藤崎委員と一緒に都筑区の地域活動拠点であるつづきMYプラザに伺いました。ひきこもりであった3人の高校生たちが音楽室で楽しそうにバンドの練習をしている姿や、スタッフの方に心を開いて話している様子などを見ることができました。また、私の住む保土ケ谷区にも天王町に地域活動拠点が開設されていて、駄菓子屋のような場所に小学生から高校生までが集まってきて、みんなで一緒に創作活動をしたり、歌を歌ったり楽しく過ごしていました。毎月定期的に小中学生による県内の野菜の販売活動も行われています。
私はこうした活動にぜひとも青少年指導員の力をかりていくべきだと考えていますが、青少年の地域活動拠点と青少年指導員の活動を連携できるような施策についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
◎(鯉渕こども青少年局長) 家族にも話せないような悩み事を抱えた青少年にとって、相談に乗ってくれる青少年指導員のような大人が身近にいることはとても大切だと考えております。青少年の地域活動拠点がそうした青少年指導員を初めとする地域の大人と中高生が交流する場所になるようにしていきたいと考えております。
平成24年4月に開館予定である金沢区青少年地域活動拠点の中には、青少年指導員の活動場所を整備予定であり、今後、他の青少年地域活動拠点にあっても青少年指導員が青少年の地域活動拠点に積極的にかかわることができるよう当局としても工夫してまいりたいと思っております。
◆(磯部委員) 青少年指導員にはこれからも活躍を期待したいと思いますが、昭和53年の制度開始から30年以上がたち、社会状況も大きく変わっています。これまでの経緯や伝統を守り事業を続ける継続性も大切ですが、現代の青少年の課題に対応するため、新しい事業を企画、実施する柔軟性、機動性も大変重要だと考えております。伝統を大切にしつつ、これからの時代の青少年指導員のあり方について、今後検討をお願いいたします。
ところで、地域で青少年を育てていくためには、当然この青少年指導員だけではなく、地域全体の協力が必要になります。そのためには、青少年を取り巻く社会状況や課題、問題点などについて理解をしていなければなりません。事前にお聞きしたところでは、今年度から思春期キャラバンと銘打って、横浜市子ども・若者支援協議会のメンバーである有識者が各地で研修講師を務めているとのことです。
会場その他の準備さえしておけば講師の謝金は市で負担してくれるので皆さんからは人気があるようですが、思春期キャラバンはこれまでにどのような内容で何回開催されたのか、伺います。
◎(川名青少年部長) ことし1月末現在で24回開催しておりまして、年度末までに37回の開催を予定しております。
地域の民生委員、主任児童委員、青少年指導員や学校の児童生徒、保護者の皆様や教職員などを対象として、携帯電話、インターネットや子供とのかかわり方、非行への対応、また性教育、性感染症、青少年の居場所づくりなど多岐にわたった内容となっております。
◆(磯部委員) こうした取り組みは、青少年を取り巻く社会環境やその抱える課題を広く市民に伝えることができますし、地域の皆さんの取り組みのきっかけにもなります。とても大切な取り組みであると思いますが、24年度は具体的にどのような事業展開を考えているのか、伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 子供、若者の抱える課題や青少年施策について、より多くの市民の皆様の理解を深めていくため、24年度は思春期の問題のほか、困難を抱える若者の自立支援にもテーマを拡大し、講師陣を充実するとともに、実施回数をふやしていきます。なお、24年度は、青少年施設におけるさまざまな交流、育成の活動を通じて、日ごろから青少年とかかわり、課題解決に向けて取り組んでいる公益財団法人よこはまユースが実施主体となり進めてまいります。
◆(磯部委員) 地域の現場で青少年を見守り、寄り添い、支援しているのは青少年指導員を初め、多くの市民の方々です。地域における人材育成こそが青少年育成の最も重要な課題でもありますので、一人でも多くの市民の皆さんに参加していただけるようお願いします。青少年の健全育成はあすの横浜、あすの我が国をつくっていくための取り組みであることを忘れてはいけないと思います。そのためにも、行政だけ、特定の団体だけということではなく、市民全体で青少年の育成に取り組めるようより一層の事業展開をお願いします。
次に、障害児支援について伺います。
ここ数年間の障害者手帳の交付件数について、特に18歳未満の障害児を見てみると、身体障害者手帳の交付数がほぼ横ばいであるのに比べて、知的障害の愛の手帳の交付者数が増加しています。特に軽度の知的障害のある児童が目立って増加しており、平成12年度末におけるB2区分の軽度の知的障害児が1256人であるのに対して、平成22年度末には4015人となり、この10年間の間に約3.2倍になっています。また、地域療育センターに併設する診療所では、発達障害のある児童、または発達障害が疑われる児童の診療希望が増加している状況にあるとも聞いています。
そこでまず、障害児の増加に対応するため、地域療育センターでの支援の拡充に向けてどのような取り組みを行ってきたのか、改めて伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 増加する障害児への支援を拡充するため、地域療育センターの整備を続けてきております。1館目の南部地域療育センターを昭和60年8月に開所後、平成19年4月の地域療育センターあおばまで7館整備し、現在は8館目の平成25年4月開所に向けて港南区内で工事を進めております。また、発達障害のある未就学児童への集団療育の場が必要と考え、22年度から順次、各センターで児童デイサービスを導入しております。
◆(磯部委員) 一定の対応をしてきたことはわかりましたが、この10年間に増加している軽度知的障害児や発達障害児への対応としては、通園施設だけでは限界があると思います。そのため、通う形態ではない支援サービスにも取り組む必要があるのではないかと考えています。地域療育センターにおいては、既に地域の保育所、幼稚園等への地域療育センタースタッフが巡回訪問を行っていると聞きました。地域療育センターは療育の専門機関として地域の中核となり、支援ノウハウを広く提供していく役割を担っていますので、そうした外部へ積極的に出ていく機能が今後ますます高まっていくのだろうと思います。そこで、こうした観点から質問します。
初めに、保育所、幼稚園等への巡回訪問の実績の推移と保育所等からの評価はどのようなものか、伺います。
◎(本吉こども福祉保健部長) 地域療育センターでは、児童指導員や心理士等が保育所や幼稚園を巡回し、相談や指導を行っています。22年度の7センター全体の実績としては、1260回の訪問により8994件の相談、指導を行っています。5年前と比較すると相談、指導件数が約1.8倍に増加しています。
保育所、幼稚園等からは、訪問によって児童理解が一層進んだという声をいただいている一方、回数をもっとふやしてほしいという声があり、23年度から各センターに相談員1名を増員し、相談、指導ニーズの増加に対応できるようにしています。
◆(磯部委員) 未就学の児童が保育所や幼稚園に通いながら、そこでの困難さに対処できるように周りから支援していくためには、こうした取り組みが大変重要であり、必要なことだと考えています。一方で、そうした児童が小学校に上がった場合でもやはり同じように支援していく必要があります。
そこで、地域療育センターでは小学校期の児童への支援としてどのような取り組みをしているのか、伺います。
◎(本吉こども福祉保健部長) 19年度から、地域療育センターの専門スタッフが小学校を訪問し、教職員が発達障害の疑いのある児童に適切な対応が行えるよう、専門的視点による助言や研修を行う学校支援事業を実施しています。22年度には、全小学校345校のうち7割強に当たる257校に支援を実施しており、学校側では児童の特性に応じて教室の環境を整えたり、写真などを利用して視覚的に訴える方法を取り入れるなどの取り組みが行われております。
◆(磯部委員) 小学校期に関しては教育委員会としてもさまざまな取り組みを行っていると聞いていますので、発達障害児への支援を行っていく体制づくりが十分な効果を上げていくためには、学校と地域療育センターの学校支援事業が緊密に連携していく必要があると思います。
そういう意味では学校支援事業の役割が重要となっており、大きな期待を寄せているところですが、そこで、学校と地域療育センターとの連携強化に向けて具体的にどのようなことに取り組んでいるのか、伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 地域療育センターの学校支援事業スタッフと学校教育事務所や特別支援教育総合センターの指導主事との連絡調整会議を定期的に開催しているほか、小学校の児童専任支援教諭向け研修では、学校支援事業スタッフがアドバイザーを務めるなど、いろいろな場で教育委員会との連携、調整に努めております。
◆(磯部委員) 地域療育センターによる支援と教育委員会や学校による取り組みとが相乗効果を生み、軽度の知的障害や発達障害のある児童にとって、学校での集団生活における困難さが少しでも和らぎ、苦しい学校生活ではなく楽しい学校生活が送れるようになることが期待されていますので、必要な支援が行えるよう、支援スタッフの体制を厚くするなどのことも考えていただきたいと思います。障害のある子供たちのために、国は児童福祉法を平成24年4月に改正し、新たなサービスとして、保育所や幼稚園のほか、小学校、特別支援学校や施設などを訪問して支援を行う保育所等訪問支援が創設されると聞いています。
そこで、国が新たに制度化する保育所等訪問支援については、地域療育センターは導入する必要があると思いますがどのように対応していくのか、伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 法改正により、新たに創設される保育所等訪問支援が地域療育センターの必須事業として義務づけられます。この事業は、障害児の状況や障害特性に応じた専門的指導を行うものであるため、事業の導入に当たっては、経験のある児童指導員や保育士、作業療法士等の専門職の確保が必要となります。また、訪問先との関係構築も必要ですので、3年間の経過措置の中で具体的な実施方法について検討してまいります。
◆(磯部委員) ここまで未就学の障害児支援、小学校期の障害児支援について伺ってまいりましたが、その後の中学校、高校期のいわゆる思春期年代になっても障害児本人に寄り添った支援が継続されていくことが望まれます。
本市においては、知的に軽度のおくれのある障害児のほかにも、知的障害を伴わない発達障害のある児童やその疑いのある児童も対象として、診療、相談、関係機関への支援、学齢後期の支援事業を行っているとのことですが、学齢後期支援事業の利用実績はどのように推移しているのか、伺います。
◎(本吉こども福祉保健部長) 学齢後期支援事業は、13年度に神奈川区にある小児療育相談センターへの委託事業として開始しています。初年度である13年度の新規利用人数は7人、実利用人数は195人でしたが、22年度は新規利用人数214人、実利用人数700人にまで大きく増加しております。
◆(磯部委員) 心身ともに大きな変化が起こる年代であり、親子関係や友人関係のあり方も複雑なものになり、小学校期とは異なる相談内容となっているのではないかと思います。また、これまで事業を行う中でさまざまな課題も見えてきたのではないかと思います。
そこで、学齢後期支援事業を通して明らかになった課題は何か、伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 知的障害を伴わない発達障害児の場合は周囲から気づかれないため、専門的療育を受けることもなく、思春期を迎えてから初めてコミュニケーションや対人関係の困難性に気づくケースが多くなっております。こうしたケースの中には、発達障害の自覚がないまま、いじめや不登校、ひきこもり、家庭内での暴力など、二次的障害が顕著になる場合もございます。
◆(磯部委員) 学齢後期の支援に当たっては、発達障害特有の人間関係にかかわる課題が顕在化し、学齢前期の児童とは違った難しさがあるようですが、一人一人丁寧にかかわっていくことが重要であると思います。また、この年代の児童については、中学や高校の卒業後を見据えた支援ということが特に重要であると思います。
そこで、知的障害を伴わない発達障害のある中高生への支援はどのようなことに重点を置く必要があると考えているのか、伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 家族や教師など周囲の人たちが発達障害に気づき、理解を深めるとともに、本人や家族が相談しやすい環境づくりが必要です。また、本人に対しては、自分自身の障害特性を認識してもらうことや、実践的な体験や訓練を繰り返し行うことなどにより、将来の就労に結びつけることに重点を置いて支援していく必要があります。そのため、健康福祉局と協力しながら、就労に向けた効果的な支援方法の開発、また、発達障害者支援センターや就労支援センター等へつながりやすくする仕組みづくりに取り組んでいきたいと考えております。
◆(磯部委員) この事業の実績や課題などを伺いましたが、発達障害児への支援は個々の状況に応じて丁寧に対応していく必要があると改めて感じました。こうした課題に取り組んでいくためにも、量的な、また質的な展開が必要だと思います。実施箇所数の増加や機能拡充など、効果的、効率的な方法を検討して取り組んでいただくようお願いします。また、保育所、幼稚園の職員や学校の教員に対する助言、援助だけではなく、障害児本人への直接的な支援も必要であるので、ぜひそうした取り組みを加えて、さらに障害児支援の拡充に取り組んでいただくよう要望して、次の質問に移ります。
次に、地域子育て支援拠点事業について伺います。
本市では、かがやけ横浜こども青少年プラン後期計画に基づき、地域における子育て支援の総合的な拠点として、各区に1カ所、地域子育て支援拠点の整備を進め、今年度で18区への設置が完了しました。地域子育て支援拠点は子育て家庭の不安感や負担感、さらには孤立感の軽減につながる親子の大切な居場所だと思います。
そこでまず、地域子育て支援拠点の今年度の利用実績について伺います。
◎(田中子育て支援部長) 12月末までの実績でございますが、18カ所の地域子育て支援拠点で延べ33万6550人、1拠点当たり1日平均106人の利用となっております。
◆(磯部委員) 多くの親子の利用があるようですが、一方で地域子育て支援拠点のスタッフの方からはまだ拠点のことを知らない方が少なからずいるというお話も伺いました。
そこで、より多くの方に地域子育て支援拠点を利用してもらうために、これまでどのようなことを行ってきたのか、また、今後どのような取り組みを行っていくつもりか、伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 本市全体の広報としては、地域子育て支援拠点を紹介するために、母子健康手帳交付時に子育てガイドブックを配布しております。昨年からは市内の分娩取扱医療機関などの協力を得てチラシの配布を始めました。また、各区で独自に子育てマップを作成して、こんにちは赤ちゃん訪問の際に手渡すなど、拠点の周知、利用に向けたさまざまな取り組みを行っております。今後は、拠点を母親教室の会場として活用することで、妊娠中から拠点の存在を周知し、出産後の利用につなげるなど、各区と連携した広報活動を幅広く進めてまいります。
◆(磯部委員) ぜひ、より幅広く多くの方々の利用につながるような取り組みをお願いします。
24年度の予算案では、地域子育て支援拠点において新たに出張ひろばをモデル実施することになっています。そこで、出張ひろばを実施するねらいについて伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 出張ひろばは、身近に子育て支援の場が少ない地域に親子の居場所を開設し、子育て支援を行う取り組みです。広場の開設に当たっては、地域子育て支援拠点が持つネットワークや人材育成の機能を発揮し、地域の方々と連携しながら新たな支援の場所の確保と担い手となる人材の発掘、育成を行っていきます。将来的には、出張ひろばでの活動が地域において子育て支援の自主的な活動として発展していくことを目指します。
◆(磯部委員) 出張ひろばは3区でモデル実施すると伺っていますが、モデル区では具体的にどのように出張ひろばを展開していくのか、伺います。
◎(鯉渕こども青少年局長) 区役所と拠点が連携して実施場所を確保し、定期的に週1回程度、出張ひろばを開催することで、情報提供、相談、居場所の提供を行います。広場の開催に当たっては、地域のさまざまな方々や子育て中の当事者の参画を求めることにより、子育て支援活動を体験したり、実践できる場所として、広場を活用していきます。こうした実践を通じて、広場の活動が段階的に自主的な活動となり、地域の中に定着していくよう努めてまいります。
◆(磯部委員) 出張ひろばは、これまでなかなか子育て支援の手が行き届かなかった地域に出向いていき、子育て中の親子へ居場所を提供したり、新たな子育て支援の担い手発掘や育成にも取り組むなど新たな手法であり、ぜひ期待したいと思います。そして、より多くの地域に子育て支援の場が広がることにより、先ほど質問しました児童虐待の未然防止にもつながってくると思いますので、ぜひ充実した事業展開をお願いして、私の質問を終わります。