いそべ圭太  自由民主党 横浜市会議員(保土ケ谷区選出) 公式ホームページ

2012.10.31

通知表の事前公開問題

横浜市教育委員会が、横浜市立学校に対し、通知表を配布する前に保護者らに確認を求めるように指示していたとの報道がありました。

新聞報道を見た瞬間、普通のことではないと認識しましたが、その思いの通り、全国的に大きなニュースとなっており、議論を巻き起こしています。

私も報道で事実を知りましたので、本日、事の経緯や見解等を教育委員会事務局に説明を求めました。

そもそも、通知表は学校側が責任をもって作成するもので、保護者に通知表の点検を求めること自体、教育現場の責任放棄とも言えます。
不信感を生むようなことを教育現場自ら行っており、まさに「学校は信用できない」と言っているようなものなのです。
「教育」とは、信頼関係で成り立つものであり、それが何よりも大前提にあります。
通知表には、担任の名前のほかに、学校長の名前が通常記載されています。
作成は担任がしたが、学校長が責任をもって通知していますという意思の表れです。

また、仮に本件が是とできることであったとしても、学校長の判断で実施をしなかった例もあり、組織としては体を成していません。
教育委員会の通知(職務命令)に対して、従わない学校長がいたとしたら大問題です。
しかしながら、結果論だけで申し上げれば、実施をしなかった学校長は、ごくごく一般的な常識を持ち合わせた方であると言えます。
教育委員会が通知したからには、教育委員会は学校長に対して、状況調査及び報告を求めて、実施状況を把握すべきですが、それも行っておりません。
調査を開始したとの報告でした。

昔は、ひとりの担任が40~50名の児童・生徒の成績等、すべての面を見ていましたが、今は多くても40名です。
子どもの姿を思い起こしながら、ひとりひとりの通知表をつけ、手渡しすれば、その子が何日くらい休んだかなどは、チェックしたときに気付くことではなかろうかと思います。
近年、教員の子どもに対する思いが低下してきているのではなかろうかと危惧してしまいます。
校務システムなどを導入し、データ化できるものはデータ化していくのは、事務効率の面からも、近年の流れからもやむを得ないと思います。
しかしながら、子どもは機械ではありません。教員も機械ではありません。
やはり、生身の人間が生身の子ども達をきちんと見ていかなくてはなりませんが、だんだん見極めができなくなってきているのではなかろうとさえ、感じてしまいます。
教員の専門性を放棄していると言っても過言ではありません。
教員には、自分は教育のプロだとしっかり認識して職務に当たっていただかなくてはなりません。

近年、高学歴化してきている地域があり、教員より保護者の方が高学歴であるというケースも珍しくありません。
学歴だけで物事を判断するわけではありませんが、このようなことが起こると、表現は悪いですが、教育現場が「馬鹿にされる」ようなことも出てくるでしょう。
まさに、教育の信頼を損なう事態です。

本件は、恐らく全国の教育委員会からしても「横浜、何をやってんだ」と言われてもおかしくありません。
言い方を変えれば、「大ブーイング」が巻き起こるかもしれません。

本件は、本質を取り違えた結果、こうした方向性になってしまったのではないかと考えます。
本来、教育委員会や学校現場、教職員は、子どもに向かって物事を進めるのが当然のことです。
しかしながら、昨今の教育委員会批判や通知表の誤記載による報道などにより、本来見るべき方向を見誤った結果なのではないかと考えます。
報道機関や保護者などの批判的な意見ばかりに耳を傾けたり、対応に追われるばかり、子どもではなくそれらに向かって物事を進めているから方向性を見誤るのです。

教育委員会は、何よりも子どもを守るためにあります。

それ以外の何物でもありません。

閉会中の11月5日に常任委員会(こども青少年・教育委員会)が開催されることが決定しました。
この問題についても、引き続き教育委員会に対して厳しく問題提起、提言をしてまいります。

横浜市立小学校では、通知表のことを「あゆみ」としています。