いそべ圭太  自由民主党 横浜市会議員(保土ケ谷区選出) 公式ホームページ

2012.11.04

減災対策推進委員会 行政視察 平成24年11月1日~11月2日

減災対策推進特別委員会の行政視察に行ってまいりました。

特別委員会の行政視察は、常任委員会と異なり、委員会単位または会派単位、視察なしと選択でき、期間は1泊2日以内で行われ、年間の予算額は議員1人当たり8万円となっています。

初日は、関西大学社会安全学部での講義を受講し、施設の視察を行いました。
冒頭、小澤守学部長より学部についての説明、災害や危機管理についての講義がありました。
本学部は、阪神・淡路大震災をきっかけに設立された文理融合の学部とのことです。
東日本大震災は、我が国の中でも比較的人口が少ない地域で起こったが、阪神・淡路大震災は、人口密集地で起こった。このような都市災害は、関東大震災以来なかったのではないかという話しから始まり、学部を設置した目的や危機管理についての教授の考えをお聞きしました。
「危機管理は経験が物を言う」とのことでした。

次に、城下英行助教より、「防災教育から防災共育へ」についての講義を受けました。
戦後の防災対策の歴史は、3つの時代に分類される。
第1の時代、毎年自然災害で1,000名以上の死者を出していた。
地震ではなく、台風などの風水害・洪水による被害だった。
第2の時代では、伊勢湾台風災害を教訓とし、1961年に災害対策基本法が制定された。
主に防波堤などのハード面の整備が行われた。
理工系研究者が防災実務者として、災害対策に貢献した。
しかしながら、見えない部分の問題があり、市民は防災を専門家に任せるようになっていった。
第3の時代は、1995年の阪神・淡路大震災からであり、35.000人の要救助者のうち、3/4以上は家族とか近隣住民に救助され、消防や警察、自衛隊などにより救出されたのは、8,000人ほどだった。
その結果、専門家への依存体質を脱却していく必要があった。
防災情報は、より詳細な情報を素早く、正確に伝達することで、被害を大幅に減らせることがわかってきた。但し、東日本大震災では情報を待ったことにより、避難が遅れた方もいた。
「防災教育」は、阪神・淡路大震災をきっかけに本格的にスタートしてきた。
防災教育は、専門家任せになってきているが、この専門家依存を避けなくてはならない。
知識を一方向へ伝えることではない。
「知識を行動に結びつける」という発想を転換する必要がある。→参加型の防災教育(=防災共育・防災学習)
共に学ぶんだという姿勢が大切である。これは講演会に参加するのではなく、本物の防災実践に参加することで、参加型になる。
防災教育は、知識を伝えることではない。
知識を伝える活動に加え、本物の活動に参加することで、自分がある事柄に対して持っていた「意味」が変化する可能性、もともと参加していた方たちが持っていた「意味」も変わる可能性。
いわゆる「釜石の奇跡」
想定だけを信じるな、率先避難者とたれ、ベストをつくせ。
岩手県は学校管理下によって、子供は犠牲になっていない。これが、岩手県の防災共育(共に育っていく)の成果であった。
このようなお話しを伺いました。

次に、キャンパス内の見学をいたしました。

最後に、元吉忠寛准教授より、「防災心理学」についての講義を受けました。
サブテーマは、「地域防災力の向上」です。地域の防災力の向上は、減災にも繋がってくるとのお話しがありました。
我々は、様々な厄災とつきあっていかなくてはならない。心配しすぎても体に悪い。どんなに備えても「想定外」に襲われる。だからと言って、まったくなにもしないのも困る。
減災に対する正しいリスクを認識させていく。ただし、リスク認知による効果は限定的である。地震に対する意識は、大きな地震が発生してから10年程度である。しかしながら、大地震のスパンは、50年や100年である。
「対策」の促進をするためには、もっと「対策」そのものに対する「認識」や「規範意識」や「コントロール感」を明確にする必要がある。
ネガティブな情報は無視していき、自分にとってプラスになるもの、地域の自尊心や愛着を高めていくことが防災力向上に必要なポイントである。
プラスやべネフィットの部分を強調して伝えていくことが大切である。

図上訓練(DIG)を活用して、いざというときのためのシュミレーションをしておくことも重要である。普段地域防災に興味のある方々はほぼ問題発生時に対応できるが、大学生に図上訓練を行わせると、問題発生時の対応方法や解決方法が思い浮かばなかった、解決できなかったという結果が多い。しかしながら、その訓練に基づいて、自信をつけていってもらうことを講義では目的としている。
このような訓練や活動を通じて、地域活動の「自尊心・効力感」を高めていくことが大切であり、「自分たちの地域は良い地域」という意識を育て、「地域の連帯感」が育つことがリスク対処の前提条件。
心理学の面から減災のために必要なことは、「対策の有効性、やりやすさなどを伝えること」である。
防災力の向上には、「災いを避ける力をつけること」などの話しがあり、防災とは「正しく恐れる」ことではなく、「安心を獲得し、自信をつける」機会だと認識し、自然災害「だけ」を特別視しないことなどの話しがある。
「健康」は、日常的な意味でも、災害時の減災にも役立つ一番大切なものであるとの話しがありました。
災害後の関連死は、高齢の方が多い、健康を増進させることが減災にも役立つとのことでした。


2日目は、神戸市役所にて、神戸市消防局より、「神戸市防災福祉コミュニティ(通称:BOKOMI)」についての話しを伺いました。
冒頭に阪神・淡路大震災の被害概要や震災後の状況の説明がありました。
震災を教訓とした取組として、公的消防力の強化、市民自主防災力の強化を行った。
市民自主防災力の強化ということで、神戸市防災福祉コミュニティ(通称:BOKOMI)ができ、地域で活動や訓練をしているとの説明がありました。

また、神戸市教育委員会事務局より、「神戸市における防止教育」についての話しを伺いました。

今回の視察では、普段なかなか聞けないことを、都市災害である阪神・淡路大震災を体験した方々から伺いました。
この視察で得た知識や経験をもとに、委員会での議論や横浜市での災害対策や減災対策に生かしてまいります。