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2016.07.25

水道・交通委員会 行政視察 平成28年7月19日~21日

7月19日(火)から7月21日(木)までの3日間で、常任委員会である水道・交通委員会の視察に行って来ました。

視察事項は大きくわけて、
・上下水道事業支援に関する三者協定について
・JR常磐線の復旧状況について
・仙台市営地下鉄東西線の開業について
・JR気仙沼線・大船渡線のBRT(バス高速輸送システム) について
・社会的ジレンマを乗り越えた住民参加型水道事業ビジョン策定とフューチャーデザインについて
の5項目です。

宮城県山元町では、
・上下水道事業支援に関する三者協定
・JR常磐線の復旧状況
について視察しました。

横浜市中区に同じ名前の山元町があり、その地域の方々を中心に支援活動が始まり、現在に至っています。平成27年度は4名、平成28年度は3名の職員を横浜市から派遣しています。
人口約12,000人強の街であり、東日本大震災でも死者636人を出す甚大な被害を受けました。
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「上下水道事業支援に関する三者協定」についてでは、宮城県山元町に対し横浜市を上げて復旧・復興支援に取り組む中で、山元町に対して技術的助言や実務支援などの技術協力を行うことにより、安定的かつ持続的な上下水道事業運営を確保することを目的として、水道局100%出資会社である横浜ウォーター株式会社及び横浜市水道局のサポートのもとで業務効率化策導入に向けた三者の協力関係を長期的に確認する協定締結しました。
協定期間は、山元町の復興計画の目標年次にあわせる形で平成30年度末としています。
その後、山元町と横浜ウォーター株式会社が平成25年度と平成26年度に、上下水道事業経営アドバイザリー業務委託を結び、包括委託検討や選定、財政計画を行って、上下水道事業包括的業務委託する業者を選定しました。
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今後、横浜ウォーター株式会社に、アドバイザー業務を委託し、政策形成や業務管理を共同で推進していくそうです。
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「JR常磐線の復旧状況」についてでは、東日本大震災により甚大な被害を受けたJR常磐線ですが、原発事故による「帰還困難区域」を含む富岡駅と浪江駅間の20.8kmのみ運転再開見通しが立っていませんでしたが、2019年度末までに該当区間を含む全区間の運転再開見通しが立ちました。尚、今回訪問する山元町の最寄は山下駅で、山下駅を含む区間は2016年12月末までに運転再開する予定だそうです。
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仙台市では、
・仙台市営地下鉄東西線の開業
について視察しました。

平成27年12月6日に八木山動物公園駅から荒井駅を結ぶ仙台市営地下鉄東西線が開業しました。全長は約15kmであり、仙台駅を中心とし東西に広がっています。以前から開業している南北線も同じく仙台を中心とし、全長も約15kmと同程度となっています。
(参考:ブルーライン全長40.4kmグリーンライン全長13.0km)
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仙台市営地下鉄東西線の開業により、日本国内で建設事業が進行中の地下鉄新路線はなくなり、日本最後の地下鉄新路線になる可能性もあるそうです。
料金は、初乗り200円、全区間で360円となっています。
南北線は、全国の普通サイズ車両の地下鉄としては、最後の地下鉄となり、その後に作られた地下鉄は小型化されているそうです。
(参考:グリーンライン小型化車両を採用)
新しい東西線は、横浜市営地下鉄グリーンラインと同様に、小型化車両、リニアモーター式を導入しています。リニアモーター式は、急勾配、急曲線に適合しているそうです。
横浜市交通局が雪対策の指導をしたこともあるそうです。
各駅には障害をお持ちの方用に、多目的トイレを右利き、左利き、それぞれの方が使いやすいタイプを設置しています。
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新線、新駅ですので、駅の中に保育所があり、屋上は園庭にもなっています。
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宮城県・岩手県では、
・JR気仙沼線・大船渡線のBRT(バス高速輸送システム)
について視察しました。

東日本大震災により、特に、気仙沼線・大船渡線については復旧にあたって相当の時間がかかることが想定されたことから、「BRTによる仮復旧」を沿線自治体に呼び掛けられました。
気仙沼線については2012年8月20日からの暫定運行を経て12月22日運行開始、大船渡線については2013年3月2日から運行を開始しています。
BRTとは、「バス・ラピッド・トランジット(英: bus rapid transit,)」の略であり、バスを基盤とした大量輸送システムです。日本語では、バス高速輸送システムとも呼ばれています。
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BRTによる復旧には次のような特徴があるそうです。
①地震・津波発生時も可能なところまで自力走行することで乗客がより避難しやすくなる。
②まちづくりの各段階に合わせたルート設定や、駅の増設等の柔軟な対応が行える。
③鉄道敷を活用することにより速達性・定時性が確保できる。
④フリークエンシー(運行頻度)を高め、利便性を向上させる。
⑤一般道路を活用すれば、早期の運行開始が可能である。
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岩手県矢巾町では、
・社会的ジレンマを乗り越えた住民参加型水道事業ビジョン策定とフューチャーデザイン
について視察しました。

矢巾町上下水道課は標記の取り組みにより、公益社団法人日本水道協会の平成27年度「水道イノベーション賞」大賞を受賞しました。
この取り組みは全国に先駆けて住民参加のもと水道ビジョンづくりを実現させるとともに、将来世代にわたって持続的な水道政策・水道計画を参加型で進めるという世界に類を見ないアプローチを展開しており、特に更新計画策定に苦慮する事業体の参考となるそうです。
また、矢巾町・横浜ウォーター株式会社・横浜市水道局の三者相互の交流や連携を通じ、課題への適切な対応と水道事業全体の発展に貢献することを目的として、平成27年8月26日付で、水道事業について包括的連携協定を締結しています。

矢巾町が住民参加に取組ことになった理由は、
水道政策を実効的にするには住民の理解が不可欠。
役所の思いだけではビジョンは達成できない。
水道料金の値上げも理解を得るのが難しい。
耐震化や更新のような効果が目に見えない政策は理解されにくい。
水道はあって当たり前のインフラであり、通常時、意識されない・感心がない存在。

従前役所は、相手を無視した送り手の態度があり、難しいことを詳細に、関心のない事を膨大な量で、知りたいではなく都合の良い知らせたい事など、事業体のご都合主義となっていた。
住民と役所の合意形成を意識しなくても良かった時代から、参加や合意形成が必要となる時代となり、仕事に納得解が必要な時代となった。
住民は、水道料金の値下げを望んでいる。

ワークショップを開催し参加者へは、1回2,000円の報酬を支払っているそうです。

施設の老朽化の現実を隠さず住民に見せると、非協力行動をとっていた住民が、協力行動をとる住民に変わってきて、早く直したほうがよい、料金の値上げが必要だという意識に変わってくるそうです。きちんとした情報を伝え、得ることで、否定的な意見から肯定的な意見に変わってくるそうです。

長期計画を策定する際、計画策定に携わる世代と、将来世代があり、将来世代が計画策定当時の世代と同世代となったとき、「昔ちゃんとやってくれたらな」と思われるようなことにしてはいけないと心掛けています。
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矢巾町が横浜ウォーター株式会社を選んだ理由は、
横浜ウォーター株式会社は、100%横浜市水道局の出資を受けている。
横浜市の水道経営ノウハウ、人材を持っている民間企業である。
などの理由から、包括的連携協定の相手先としたそうです。
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