2014.06.01
平成24年7月19日 平成24年 こども青少年・教育委員会
△局事業について
○(大桑委員長) 教育委員会関係の議題に入ります。
局事業についてを議題に供します。
教育委員会の事業概要につきましても6月4日の当委員会において当局より御説明をいただいておりますが、本日、改めて質疑の場を設けさせていただきました。
それでは、直ちに質疑に入ります。
各委員の質疑は簡潔にお願いいたします。
(中略)---------------------------------------
◆(磯部委員) 9ページの7番、市立学校食育推進事業費の後段に、中学校における昼食のあり方についてモデル的に試行し、検証しますという部分があるのですけれども、この具体的な中身を教えていただきたいのですが。
◎(山田教育長) 先週までにさまざまな昼食のあり方、例えば業者に前日までにオーダーを出して持ってきてもらう、あるいはコンビニといいますか、具体的にはセブンイレブンの関連会社だと思いますけれども、そこへネットで注文するとか幾つかの方法を、先週までに学校に協力を求めて試行させていただきました。
現在、その行った形について学校のほうで子供たちがどう思ったか、あるいは保護者の方がどう思われたか、あるいは学校のほうでどのように課題なりメリットなりを把握したかといったことを、アンケートみたいなものを中心に集約しております。
◆(磯部委員) セブンイレブン関係の会社のものも含めて幾つかのパターンを試されていると思いますが、どういった観点でどういった特色をもって試されているのか、わかれば教えてください。
◎(山田教育長) わかりにくいのですけれども、例えば日替わりの栄養バランス弁当とか、選べる弁当、これは唐揚げですとかハンバーグですとか、焼きそばですとかカレーライスですとかメニューがたくさんあって、その中から子供が選ぶ方式、あるいは加熱カート、要するに温かい弁当のほうがいいだろうということで、加熱カートを用意してそういった弁当を用意する、あるいはヘルシー弁当といいますか、非常にカロリーが少ないような弁当とか、さっき申し上げましたようにネットで注文するような弁当ですとか、大きく分けて5つのパターンで用意して、それぞれの学校に協力を求めてございます。
これは学校も違えてございますし、期間も違えてございます。その中で子供たちの反応をこれから見るといいますか、検証してみようということでございます。
◆(磯部委員) アンケートをとったりしてこれから検証されるということですけれども、具体的には、そのデータとか資料はいつぐらいにお出しいただけますか。
◎(山田教育長) 数が結構出たところもございまして、子供たちへのアンケートの集計にちょっと手間取っていますので、できれば8月いっぱいお時間をいただければと考えております。
◆(磯部委員) 今回、中学校における昼食のあり方の検討ということで、5種類の方式を試されたと思うのですけれども、すべて業者弁当形式だと思うのですね。中学校における昼食のあり方を検討するに当たっては、あくまでも検討なので、すべての可能性を排除しないで、いろいろな方式を試してみて検討していかなければいけないのではないかと思っています。もう御承知のとおり、我が会派は中学校給食を推進しておりますが、例えば中学校の給食のようなものを、100%そうではなくても、そのようなものを今後、実験的にやってみるとか、そのようなお考えはないということでよろしいのですか。
◎(山田教育長) 基本的に、現在、中学校に給食という形で導入することは考えておりません。ただ、これは可能性の問題ですけれども、小中が一緒にあるような学校が横浜市内にも二、三ございます。中学校にはもともと調理室みたいなものが用意されてございませんが、一緒にあるような学校についてはそういった、中学生の場合ですと、例えばその日の体調によって自分が選ぶといいますか、その意思表示がかなりはっきり出てまいりますので、一律に小学校と同じような形で提供するわけにはいかないと思いますけれども、小学校を利用した形が今後、考えられないかといったことは、今、検討しております。
これは学校の協力がなくしてはなかなか難しいものですから、しかももう夏休みに入ってしまいますので、そういったことを踏まえた上で、今後の検討課題といったことで把握しております。
◆(磯部委員) 今回5種類の昼食のモデル実施をするに当たって、何か他都市の例等を参考にして、これなら試してみる価値があるだろうといった観点で取り入れたものはありますか。
◎(山田教育長) 横浜市のような大きな自治体がなかなかないものですから、一概に他都市の状況を参考にするわけにはいきませんけれども、ただ、話として、いろいろなデータを集めてやり方を参考にしたという経過はございます。
◆(磯部委員) では次に、16ページの7番で、一番下段にはまっ子家庭教育応援BOOKの発行とありますが、家庭で保護者の方にこういうことを指導してもらいたいとか、こういうことをやってもらいたいということは、学校側からいろいろなことがあると思います。学校運営は当然保護者の協力がないとできないとは思いますけれども、ある程度の保護者の方は特にそういうお願いをしなくても、普通の、普通をどこに置くかはわかりませんけれども、一般的な水準で学校運営に協力してくれたり、各御家庭できちんと指導をしていただけるのではないかと思っています。
そんな中で、例えばですが、これはどうしても家庭で教育してもらいたいという内容をこの本を使ってお願いしたといったことがあると思うのですが、家庭できちんと子供に教育なり指導なりしないといけないことができない方は、こういう冊子等を読んでもなかなか協力してもらえないと私は思っています。その点、教育長のお考えがどういうところにあるか。
◎(山田教育長) おっしゃるとおりでございまして、例えば親の学びみたいなもの、家庭教育のようなもの、例えば講座とか相談窓口を設けても、そこへいらっしゃる方はまず問題はない。そこにお見えでない方のほうがむしろ問題だろうと考えております。そういったことも踏まえて、これは小学校版ですけれども、こういった家庭学習応援BOOKをつくってございます。
(資料掲示)
これは中学校版もございますけれども、この程度のパンフレットといいますか、冊子といいますか、これでもなかなか目を通していただいていないのではなかろうかという危惧もございまして、周知も含めて、中身を理解していただく、あるいは参考にしていただくことに我々も非常に苦慮しているところでございまして、非常に大きな課題だと考えております。
学校教育だけでは子供のしつけ等はなかなか難しい部分がございますので、どうしても家庭、地域と連携しながらやっていかなくてはいけないとは考えております。
◆(磯部委員) 今、教育長からもなかなか課題があるというお話をいただきましたが、この種の問題は解決の手立てが課題だと思うのですね。ただ、そんな中でも、やはり子供だけではなくて家庭や地域にもきちんと伝えていかなくてはいけないという中で、今後こういうことを試してみたいとか、こういうことをやってみたいといった教育長のお考え、実現できるかどうかは別として、何かお考えがあればお聞かせいただきたいのですが。
◎(山田教育長) 実は、これをもう少し見直して中身をもう少しビジュアル的にと申しますか、目を通していただけるような中身にできないかということと、もう一つは、例えば学校の入学式ですとか、そういった節目のときに保護者の方が大勢見えますので、そのときをとらえて、そういった学校からのお願いあるいは依頼といった形で家庭教育、あるいは親の学びといったことに少しでも参考になるような情報、あるいは相談窓口、そういったものを提供していきたいと考えております。
◆(磯部委員) 次は、10ページ、1番の9年間一貫した英語教育とか、4番の横浜市学力学習状況調査とか、12ページに飛んで14番の横浜の子ども学力向上事業とか、横浜の子供たちの英語力とか学力を上げていきたいという事業が幾つかあると思いますが、これらの事業をやって教育委員会側は何を得て、横浜市の子供たちの教育水準とか、学力をここまで持っていきたいといった明確な目標があってこういうものをつくられているのか、お聞かせください。
◎(山田教育長) そもそも学校は何をするところかということから我々は常に考えているわけでございますけれども、もちろん知・徳・体の3つのことをそれぞれバランスよく育成していかなければいけないのですけれども、基本的に学校でしかできない、それはやはり知の部分であるかと思っておりますので、そこの部分を、英語も含めて水準を高めていかなくてはいけないと思っております。
ただ、この水準といいますか、目標とする学力のとらえ方の評価、判定の仕方には非常に難しいものがございます。科目によっても違いますし、教科によっても領域によっても違いますので、そこら辺のことは非常に苦慮いたしておりますけれども、一つの指標として、成果の把握ということで、横浜市の教育振興基本計画を平成23年1月に作成したわけでございますけれども、この中で、子供たちへのアンケートといいますか、学力・学習状況調査みたいなものを踏まえた上での子供たちの理解の程度、自分でどのように判定したかとか、あるいは幾つかの問題をとらえて正答率、正しく答えた割合の数値を見てみるとか、そういったことを一応の目標にはしてございます。
◆(磯部委員) その指標があって、ごく一部のデータが集まってくると思うのですけれども、その次のステップをどうしていくかまで見据えていかないと、学力アップとか英語力のアップは難しいと思うのですけれども、今後その辺はどうしていかれるおつもりなのか、何かお考えがあれば。
◎(山田教育長) やはり基本的には教師の授業力、そういったところを上げていかないと、子供の理解もどうしてもついていきませんので、まずは教師の質の向上とかそういったことを通して、子供の学力を向上していきたいと思っております。
あと、それぞれの学校ごとに学力アクションプランを作成させておりますので、その学力アクションプランに従って、それぞれの学校の子供の実態に応じた学力の向上を目指していきたいと考えております。
◆(磯部委員) 今の話から少しそれてしまうのですけれども、例えば学校の先生方の水準を上げていこうということで、教育委員会にいる先生方がいろいろな情報を集めたりとか、研究、研修をされていろいろな冊子等をつくられていると思うのですね。学習指導要領だとか手引だとかです。ただ、学校の現場の先生に話を聞くと、子供の面倒で物すごく忙しくて、よく教育長の御答弁でも先生方の多忙感ということを聞くのですけれども、そういった資料が送られてくるのはいいけれども、なかなか見る機会がない。あと、その先生特有の考え方かもしれませんけれども、なかなか実践的に使えないという声をいただいたことがありますので、実際に現場の状況がどうなっているのか教えていただきと思います。
◎(山田教育長) 今の横浜市の教師の年齢構成を見ますと、40代というのが一番低いのですね。というのは、一番脂の乗ったといいますか、経験も積んで指導力のある方が一番少なくて、新人が毎年800人とか1000人とかそのぐらいの規模で入ってまいります。したがって、まずは新しく入ってこられた先生方、極端に言うと採用されて即あすから教壇に立つことになります。特に小学校の場合は担任という形も当然出てまいりますので、そこら辺のサポートをしっかりしていかなくてはいけないだろうということで、教師のレベルアップを図っていきたいということと、いろいろな資料がたくさん出ますけれども、それを選ぶ能力といいますか、今、何が求められていて、どこを自分に吸収していくか選択するというところを一定サポートしながら、あるいは一定経験を積ませながらしないと、すべての資料を読破するわけにはなかなかいかないと思いますので、そこら辺の、言ってみれば要領みたいなものも身につけてほしいなとは考えております。
(中略)---------------------------------------
○(大桑委員長) 他に発言もないようですので、本件についてはこの程度にとどめます。
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△市立小学校におけるいじめの発生について
○(大桑委員長) 次に、議題にはございませんが、当局より発言を求められておりますので、これを許します。
なお、当局の説明に際しては、着座のままで結構です。
◎(山田教育長) 恐れ入ります、資料を配付させていただいてもよろしゅうございますでしょうか。
○(大桑委員長) お願いいたします。
(資料配付)
◎(山田教育長) 今、お手元に資料を配付させていただきましたけれども、本案件は、横浜市立小学校におけるいじめの発生について御報告差し上げるものでございます。
恐れ入りますけれども、説明資料をごらんいただいて、まず、1の概要をごらんいただきたいと思います。
平成24年4月、金沢区内のある市立小学校において、児童が同級生等から差別的な発言や、ぶったり蹴ったりなどの暴力的な行為を受けているという相談が保護者から担任のほうにございました。
相談を受けた担任は関係児童への聞き取り調査を進め、いじめではなく仲のいい子供同士のトラブルとして保護者に説明をいたしてございます。その後も保護者からの相談はございましたが、担任は、関係児童への指導を行ったことにより改善が図られたものと認識いたしておりました。
しかしながら、5月末に至りまして保護者の訪問を学校が受けまして、校長、副校長が面談したところ、いじめの事実があったことを認識いたしたところでございます。
6月上旬には児童と保護者が金沢警察署や関内の教育委員会事務局を訪問されまして、学校内でいじめ行為があることや、学校の指導への不満、監督責任などについて訴えがございました。このときには南部学校教育事務所の学校担当指導主事が保護者から事情の聞き取りを行いました。
南部学校教育事務所では事態の改善を図ろうと、学校への聞き取りや保護者との連絡調整に努めたところでございますけれども、残念ながら、当該児童は別の市立小学校に転校されたところでございます。
その後、学校ではいじめの事実把握のため、改めて関係児童などへの聞き取り等を行いまして、6月29日、当該児童の保護者に対して謝罪を行うとともに、学校において調査、把握したいじめの事実について説明を行ったところでございます。
さらに詳細な実態把握をするために、今月12日には6年生児童全員に対するアンケートと聞き取り調査を行いまして、7月17日は教育委員会事務局の関係部署が当該保護者との面談を行ったところでございます。
これらのことを時系列に、2の経過としてまとめておりますので、あわせてごらんいただければと存じます。
裏面をごらんください。
今後の対応でございますが、4点考えてございます。
まず1点目は、当該児童に対して、転校先の学校と教育委員会事務局とが連携をとって校内の情報共有や組織的な対応に向けた体制づくり、担任による保護者への毎日の連絡等といった十分な受け入れ態勢を整えるとともに、心のケアのためスクールカウンセラーなどの派遣を行います。
2点目でございますが、現在、児童へのアンケートや聞き取り調査の結果について専門家による分析を行っておりますので、これらをもとに、本件のいじめについての実態や対応の問題点等について検証を行ってまいります。
3点目でございますが、専門家による研修等を実施しまして、教員の児童理解への意識をさらに高め、子供の内面にまで踏み込んだ児童理解を行えるようにいたします。
4点目は、本件いじめ及びその対応によりまして傷ついた子供へのケアのため、相談体制の充実を図ってまいります。
これらの対応により、いじめの早期発見と再発防止に全力を尽くしてまいります。
なお、本事案は児童の個人情報を含むことや児童への二次被害等を防ぐために、学校名を伏せさせていただきます。何とぞ御賢察のほどお願い申し上げます。
○(大桑委員長) 御質問、御意見がございましたらお願いいたします。
◆(磯部委員) 今回これは新聞報道された件だと思いますが、実際に市立の学校ではこの件以外にいじめがどれぐらいの件数あると把握されているのか、まず教えてください。
◎(山田教育長) 平成22年度のデータでございますけれども、小中学校合わせていじめと認知した件数は2100件でございます。
◆(磯部委員) この2100件という数字は他都市に比べて多いのか少ないのかわかりますか。
◎(山田教育長) 現在、他都市の比較は行っておりません。
◆(磯部委員) 本市の対応として、学校側へのいじめへのかかわり方はどのようになっているのか教えてもらいたいのですけれども、例えば、いじめの発生はいけないとか、ゼロにしなければいけないというスタンスなのか、それとも、いじめが発生してしまうことはやむを得ないが、早期発見、早期対応で被害を減少させていこうというお考えなのか、それとも違うお考えなのか教えてください。
◎(山田教育長) 基本的に、いわゆる陰湿ないじめ、そういったものはいけないという立場でございます。ただ、子供が集団でいる以上、けんかとかトラブルとかそういったものはございます。それがいじめに発展するといいますか、その段階での早期発見に努めてそれを防ぐということで、基本的な対応を考えているところでございます。
◆(磯部委員) いじめにもいろいろな種類があるので、それに応じた対応ということだと思いますけれども、例えばいじめ発生をゼロにしなければいけないとなったときに、何といいますか、例えば教育委員会の学校への指導が強いと、どこの組織でも変わらないと思いますけれども、人間というのはどうしても防衛意識、防衛機制があって、なかなか報告できない。本当はあってはいけないのですけれども、そういうことは少なからずあるのではないかと思っております。
横浜市としては、そういうことは一切ないように仕組みづくりをしているのかどうか教えてください。
◎(山田教育長) 基本的に、いじめというものはあってはいけないと思っておりますけれども、先ほど2100件と申し上げましたけれども、子供と言っても人間の集団でございますから、いわゆるいじめといったものが存在する、ゼロにはできないだろうなとは思っております。ただ、いじめの発見というのは非常に難しい問題を含んでございます。
例えば、子供同士で隠れていじめみたいなことをやるといったことはあろうかと思いますけれども、そういったものを関係者がいかに早く把握して未然防止に努めるとか、あるいはいじめをなくすための意識啓発、あるいは対応を含めて行っていくことが基本であろうと考えております。
◆(磯部委員) 今回は、先生が発見したのではなくて保護者の方が発見されたということでいいかと思いますけれども、教育長がおっしゃるとおり、グループで遊んでいると、やっているほうはいじめではないと思っていても受け取る側がいじめだと思ったらいじめだと私は思うのですね。たしか文部科学省もそのような基準を出していたと思うのですね。確かに最初の時点では、先生のおっしゃることのように、同じグループ内で、ぱっと見はけんかかいじめかがわからなかったというのは何となくわかるのですよ。ただ、それがいじめなのかどうかきちんと見きわめようという先生の熱意や意思があれば、見きわめられないことはないのではないかと思うのですね。それがいじめなのか、いたずらなのか、真実を見きわめるのが教育なのではないかと私は思っていて、例えば他国では、これはわかりませんが、真実ではないことを真実だと言って教育するような国もあるのではないかと思うのですね。本当に、これは笑い事ではなくて。だけれども、我が国は、真実は真実でしっかり指導するのが教育だと思うのですけれども、その辺の御見解はどうですか。
◎(山田教育長) おっしゃるように、1つは教育者の感性の問題だと思います。いじめをいじめととらえるのか、あるいは単なる悪ふざけととらえるのか、あるいは発展しそうなのかどうなのかは、まさに教育に携わっている者は日常的に子供に接するわけですから、そこは感性であろうかと思っております。
そのために、さまざまな児童理解、あるいは今回の場合は、いわゆる障害ということが一つのいじめの原因になったわけですけれども、そういった特別支援教育に対する理解ですとか、制度的な仕組みはたくさん持ってございますけれども、やはりベースとなるのはそこにかかわっている教師、関係者のいじめに対する感性の問題が大きいかと考えております。
◆(磯部委員) 障害というお話があったのでお聞きしたいと思いますけれども、本市全体の問題として、障害への理解や認識はどうなっているのかというところが疑問です。例えば、障害にもいろいろな種類があって、体の障害、心の障害、知的な障害等いろいろあると思いますけれども、今回、これはいただいた資料ではなくて新聞報道の話ですけれども、発達障害と書いてあって、私も失礼なことをしてしまった経験があるのですけれども、発達障害というのはぱっと見てわからないと思うのですよ。そんな中で、例えば発達障害も含めた障害に対する教職員の先生方の認識とか理解度は、今はどんなものがあるのか教えてください。
◎(山田教育長) 率直に申し上げて、必ずしも十分ではないとは考えております。ことし3月に横浜市の自閉症教育理解啓発パンフレットを作成しておりますが、その中で、いわゆる発達障害の中でも特に多いと言われております自閉症の子供に対する接し方とか、あらわれ方とか、そういったものを啓発するパンフレットを作成して、このパンフレットを初歩的な段階として各学校に教育しているところでございます。一般的に非常にわかりにくいというか、理解されにくいという特性を持った障害がございますので、そこら辺は十分配慮しながら、自分自身の理解、あるいは子供に対する対応をしっかりとしていかなくてはいけないと考えております。
◆(磯部委員) 教育長がおっしゃるとおり、先生も、我々を含めた地域も、全員が今、いろいろな障害のある方がふえてきている中で、それに対する理解度を深めていかなければならないのかなと思います。それは教育委員会だけの話ではなくて、本市もそうですけれども、この国全体の話としてそう思っているのですね。
今回の例、これは新聞記事からの抜粋ですけれども、このお子さんは、自分は要らない存在とか、障害者だから何をやってもだめとか、もう自己否定に陥っている。子供たちが、大人もそうですけれども、自己否定に陥るというのは最悪なパターンに来ているのではないかと思っているのです。現に壁に頭をぶつけたりカッターを手首に当てたりしたと書いてあったのですけれども、この先待っているものは、次にはどういう展開になるかは多分想像できるのではないかと思っているのですね。
自分もそうですけれども、正当化という言葉はよくありませんけれども、やはり人間というのはある程度、自己肯定感を持っていないと生きていけないのかなと思っているのですよ。横浜市では、悪いことを正当化させるようなことではないですけれども、例えば子供たちに生きるために自己肯定感を持たせる教育とか、それを教える先生たちの研修は何かやられているのか、あれば教えてください。
◎(山田教育長) 基本的には、自尊感情とか自己肯定感といった部分は子供に限らず人間の存在の基本だと考えております。そこがないと、生きていくといいますか、そういったところがなかなか難しい状況が出てまいりますので、本市の中で、例えば教諭に対しても子供に対してもそうですけれども、特に教員に対しては、いわゆる人権教育という中で、そういったところを含めて、かなりの機会を設けて研修いたしているところでございます。
◆(磯部委員) 人権教育という話がありました。大人もそうですし、ことし31歳になる私たち世代の友人でもそうですけれども、特に子供たちにコミュニケーションをとる能力が非常に欠落しているのではないかと思っているのですね。何といいますか、人間関係能力の欠如といいますか、例えば、もうおれは知らないとか、関係ないとか、見て見ぬふりをする社会になっていく。また他国の話ですけれども、人が倒れているにもかかわらずずっとほったらかしているという話もあって、我が国ではさすがにそこまでひどくなってはいないと思いますけれども、やはりこれが続いていくと、その先に見えている社会というのは容易に想像がつくものがあって、例えば児童虐待や孤立死の問題も本質はここにあるのではないかと私は思っているのです。
こういう社会にしていかないために、横浜市の教育ができることが何かあれば教えてください。
◎(山田教育長) 非常に難しい御質問ですけれども、一般的には、先ほど申し上げました人権教育の中で感性を身につけていかざるを得ないと思っていますけれども、特に今回のいじめの事案の一つの原因になりました発達障害、そのうち約8割が自閉症だと言われております。その中で、例えばこのパンフレットの中に示してございますけれども、特性が、社会性に関する部分、例えば他者の気持ちを推測することが難しい、あるいはコミュニケーションに関する特性として状況に応じたやりとりが続きにくい、あるいは興味や関心が特定のものに集中しやすいとか、幾つかの特性があるわけですけれども、一般的な子供の社会性なりコミュニケーション能力が落ちているところへ、障害のある子供さんの特性を理解することが、ダブルで難しくなっている部分がございますので、そこは教員がしっかりとみずからの力も高めながら、子供に対する教育に励んでいかなければいけないとは考えております。
これといった決定打はなかなか難しいと思いますけれども、持続的に、継続してそれをやっていかなくてはいけないとは考えております。
◆(磯部委員) これは確認ですけれども、このお子さんは何年生のときからこの学校に通われているのか。1年生の入学時から通われているのか、途中からなのか。あと、この学校には個別支援学級があったのかどうか、わかれば教えてください。
◎(山田教育長) 小学校低学年のときに他の学校から転校して見えました。
個別支援学級は、2クラスございます。ただ、いわゆる一般学級と言われるものが6年生に2クラスしかございませんので、本市で言う小規模校というのは、小学校の場合11クラス以下の場合ですけれども、そのぎりぎりのところにあるということで、クラスがえをしても人間関係が変わらないといった学校の特性もございます。子供さんの特性だけではなくて、そういった学校の状況も、今回のいじめにつながったさまざまな要因の1つであろうとは考えております。
◆(磯部委員) 障害のあるお子さんであるにもかかわらず、なぜ個別支援学級に入らなかったのか、何か理由はあるのですか。
◎(山田教育長) 基本的には保護者の方と子供さんの意向を尊重して、そのようにしているところでございます。
◆(磯部委員) 障害のある方を排除するとか、別のところにやるとかいう考えは全く持っていないのです。できることなら同じところで育てていってあげたい。ただ、やはり何らかのハンデを持っていて、しかも個別支援学級制度がある中で、これはもう仮定の話なので結構ですけれども、もしそこに入れていたらこの問題は防げたかなという感じもしないでもないのですね。これは私の意見です。
ただ、私の周りにもいましたけれども、個別支援学級に入れるということはおそらく、保護者の方も入る児童・生徒も、ある程度理解ができるならすごく勇気が必要なことなのかなと思っているのですね。
その話とは別に、今回、転校したということで、報道では学校長の判断や教育的配慮ではなくて、保護者の方の判断で自発的に転校されたようなことが書いてあったのですが、それは事実かどうか教えてください。
◎(山田教育長) 結論から申し上げますと、保護者の方の御判断でそういう手続をされております。
ただ、通常ですと、転校する場合には転校する学校と受け入れる学校の校長がお互いにいろいろ話をして、調整した上で行いますけれども、今回はある意味、保護者の方の学校に対する不信感もございまして、みずから手続を先行されて転校されたという経過でございます。
◆(磯部委員) 不信感を持たれたということですけれども、なぜ学校長同士の判断が遅くなってしまったのか、その辺、何か理由はあるのですか。
◎(山田教育長) この資料にもございますけれども、6月6日に学校への当該校の転出手続を行った。そして翌7日には転校されたといったことがございまして、普通であればもう少し時間がある中で、転校する、しないを含めて両校の校長で話し合いが行われるわけですけれども、今回の場合はここに至るまでに保護者の方の学校に対する不信感といったものがございまして、そういった調整もなかなかできなかったという事情がございます。
◆(磯部委員) 保護者の方がずっと切実に訴えられていて、5月31日には校長先生も把握したということで、その間、約1週間ある中で、不信感を持たれたというのはわかるのですけれども、もっと何かスピーディにできることはなかったのかなと思います。その辺について、教育長の思いとかお考えはありますか。
◎(山田教育長) 子供同士の問題でございますけれども、先ほど申し上げたように、被害を受けたお子さんがこの学校にいること自体、非常なストレスになって、自己否定みたいなものにつながって、自宅に帰られてからいわゆるパニックに陥ったということもございまして、学校と保護者の間の信頼に基づくコミュニケーションがとれなかったために、この時間的な経過の中でなかなかスムーズにいかなかったのだろうと考えております。
◆(磯部委員) こうした問題はどこの学校でも起こる問題だと思うのですね。この件を踏まえて、現段階で各市立小中学校の校長に向けて教育委員会から何か情報を発信したり、メッセージを発信したりしたことは何かありますか。
◎(山田教育長) 今回は、いじめの早期発見、早期対応への取り組みの徹底についてといったことを7月13日に委員会の通知として発出してございますけれども、現在、子供の調査をして、専門家の分析をいただいて、これから実態をちゃんと確定して、その後で専門家の御意見、アドバイスもいただく。メッセージを出すのであればそれを踏まえてからでないと少し拙速になるかなとは考えております。
◆(磯部委員) 今、情報を整理中だというお話だったのですが、なるべく早い時期に情報を集めて事実関係を確定させて、専門家の意見を踏まえて、全校長を集めて、教育委員会主導できちんと研修なり報告、指導等をしていっていただきたいと思います。これは要望です。
あと、6年生で転校するというのはその子にとってすごく悲しい出来事にならないかなと思うのです。例えば、どうしても親が転勤で異動しなければいけないとかだったら、そんなことあったね、で済むかもしれませんけれども、この種のことで転校になったときは、その子が将来どう思うのかなと思うと考えるのが非常に辛い問題なのですね。私が小学校のときにもありましたけれども、小学校6年生の途中で転校してきて、みんなと運動会とか修学旅行に行った写真がないとか、卒業アルバムではクラスのみんなで集合写真を撮ると思いますけれども、やはり上に丸くなっているのですね。それが親の転勤等でやむを得ずとか、具合が悪くて休んでしまったという話だったら、そんなこともあったね、で済むかもしれません。ただ、この種の問題でそういうことが起こるのかなと考えるといたたまれない部分があるのですけれども、実際、その辺のケアとか何かをされるおつもりはありますか。
◎(山田教育長) 転校というのは、恐らく最終の手段だろうと思います。現在、転校先の学校では、学校の中で非常に穏やかに過ごされているとは聞いております。今回は、転出する前の学校にいることがその子の教育にとって非常にマイナスであり、これ以上のマイナスを与えることはできないと保護者の方が御判断されて、出られたのだと考えておりますけれども、やはりそこに至るまではもう少し慎重に、できればそこで解決するのが望ましいかとは思います。しかし、今回の場合は信頼関係が失われている部分がございましたので、仮定の話になりますが、そのままにしておくというのは状況的にちょっと心配であるという思いは私自身は持ってございます。
したがって、転校先で普通に学校生活を送られていることを考えると、それは一つの選択肢であったのだなとは考えておりますけれども、基本は、やはりその学校で問題の解決を図っていくことだろうとは考えております。
◆(磯部委員) 最後にしますけれども、教育委員会は何をするためにあるのか、何を守るためにあるのか、最後に教えてください。
◎(山田教育長) やはりキーワードは子供です。子供をお預かりする学校現場をしっかりと指導あるいは支援していくという立場にあろうと考えております。
(中略)---------------------------------------
○(大桑委員長) 他に御発言もないようですので、本件についてはこの程度にとどめます。